5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません

くるむ

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サラってこんな人だった?

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 馬車から降りてお兄様と2人で登校していると、ぼくらの少し先をルークとクリスが歩いていた。
「おはようございます。ルーク様、クリス」
 ハロルド兄様が僕の手を引っ張りながら、 2人に挨拶をする。

「おはよう。今日もいい天気だね」
「おはようございます」

 みんなが談笑しながら歩く中、ぼくは一人だけ、昨日のルークとのキスを思い出して頬を熱くしていた。

「ん? どうしたノエル。少し顔が赤いぞ。体調悪かったか?」
「いえ、大丈夫です。ちょっと暑いだけです」
「そうか?」
 お兄様が首をかしげる。ルークを見ると、ルークの頬も少し赤くなっていた。

「体調が悪くないならいい。でも気をつけろよ」
「ありがとうございます」
 お兄様はそれににこりと頷いて、二年の教室は向こうだからといってぼくらと別れた。

「お2人の仲が進展していたようで良かったです」
「えっ?」
 何もかもお見通しといったようなクリスの言葉に、ぼくの頬がまたボンッと熱くなった。

「おい、クリス。からかうんじゃないよ」
「ははは、すみません。でも初々しくていいですね」
「……まったく」
「ルーク様ー、助けてくださいー!!」

「えっ?」
 何事かと思うくらいの大声が背後からやってくる。驚いた3人が振り返ると、すごい勢いでサラがルーク様めがけて走ってくる。
 そしてあと少しという距離まで近づいてきたとき、まるで何かにつまずいたように大声を上げて、サラがダイブするように倒れてきた。

 え? 何につまずいたの? 石も何もないよ。

「危ない!」
 ええっ?
 ルークがぼくを思いっきり引き寄せて抱きしめた。思いもよらない展開だ。おかげでそのまま地面に激突しそうになったサラの腕を、とっさにクリスが引き上げる。

 ええっと、今危なかったのはルークに見えたんだけど。でも、ルークの目にはぼくが危ないように見えたんだろうか?

「大丈夫か?」
 クリスがよろめくサラの体を支えながら、しっかりと立たせた。
「大丈夫ですわ」

 サラの態度は、どうみても助けてもらったもののする態度ではなかった。明らかにルークに助けてもらえなくて不服だと顔に書いてある。しかもお礼すら言っていない。
 ルークもぼくと同じことを思っているのだろう。表情が曇っている。

 それにしてもなんだろうこのわざとらしさ、サラってこんな人だった? 前はあんまり印象なかったんだけど……。

「 行こうか、クリス。じゃあ君も気をつけて」
「待ってください、ルーク様!」
「――なんだい?」
「私、ストーカーに狙われているみたいなんです。助けると思って、恋人のふりをしてくださいませんか?」
「それはできないな」
 ぴしゃりとルークが即答した。そのつれない返答に、サラの声が大きくなる。

「どうしてですか?」
「どうしてって……、もうすぐ婚約が決まるんだ。余計な波風は立てたくない」
 ルークの視線がぼくに向かった。直視できないくらいのとろけそうな表情だ。

「……は?」
 サラの表情が瞬時に変わった。ギリギリと音がしそうなくらいに恐ろしい表情でぼくを睨む。

「じゃあ悪いけど、そういうことだから。君のクラスの担任に相談してみたらどうだろう? 必要なら警護かなにかつけてくれるかもしれないよ」

 呆然とするサラをそのままに、ルークは僕とクリスを促して1年の校舎へと向かった。
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