52 / 81
第七章:Dots and Lines
飛田_7-4
しおりを挟む
――しまった
飛田の中空で放った蹴りが大きく空振る。それは大きな隙となり、それを双子を見逃すはずがなかった。
「天使様を裏切った罪を償え」
「天使様を裏切った罪を償え」
双子のナイフがぎらり、と中空でバランスを崩す飛田を睨む。
――まずい
防御も避けることもできない状況はさすがに飛田を焦らせた。背筋に冷たい汗が一筋流れる。
「死ね」
「死ね」
無情にも二つの獰猛な牙が飛田に襲いかかる。殺意のこもった一撃は的確に彼に致命傷を与えようとしていた。
――くそっ
飛田が強く目を瞑ったとき、ドン、と衝撃を受けた。それは刃による鋭い痛みではなく、突き飛ばされた鈍い衝撃。彼が咄嗟に目を開けるとその衝撃の正体は反保だった。彼が刃の中に飛び込み、飛田を突き飛ばしたのだった。
当然、双子の刃は止まることなく、飛田の代わりに反保が受けることになった。幸いだったのは中空にいた飛田を狙った攻撃を飛び込んできた彼が受けることになったので当初の狙いからズレたことだ。しかし、それでも刃は反保の肩口を深く切りつけ、血しぶきを舞わせた。
その状況をはっきり見ていた飛田は反保に吹き飛ばされ、尻餅を着いたが即座に起き上がり、タックルをした反保の身を案じた。彼も勢いそのままにうつ伏せに倒れている。
「おい、大丈夫か?」
反保の肩には痛々しい傷と多量の血が流れている。
――俺が弱いから……
飛田は自身の情けなさに絶望した。一色は死に、全てを救う為に強くなって今日こそ屈辱を晴らそうとしたのにも関わらず、現状は自分が空回りし、助けられ、助けてくれた人を傷つけた。
その状況に嘆こうとしていると、反保がむくり、と体を起こす。そして、彼は何も言うことなく飛田の顔面に頭突きを放った。
ごちん、と音を立てた一撃は飛田から鼻血を垂れさせ、混乱させた。
「へ?」
そんな飛田を反保は真っ直ぐに睨んでいた。それが傷を負ったことの怒りだと彼は思ったのだが、反保が抱えていたものは全く違うものだった。
飛田の中空で放った蹴りが大きく空振る。それは大きな隙となり、それを双子を見逃すはずがなかった。
「天使様を裏切った罪を償え」
「天使様を裏切った罪を償え」
双子のナイフがぎらり、と中空でバランスを崩す飛田を睨む。
――まずい
防御も避けることもできない状況はさすがに飛田を焦らせた。背筋に冷たい汗が一筋流れる。
「死ね」
「死ね」
無情にも二つの獰猛な牙が飛田に襲いかかる。殺意のこもった一撃は的確に彼に致命傷を与えようとしていた。
――くそっ
飛田が強く目を瞑ったとき、ドン、と衝撃を受けた。それは刃による鋭い痛みではなく、突き飛ばされた鈍い衝撃。彼が咄嗟に目を開けるとその衝撃の正体は反保だった。彼が刃の中に飛び込み、飛田を突き飛ばしたのだった。
当然、双子の刃は止まることなく、飛田の代わりに反保が受けることになった。幸いだったのは中空にいた飛田を狙った攻撃を飛び込んできた彼が受けることになったので当初の狙いからズレたことだ。しかし、それでも刃は反保の肩口を深く切りつけ、血しぶきを舞わせた。
その状況をはっきり見ていた飛田は反保に吹き飛ばされ、尻餅を着いたが即座に起き上がり、タックルをした反保の身を案じた。彼も勢いそのままにうつ伏せに倒れている。
「おい、大丈夫か?」
反保の肩には痛々しい傷と多量の血が流れている。
――俺が弱いから……
飛田は自身の情けなさに絶望した。一色は死に、全てを救う為に強くなって今日こそ屈辱を晴らそうとしたのにも関わらず、現状は自分が空回りし、助けられ、助けてくれた人を傷つけた。
その状況に嘆こうとしていると、反保がむくり、と体を起こす。そして、彼は何も言うことなく飛田の顔面に頭突きを放った。
ごちん、と音を立てた一撃は飛田から鼻血を垂れさせ、混乱させた。
「へ?」
そんな飛田を反保は真っ直ぐに睨んでいた。それが傷を負ったことの怒りだと彼は思ったのだが、反保が抱えていたものは全く違うものだった。
2
あなたにおすすめの小説
有栖と奉日本『チープな刻の中で』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第四話。
誰しも時間は平等に流れている。
治安維持組織『ユースティティア』にも警察にも。
それが束の間の平穏だとしても。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末
松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰
第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。
本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。
2025年11月28書籍刊行。
なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる