義妹に苛められているらしいのですが・・・

天海月

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「それで・・・もちろん、まだあるのでしょう?」
バートンは呆れたような顔で、続きを促した。

「ああ、その続きだが・・・彼女がデビュタントの祝いに父親から贈られたという装身具のセットがあってな・・・」

「それがどうしてあの、あなたの独占欲丸出しの月光の結晶にすり替わったというのです?」

「そこは、わざわざ茶々を入れてくれるな。
まぁ、一見するとかなり豪華で作りもしっかりとした品だったのだが、とんでもない呪いが掛かっていてな。おそらく、どこかの高貴な人間を呪い殺すために使われたものが、流れ流れて市場に出回ってしまったのだろう」

「うわぁ・・・さすが、カノン様のお相手になるだけあって、あの聖女様は引きが強いですね・・・」

バートンは苦笑いしつつ、顔を引き攣らせた。

「とにかく、そんな物騒なものを着けさせておく訳にもいかないと思ってな。以前の彼女であれば、自ら呪いを昇華させることも出来ただろうが、あいにく今の彼女にその力はない。
唐突に処分しても怪しまれるかもしれない・・・。
ならば、浄化はできないが、自分でつける分には魔力で呪いを相殺できるし、暫くはこちらで持っていたほうが良いと思ったのだが・・・」

「確かに、そんなものを持たせたままにしておくのはご心配でしょうね」

「そこで、『これは、お義姉さまには相応しいとは思えません。私の装身具を差し上げますから、交換いたしましょう』と言って、自分の首にかけてあった月光の結晶と交換した。あの石は魔力を充填しておけば、一度だけ身代わりになってくれる・・・もう、以前のような事は懲り懲りだしな・・・」

どこか遠くを見るように、カノンは言った。

「だから、あなたの魔力があの石から溢れ出ていたと。何度も言うようで恐縮ですが、これに関しても、まったく理解されていないというか・・・逆に恨まれてすらいるかもしれませんよ?」

「何故だ?」

「人間はあなたが思う以上に『見た目』という基準を大切にしているからです。中には、あなたのように直接本質を見ようとする者もいますが、それはごく少数に限られるでしょう。
大抵の人間の感覚では、大きくて豪華な宝石が、小さくて質素な石に変わったら、実際の価値はともかく値打ちが下がったと感じるものなのですよ」

「なるほどな・・・そういうことか。確かに、その辺りから、特に侍女の態度がきつくなった様に感じたな」

「でしょうね。ともかく、それで、あの夜の奇妙な出で立ちが完成したと」
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