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「……今、何と言った」
その低く地を這うような声に、アーサーの心臓は凍りついた。
酔いなど一欠片も感じさせない、冷徹で鋭い眼光。カイルはアーサーの手を掴んだまま、猛烈な力で彼女をベッドへと引き倒した。
「何がだ……」
アーサーはたまらず視線を逸らす。
「女だと言ったな」
あんなに小さく漏らした独り言を聞き取られてしまうなんて。
「そんなことは言っていない。何か聞き間違えたのだろう」
アーサーは青ざめ、必死に誤魔化そうとする。だが、カイルの両腕が檻のように彼女を囲い、逃げ場を完全に塞いだ。
「聞き間違えるはずがない。俺がお前のことで、どれほど耳を澄ませていると思っている」
カイルの声は、怒りと期待、そして恐怖が入り混じったように震えていた。彼は迷うことなくアーサーの騎士服の襟元に手をかける。
「やめろ! 乱暴はしない、そう言ったではないか!」
「黙れ! 真実を確かめるまで、俺の気が済むものか!」
アーサーは必死に抵抗したが、今のカイルの力は凄まじかった。ボタンが弾け飛び、はだけた騎士服の下から現れたのは、硬い晒しで幾重にも巻かれた、痛々しいほどに平坦な胸元だった。
カイルの手が止まる。彼は震える指先で、その晒しの端に触れた。
「……アーサー、お前……」
拒絶する間もなかった。カイルは強引にその布を解きにかかる。最後の一巻きが解け、アーサーが秘め続けてきた柔らかな曲線が露わになった瞬間、室内の空気は一変した。
絶句するカイル。
アーサーは屈辱と恐怖に顔を歪め、腕で自分を隠すように丸まった。
「……ああ、神よ」
カイルの口から漏れたのは、祈りのような溜息だった。彼は泣きそうな顔で笑い、アーサーを壊れ物を扱うような手つきで、しかし決して逃げられないほどの力で抱きしめた。
「本当だったのか……。お前は、本当に女だったのか……っ」
「……離せ。嫌悪しただろう。今まで私を、男としてなぶってきたお前なら」
「嫌悪などするものか! むしろ、逆だ!」
カイルはアーサーの肩に顔を埋め、狂おしげに彼女の肌に口づけた。
「俺は、男であるお前を愛してしまった自分を、どれほど呪ったか……! お前を側に置くために、俺がどれだけの地獄を歩く覚悟をしたか分かっているのか!? それが……女だった……。お前が、俺の妃になれる身体だったなんて……!」
カイルの目から、今度は歓喜の涙が溢れた。
「エレーヌとの婚約など今すぐ白紙だ。公爵家が何だ、国が何だ。お前が女なら、もう俺を止めるものは何もない。お前を正式な王妃として迎え、俺の子供を産ませる。……絶対に、一生、離さないぞ」
アーサーは、自分を強く抱きしめるカイルの背中越しに、窓の外の夜空を見上げた。
女だと知られてしまった。
それでも彼は、変わらず私を求めてくれる。
カイルの愛は、真実を知ったことで、もはや誰の手にも負えないほどの「狂気」へと変質してしまったのだ。
恐ろしいはずなのに、心のどこかで熱い喜びを感じてしまう。
「……馬鹿な男だ。あなたは、本当に……」
そして、そんな男を愛おしいと思ってしまった、馬鹿なのは私もだ。
アーサーの呟きは、カイルの熱い唇によって塞がれた。
それは、奴隷への辱めでも、騎士への嘲笑でもない。ただ一人の女を渇望する、一人の男としての、執着と純愛に満ちた口づけだった。
アーサーはそっと目を閉じ、己のすべてをカイルの熱に委ねた。
その低く地を這うような声に、アーサーの心臓は凍りついた。
酔いなど一欠片も感じさせない、冷徹で鋭い眼光。カイルはアーサーの手を掴んだまま、猛烈な力で彼女をベッドへと引き倒した。
「何がだ……」
アーサーはたまらず視線を逸らす。
「女だと言ったな」
あんなに小さく漏らした独り言を聞き取られてしまうなんて。
「そんなことは言っていない。何か聞き間違えたのだろう」
アーサーは青ざめ、必死に誤魔化そうとする。だが、カイルの両腕が檻のように彼女を囲い、逃げ場を完全に塞いだ。
「聞き間違えるはずがない。俺がお前のことで、どれほど耳を澄ませていると思っている」
カイルの声は、怒りと期待、そして恐怖が入り混じったように震えていた。彼は迷うことなくアーサーの騎士服の襟元に手をかける。
「やめろ! 乱暴はしない、そう言ったではないか!」
「黙れ! 真実を確かめるまで、俺の気が済むものか!」
アーサーは必死に抵抗したが、今のカイルの力は凄まじかった。ボタンが弾け飛び、はだけた騎士服の下から現れたのは、硬い晒しで幾重にも巻かれた、痛々しいほどに平坦な胸元だった。
カイルの手が止まる。彼は震える指先で、その晒しの端に触れた。
「……アーサー、お前……」
拒絶する間もなかった。カイルは強引にその布を解きにかかる。最後の一巻きが解け、アーサーが秘め続けてきた柔らかな曲線が露わになった瞬間、室内の空気は一変した。
絶句するカイル。
アーサーは屈辱と恐怖に顔を歪め、腕で自分を隠すように丸まった。
「……ああ、神よ」
カイルの口から漏れたのは、祈りのような溜息だった。彼は泣きそうな顔で笑い、アーサーを壊れ物を扱うような手つきで、しかし決して逃げられないほどの力で抱きしめた。
「本当だったのか……。お前は、本当に女だったのか……っ」
「……離せ。嫌悪しただろう。今まで私を、男としてなぶってきたお前なら」
「嫌悪などするものか! むしろ、逆だ!」
カイルはアーサーの肩に顔を埋め、狂おしげに彼女の肌に口づけた。
「俺は、男であるお前を愛してしまった自分を、どれほど呪ったか……! お前を側に置くために、俺がどれだけの地獄を歩く覚悟をしたか分かっているのか!? それが……女だった……。お前が、俺の妃になれる身体だったなんて……!」
カイルの目から、今度は歓喜の涙が溢れた。
「エレーヌとの婚約など今すぐ白紙だ。公爵家が何だ、国が何だ。お前が女なら、もう俺を止めるものは何もない。お前を正式な王妃として迎え、俺の子供を産ませる。……絶対に、一生、離さないぞ」
アーサーは、自分を強く抱きしめるカイルの背中越しに、窓の外の夜空を見上げた。
女だと知られてしまった。
それでも彼は、変わらず私を求めてくれる。
カイルの愛は、真実を知ったことで、もはや誰の手にも負えないほどの「狂気」へと変質してしまったのだ。
恐ろしいはずなのに、心のどこかで熱い喜びを感じてしまう。
「……馬鹿な男だ。あなたは、本当に……」
そして、そんな男を愛おしいと思ってしまった、馬鹿なのは私もだ。
アーサーの呟きは、カイルの熱い唇によって塞がれた。
それは、奴隷への辱めでも、騎士への嘲笑でもない。ただ一人の女を渇望する、一人の男としての、執着と純愛に満ちた口づけだった。
アーサーはそっと目を閉じ、己のすべてをカイルの熱に委ねた。
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