有栖と奉日本『千両役者のワンカラ―』

ぴえ

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第十一章:緞帳を後ろに

ユースティティア_11-1

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「忙しいですね」
「いつもどおりじゃない?」

 相も変わらず数々の業務が積上がった特務課のオフィスで有栖と反保は雑談混じりの小休憩を挟んでいた。

「いや、より忙しくなってますよ。だって、あの功績によってユースティティアに通報や相談が増えているらしいですから」
「それで特務課の仕事も増えているわけね」
「どこも人手不足ですから」

 天使の件以降、ユースティティアの評価は上がった。その結果は反保の言うとおり、依頼や通報の増加に繋がっている。最初は嬉しい悲鳴だったが、そろそろ本当の悲鳴に変わりつつある。

「そんな特務課に朗報です」

 有栖がそう口にすると反保は無表情で死んだ目で彼女を見つめる。

「何よ」
「先輩が朗報、というと悲報の可能性があるので」
「え? どういうこと?」
「で、何ですか、朗報って」

 怪訝そうな顔をした有栖を誤魔化す為に、反保は話の続きを促した。

「新人が来るってさ。反保も先輩になるわけだ。感慨深いねぇ」
「特務課にですか? 他の部署にではなく?」
「特務課に。本人の希望だってさ。人事通知は後日、正式なものが出るけど、今日は顔合わせの挨拶があるって京さんが言ってた」
「このタイミングで入社して、しかも、特務課を希望するなんて物好きいるんですか?」

 反保の言うことに納得はするが、有栖はにやにやとした表情を隠さずに言った。

「そうね。でも理由ならちゃんとあるみたいよ」
「え? 何ですか?」
「花婿修行」
「は?」

 そんな会話を交わしていると特務課のドアが開き、京に続き、噂の新入社員が入って来た。
 有栖と反保の二人を見るとその青年は軽く会釈をし、それに対して有栖は軽く手を振り、反保は興味深そうに見つめていた。
 そんな中、京が二人の視線がこちらに向いていることに気づくと、切り出した。

「さて、特務課に新しい仲間が入ります。さぁ、自己紹介してくれる?」

 京に促され、その青年は一礼をして大きな声で自己紹介をした。

「特務課に配属になりました、右京縁です。よろしくお願いします」
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