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数日ぶりに屋敷に戻ったエレーヌの元に一目散に走ってくるカノン。
「お義姉さま!!」
今の彼女は、先ほどまで美しく整えられていたはずの髪を振り乱し、ドレスの裾にも一切構わぬような、貴族令嬢としてあってはならない状態だ。
だが、そんなカノンを見たエレーヌの頭には、ふとお門違いも甚だしいようなイメージが思い浮かんだ。
エレーヌがお気に入りの、あの物語に出てくる西の王子も彼女と同じような銀の髪を持っていたという。
凛々しく、頼もしくもあって、心根は優しいのに、どこか言葉が足らないせいで、人によっては誤解を受けやすい彼女を見ていると、エレーヌは何故かあの物語の王子が頭をよぎるのだった。
小柄で可愛らしい義妹と、物語の美丈夫を重ねるだなんてどうかしている・・・。
彼は物語の登場人物で会ったことなどないはずなのに・・・何故か、エレーヌはその人となりをよく知っているような気がするのだ。
架空の人物にそこまで入れ込んでしまうだなんて・・・。
自分には行き過ぎた空想癖があるのかも知れない、とエレーヌはぼんやりと思った。
◇
エレーヌの前にたどり着いたカノンは、随分と切羽詰まったような、苦しそうな表情で問いかけた。
「あの・・・お義姉さまが王妃に求められているという話を・・・聞きました。お話をお受けするつもりなのでしょうか?」
「この数日お話をして、陛下はやさしくて誠実な方だと思ったわ。
けれど、なぜかこの方と一緒になってはいけないという気もするの・・・。
そもそも、王妃様になるだなんて私には相応しくないと思うし、辞退したいけれど・・・先ほどの陛下のご様子では難しそうだわ。
いったん帰っては来たけれど、時間稼ぎにしかならないし・・・結局、お受けするしかないでしょうね・・・」
「そんな・・・!どうかお願いです、王宮に行くのはお止めになってください!!」
「私も行きたくはないけれど・・・選択肢は無いのよ・・・」
「ああ・・・私が・・・!私のせいで・・・!!また・・・」
カノンは言葉に詰まり、蹲った。
「カノン、どうしたの?急に泣き出すだなんて・・・」
「何でもしますから・・・お願いです!行かないで・・・」
いつも笑顔しか見せない美貌の義妹が、自分の足元に縋って人目も顧みずぼろぼろと涙を流すのを見て、エレーヌは途方に暮れた。
「お義姉さま!!」
今の彼女は、先ほどまで美しく整えられていたはずの髪を振り乱し、ドレスの裾にも一切構わぬような、貴族令嬢としてあってはならない状態だ。
だが、そんなカノンを見たエレーヌの頭には、ふとお門違いも甚だしいようなイメージが思い浮かんだ。
エレーヌがお気に入りの、あの物語に出てくる西の王子も彼女と同じような銀の髪を持っていたという。
凛々しく、頼もしくもあって、心根は優しいのに、どこか言葉が足らないせいで、人によっては誤解を受けやすい彼女を見ていると、エレーヌは何故かあの物語の王子が頭をよぎるのだった。
小柄で可愛らしい義妹と、物語の美丈夫を重ねるだなんてどうかしている・・・。
彼は物語の登場人物で会ったことなどないはずなのに・・・何故か、エレーヌはその人となりをよく知っているような気がするのだ。
架空の人物にそこまで入れ込んでしまうだなんて・・・。
自分には行き過ぎた空想癖があるのかも知れない、とエレーヌはぼんやりと思った。
◇
エレーヌの前にたどり着いたカノンは、随分と切羽詰まったような、苦しそうな表情で問いかけた。
「あの・・・お義姉さまが王妃に求められているという話を・・・聞きました。お話をお受けするつもりなのでしょうか?」
「この数日お話をして、陛下はやさしくて誠実な方だと思ったわ。
けれど、なぜかこの方と一緒になってはいけないという気もするの・・・。
そもそも、王妃様になるだなんて私には相応しくないと思うし、辞退したいけれど・・・先ほどの陛下のご様子では難しそうだわ。
いったん帰っては来たけれど、時間稼ぎにしかならないし・・・結局、お受けするしかないでしょうね・・・」
「そんな・・・!どうかお願いです、王宮に行くのはお止めになってください!!」
「私も行きたくはないけれど・・・選択肢は無いのよ・・・」
「ああ・・・私が・・・!私のせいで・・・!!また・・・」
カノンは言葉に詰まり、蹲った。
「カノン、どうしたの?急に泣き出すだなんて・・・」
「何でもしますから・・・お願いです!行かないで・・・」
いつも笑顔しか見せない美貌の義妹が、自分の足元に縋って人目も顧みずぼろぼろと涙を流すのを見て、エレーヌは途方に暮れた。
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