5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません

くるむ

文字の大きさ
51 / 57

これからの両家

しおりを挟む
 ルークの方はすでに僕との婚約に許可をもらったと言っていた。
 ぼくはサラたちが捕まり、僕の中で決着がついてからという思いがどうしてもぬぐいきれなかったので今になってしまった。おかげでちょっぴりやきもきさせてしまったのは、申し訳ないと思っている。

「父上、母上、お話があります」
 少し恥ずかしさもありかしこまるぼくを見て、母上が「あらあら」と目を細めた。

「ルーク様と婚約をしたいと思います。ご許可の程よろしくお願いします」
「そうか、よし! ノエルの中でも踏ん切りがついたんだな」
「ラッフェル伯爵夫人も逮捕されたと聞いたわ。これで一安心ね、ノエルおめでとう」

 気づかなかったけれど、どうやら父上と母上はぼくらの婚約を心待ちにしていたらしい。うれしそうに微笑まれて、恥ずかしいけどぼくも嬉しくなった。

「さて、そうと決まれば、クラーク公爵家にご挨拶に行かなければ。教会に行く日取りもその時決めよう」
「楽しくなってきたわね、ノエル」
「そ、そうですね」

 それからの母上の仕事は早かった。明日学園に行った時にルークと相談すると言ったのに、それすら待ちきれなかった母上は、さっさと手紙をしたためて執事のケニーに手紙を届けさせた。
 驚いたことにクラーク家の仕事も早く、明日ぼくらはハイスランド学園が終わったその足でそのままクラーク公爵家に赴き、式の日取りを決めようということになった。


「とんとん拍子に話が決まったんですね。良かったです。おめでとうございます!」
 アーネストが本当に嬉しそうに言ってくれるので、ぼくはついつい涙があふれそうになってきて困った。
 長かった、本当に。もっと早くキリンスのことを調べていたら、こんな目に遇うこともなかったのかもしれないと思うと複雑な気持ちではあるけれど。
 でも、ぼくはみんなからちゃんと愛されていて助けてもらったのだ。この恩は、ぼくなりの形でしっかり返していかなくては。

「ありがとう。アーネストにはいつも励ましてもらって、本当に感謝してるんだ。今後もし何か困ったことがあったら、絶対ぼくに言ってね。力になるから」
「アハハ、ありがとうございます」
「僕もアーネストの力になるよ。不甲斐なかった僕のせいでノエルが悲しんでいた時、力になってくれたのは君だって聞いた。だから僕も絶対君の力になるから」
「あ、ありがとうございます」

 真剣な表情でアーネストに語るルークの姿に、僕もちょっぴり感動した。

 何度ものループで忘れそうになっていたけど、ルークはこういう人だった。真面目で優しい人だったんだよ。

「ごめん、またせたね、行こうか」
 走って来てくれたのか、お兄様が息を切らして教室に現れた。僕らは3人揃ってクラーク公爵家の馬車に乗った。


「いらっしゃい。待ちかねていたよ、ノエル」
 通された広間で、クラーク公爵と公爵夫人に歓迎された。父上も母上もすでに来ている。
「こんにちは。はじめまして、ノエルです」
 何度かお会いしている公爵と公爵夫人に始めましてというのも変な話だが、会ったのは巻き戻る前のことだ。今回はたぶんこの挨拶の方があっているだろう。

「ノエルには、この愚息のせいでつらい思いをさせたと聞いた。すまなかった」
 そう言って、こうべを垂れる2人にぼくは驚いた。

「と、とんでもないです。悪いのはルーク様ではなくてサラ嬢やラッフェル伯爵夫人です。ルーク様は被害者でもあり、ぼくのことも助けてくださいました」
「それでもだ。操られるだなんて不甲斐ない」

「本当にそうだと思います。不甲斐なくノエルにつらい思いをさせてすみませんでした」
 クラーク公爵の隣で神妙にかしこまっていたルークが、ぼくら一家に深々と頭を下げた。

「もうよろしいですのよ。私たちはルーク様とノエルが婚約の意思を固めたと聞いて喜んでいるのです。これから両家の幸せのためにもお互い尊重しあって、助け合っていきましょう」

「そうですな。ということで、婚約式の日取りを決めてもよろしいですかな?」
 それにはみんな賛成で、しかも一日も早くという声が多かった。

 そして今週の土曜日の朝に、教会に行くことが決まったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい

雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。 延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。 エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。 俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。 処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。 こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…! そう思った俺の願いは届いたのだ。 5歳の時の俺に戻ってきた…! 今度は絶対関わらない!

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。

竜鳴躍
BL
同性でも子を成せるようになった世界。ソルト=ペッパーは公爵家の3男で、王宮務めの文官だ。他の兄弟はそれなりに高級官吏になっているが、ソルトは昔からこまごまとした仕事が好きで、下級貴族に混じって働いている。机で物を書いたり、何かを作ったり、仕事や趣味に没頭するあまり、物心がついてからは身だしなみもおざなりになった。だが、本当はソルトはものすごく美しかったのだ。 自分に無頓着な美人と彼に恋する王子と騎士の話。 番外編はおまけです。 特に番外編2はある意味蛇足です。

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。

竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。 男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。 家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。 前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。 前世の記憶チートで優秀なことも。 だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。 愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。

処理中です...