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第二章:もういいかい?
反保_2-1
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桜華学園の調査を行う初日、反保はわずかな不安を抱きながら目的地に向かっていた。彼にとっては初めての有栖がいない現場であり、他部署の課長との捜査だからである。我孫子とは事前にメールでのやり取りを行い、彼に午前中は別件があった為に、午後に校門前で待ち合わせとなっていた。そして、そのことは反保から学園長に連絡し、アポイントは完了していた。
――不安はあるけど、しっかりやらなきゃ特務課に迷惑がかかる。頑張ろう。
不安はあれど気合は入っていた。反保にとっては居場所である特務課とそこに所属している人達に迷惑をかけたくない、という気持ちだけで不安を打ち消すエネルギーとなる。
てくてく、と歩く内に桜華学園が見えてきた。時刻は待ち合わせ時間の十五分前。校門が見える直前の角で、大きく呼吸をし、余計なことは考えないで仕事に集中するモードに自身で切り替える。
数歩進んで角を曲がると校門が見え、その前に反保と同じくユースティティアのジャケットを着ている人物――我孫子の姿が見えた。
他部署であれ、相手の立場は自身より上なので、ゆっくり歩いて近づくのも心象に悪いかと思い、反保は駆け寄る。
「やっと来たか」
別に待ち合わせの時間に遅れたわけではないのに、我孫子は待っていたことに疲れたように溜め息を一つついてから言った。そして、左手の指に挟んでいた煙草を口に運ぶと、煙を吸い込み、また溜め息のように息を吐く。
「はぁ、すみません」
遅れたことに対してではなく、反保は相手を待たせたことに対してとりあえず謝る。これから一緒に仕事をするにしても、下手に機嫌を損ねるのも良くないだろう、と思いそれぐらいは我慢した。
「しかし――」
反保の言葉を聞いたかどうかは定かではないが、我孫子は煙を吐くと、その口を少し歪に吊り上げ、にやにや、と笑った。
「有栖の奴は俺と問題を起こしたことがあるから参加できないのか。ざまぁねぇな」
煙の次に吐き出した言葉は、反保にとっては煙よりも不愉快なものだった。しかし、表情を変えない彼に対して、我孫子は楽しそうに続ける。
「俺と有栖の間に何があったか聞きたいか?」
「いえ、別に興味ないので。それに、聞くなら暇なときにでも有栖先輩から聞きます」
反保は表情を変えず、そして、目の色も変わるな、と思いながら、冷静を装いあっさりと返答した。それがつまらなかったのか、我孫子は舌打ちを一つすると、胸ポケットに入っていた携帯灰皿を取り出し、煙草をもみ消すと元の場所に戻した。
「いくぞ」
「……はい」
そう言われて、反保は返事をしてから我孫子と共に桜花学園へと入った。彼は横に並び歩きながら、
――どうやら幸先は悪そうだな。
その手応えだけはしっかりと感じていた。
――不安はあるけど、しっかりやらなきゃ特務課に迷惑がかかる。頑張ろう。
不安はあれど気合は入っていた。反保にとっては居場所である特務課とそこに所属している人達に迷惑をかけたくない、という気持ちだけで不安を打ち消すエネルギーとなる。
てくてく、と歩く内に桜華学園が見えてきた。時刻は待ち合わせ時間の十五分前。校門が見える直前の角で、大きく呼吸をし、余計なことは考えないで仕事に集中するモードに自身で切り替える。
数歩進んで角を曲がると校門が見え、その前に反保と同じくユースティティアのジャケットを着ている人物――我孫子の姿が見えた。
他部署であれ、相手の立場は自身より上なので、ゆっくり歩いて近づくのも心象に悪いかと思い、反保は駆け寄る。
「やっと来たか」
別に待ち合わせの時間に遅れたわけではないのに、我孫子は待っていたことに疲れたように溜め息を一つついてから言った。そして、左手の指に挟んでいた煙草を口に運ぶと、煙を吸い込み、また溜め息のように息を吐く。
「はぁ、すみません」
遅れたことに対してではなく、反保は相手を待たせたことに対してとりあえず謝る。これから一緒に仕事をするにしても、下手に機嫌を損ねるのも良くないだろう、と思いそれぐらいは我慢した。
「しかし――」
反保の言葉を聞いたかどうかは定かではないが、我孫子は煙を吐くと、その口を少し歪に吊り上げ、にやにや、と笑った。
「有栖の奴は俺と問題を起こしたことがあるから参加できないのか。ざまぁねぇな」
煙の次に吐き出した言葉は、反保にとっては煙よりも不愉快なものだった。しかし、表情を変えない彼に対して、我孫子は楽しそうに続ける。
「俺と有栖の間に何があったか聞きたいか?」
「いえ、別に興味ないので。それに、聞くなら暇なときにでも有栖先輩から聞きます」
反保は表情を変えず、そして、目の色も変わるな、と思いながら、冷静を装いあっさりと返答した。それがつまらなかったのか、我孫子は舌打ちを一つすると、胸ポケットに入っていた携帯灰皿を取り出し、煙草をもみ消すと元の場所に戻した。
「いくぞ」
「……はい」
そう言われて、反保は返事をしてから我孫子と共に桜花学園へと入った。彼は横に並び歩きながら、
――どうやら幸先は悪そうだな。
その手応えだけはしっかりと感じていた。
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