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「ノエル・モンゴメリーです。本日はお招きありがとうございます」
「こちらこそ来てくれてありがとう。君のことはハロルドから聞いているよ。明るくて愛らしい弟だと。――聞いていたとおりの愛らしさだね」
あー、はいはい。前回と同じセリフだね。ぼくはその時嬉しくなって、ルークにいっぱい自分のことをアピールしたんだよな。今から考えると本当バカみたいだ。
「兄バカですみません」
「いや、そんなことはないよ」
「…………」
「あ、ええっと、君のことを教えてくれるかな? 何が得意でどんなことに興味があるのかな。僕は習っている中で剣が得意なんだ。君は?」
「えっ、いえあの……。ぼくは特に得意なことなんて……」
ぼくはポリポリと頭を掻いて、これ以上何を話したらいいのか分からないといったそぶりを見せた。話題を振られてもそれに応えることすらできないつまらない人間だと思ってくれたらちょうどいい。ついでに引っ込み思案で消極的だというアピールのために、下を向いてもじもじと手をいじった。
このぼくの対応には、さすがのルークもちょっと面食らったような感じだった。
「あの、それではこれで。ほかのかたも順番を待っているみたいですから」
「あ、ああ」
ぼくはペコリと頭を下げて、そそくさとその場を離れた。
「ノエル様、こっちこっち」
挨拶をすでに済ませていたアーネストが、僕に向かって手招きをしている。手には焼き菓子がある。
「おいしい?」
「おいしいですとっても。さすが公爵家です」
うん、そうだったね。婚約した時に何度か食べさせてもらったことがあるけど、ここの料理長の腕はピカイチだった。もちろんぼくのうちの料理長だって負けてはいないけどね。
「ところで、ルーク様とのお話はどうでした? 弾みましたか?」
「えっ? まさか。緊張してほとんど喋れなかったよ」
「そうなんですか?」
アーネストが首を傾げた。
「ノエル様がここに向かって歩いている最中、ルーク様がずっと視線を向けて名残惜しそうにしていたので、話が弾んでノエル様のことを気になさっているのかと思ったんですけど」
「えっ?」
ヒュッと一瞬にして胃が縮みあがった。
何それ? ルークがぼくに好意を持ったってこと?
そっとルークを窺うと、ほかの令息と和やかにおしゃべりをしていた。無意識にホッと安堵の息が出た。
きっとアーネストの勘違いだろう。だって、ルークがぼくのことを好きになるわけなんてないんだ。
それにあんな消極的なぼくを見ていた公爵だって、ぼくを気に入るわけがない。だからルークにぼくを薦めるということも絶対ないだろう。
そうやって冷静に考えて、やっとぼくは安心することができた。
「本当に美味しいですよこの焼き菓子~」
「そうだね」
ぼくはアーネストと美味しい焼き菓子を堪能した後、公爵家をあとにしたのだった。
「こちらこそ来てくれてありがとう。君のことはハロルドから聞いているよ。明るくて愛らしい弟だと。――聞いていたとおりの愛らしさだね」
あー、はいはい。前回と同じセリフだね。ぼくはその時嬉しくなって、ルークにいっぱい自分のことをアピールしたんだよな。今から考えると本当バカみたいだ。
「兄バカですみません」
「いや、そんなことはないよ」
「…………」
「あ、ええっと、君のことを教えてくれるかな? 何が得意でどんなことに興味があるのかな。僕は習っている中で剣が得意なんだ。君は?」
「えっ、いえあの……。ぼくは特に得意なことなんて……」
ぼくはポリポリと頭を掻いて、これ以上何を話したらいいのか分からないといったそぶりを見せた。話題を振られてもそれに応えることすらできないつまらない人間だと思ってくれたらちょうどいい。ついでに引っ込み思案で消極的だというアピールのために、下を向いてもじもじと手をいじった。
このぼくの対応には、さすがのルークもちょっと面食らったような感じだった。
「あの、それではこれで。ほかのかたも順番を待っているみたいですから」
「あ、ああ」
ぼくはペコリと頭を下げて、そそくさとその場を離れた。
「ノエル様、こっちこっち」
挨拶をすでに済ませていたアーネストが、僕に向かって手招きをしている。手には焼き菓子がある。
「おいしい?」
「おいしいですとっても。さすが公爵家です」
うん、そうだったね。婚約した時に何度か食べさせてもらったことがあるけど、ここの料理長の腕はピカイチだった。もちろんぼくのうちの料理長だって負けてはいないけどね。
「ところで、ルーク様とのお話はどうでした? 弾みましたか?」
「えっ? まさか。緊張してほとんど喋れなかったよ」
「そうなんですか?」
アーネストが首を傾げた。
「ノエル様がここに向かって歩いている最中、ルーク様がずっと視線を向けて名残惜しそうにしていたので、話が弾んでノエル様のことを気になさっているのかと思ったんですけど」
「えっ?」
ヒュッと一瞬にして胃が縮みあがった。
何それ? ルークがぼくに好意を持ったってこと?
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きっとアーネストの勘違いだろう。だって、ルークがぼくのことを好きになるわけなんてないんだ。
それにあんな消極的なぼくを見ていた公爵だって、ぼくを気に入るわけがない。だからルークにぼくを薦めるということも絶対ないだろう。
そうやって冷静に考えて、やっとぼくは安心することができた。
「本当に美味しいですよこの焼き菓子~」
「そうだね」
ぼくはアーネストと美味しい焼き菓子を堪能した後、公爵家をあとにしたのだった。
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