有栖と奉日本『千両役者のワンカラ―』

ぴえ

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第八章:右手に過去を、左手に未来を

虹河原_8-3

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「珍しい銃やな」
「そうなんですか?」

 ある日、押収品である二つのハンドガンを見て、一色がそう言った。

「あぁ、CZって言われる銃やわ。海外の銃やけど、こっちではあんまり流れてないはずやで」

 スライドをフレームが包みこむような形状は少々珍しい印象を覚えるが同時に細部に見える丁寧な造りは技術者の矜持を感じさせる。目の前にある二つのハンドガンは似ているようで少し違うようだ。基本的には同じだが明確な違いはレイルの部分のようだった。

「そうなんですね。他のハンドガンと違いがあるんですか?」
「グリップがかなり握りやすいし、造りの精度が高いから使う人が使えばかなり射撃の精度が上がるはずやで」
「二つあるのは?」
「ファーストモデルとセカンドモデルやな」
「詳しいですね」
「あぁ、昔――使ったことがある銃やわ」
「どちらを?」
「ファーストモデルやな」
「今は使ってないですねよ? 希望すれば調達してくれるのでは?」

 警察では基本的には使用する銃は決められているが、実績のある職員は希望すれば特定の銃を調達して使用許可が降りる。しかし、一色が使っている銃はこれではない。

「昔の銃は使わんことにしてるんや」
「こだわりですか?」
「払拭やな」

 そう言った一色の表情は少し影があるように感じ、その表情にはこの銃と同様に歴史があるように虹河原は感じた。

「では、私が使います」
「は?」

 虹河原はそう言うと近くにあるパソコンで手早く手続きを完了させる。

「ファーストモデルか?」
「いえ、両方です」
「トゥーハンドか? まぁ、お前なら使いこなせるやろうけど……それなら揃えた方がよくないか?」
「……こだわりです」
「まぁ、かまへんけど。けど、聖。いつも言ってることは忘れるなよ」

 一色は笑顔を見せて、自然と何を言うか解るぐらい何度も聞いている、いつもの言葉を言ってくれた。

「銃は――」
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