未完成な僕たちの鼓動の色

水飴さらさ

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第二章(改正版)

クリスマス 2

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 由人のマンションの階段を二段飛びで駆け上がる久場の額には汗が滲み出ている。
 電車の中でメッセージを受け取ってから、逸る気持ちのまま改札口を出て、ずっと走って来た。
 由人の家のドアの前に荒く息をしながらドアベルを鳴らす。いまだに制服姿の由人がドアを開ける。
「えーと、お邪魔します」
「うん……久場くん、汗……走ってきたの?」
「だって由人が寂しがってると思ったからさ」
「寂しがってなんか……ただクリスマスに家族がいないの、初めてだから……」
 久場をリビングに案内して由人はキッチンの冷蔵庫から麦茶をグラスに注いで渡す。
「本当に、誰もいないね、お母さんたちに気を使わせちゃったかもだな」
 勢いよく麦茶を飲み、グラスを空にしてから久場は照れくさそうに笑って、リビングを見渡しダイニングテーブルに用意された料理も眺める。
「おお、本当に豪勢だな、美味そう」
「あ、えっと、久場くんお腹減ってる? もう食べる? お母さんのスープもあって……あ、冷蔵庫にジュースも入ってて……」
「分かった分かったから、ソファ座っていい? 俺たち一旦落ち着こう」
「あ、そうだね、うん、久場くんの言う通りだね、一旦座ろう」
 リビングにあるL字型でアイボリー色のソファに久場が先に座る。
 自分の家なのに緊張している由人が離れた所に座る。
「由人、まだ制服のままなんだね、俺が来るまでずっと何してた?」
「え? 何って、何も……何していいか分からなくて、あ、そうか服……あれ、何着たらいいんだろう……」
 メッセージを送ってから久場が来るまでの三十分は程、由人は頭の中がぼんやりとしてこのソファに座ったまま本当にじっとしていた。
 久場に着替えないのかと聞かれても、自分がどの服に着替えていいのか分からなくてまたぼんやりと足元を見てしまう。
「それじゃ、部屋着でいいんじゃないか」走って体が火照った久場はセーターを脱いで、ソファに置いた。
「え、そんな、クリスマスにそんな格好したら久場くんに失礼じゃない?」
「家にいるんだから由人は何着てもいいと思うけどな、とりあえず部屋にいってみるか」
 久場が立ち上がり、部屋に向かうので由人も付いてくる。
 由人の部屋のドアを開けると、久場はベッドに腰を下ろし突っ立ったままの由人を見る。
「あ、そうか、服……」出かける時はいつも姉たちと話しながら楽しく服を選ぶので、ついいつものくせで指示を待ってしまった。
 由人は慌ててクローゼットを開けて冬用の服を見てみるが、やはり何を選んでいいのか分からなくなってしまう。
 やっぱり自分は甘ったれなんだなと、落ち込んでちらりと久場を伺う。
 セーターを脱いだ久場は、白いシャツの襟元のボタンを二つ開けて、ゆったりとしたジーンズを履いている。あれに似た服を選べばいいのかもと、クローゼットに手を伸ばした。

「あー、由人、これ……」
 久場がベッドの隅に畳んで置いていたパジャマを手に取る。
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