幸せのありか

神室さち

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セカイデ イチバン

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そんなかんじで新しいお話はじまります。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 普段報道番組くらいしか映ることのない大画面テレビ液晶。しかし今日そこに映っているのはリアルなCGでマシンやコースを再現しているレースゲームだ。



「やったー! 最速記録っ! やっぱり画面でっかいと見やすーい」

 コントローラを持った手を高々と上げてガッツポーズをしているのは、神崎家の次女、椿。その隣で床にへばりつくように体を倒しているのは長女、桜。


「やーらーれーたー! 今度は負けないからね!!」

「えー 樹理ちゃんの番だよー 負けた人は交代」

「あの、私、いいよ? 別に……桜ちゃんがやってくれて……」

「そんなこと言ってー さっきから見てるばっかりじゃん、お姉ちゃん、樹理ちゃんとチェンジ!!」


 神崎家から持ち込まれた家庭用ゲーム機。そこからコードで繋がったコントローラを押し付けられて、樹理がしぶしぶと言った様子で椿の隣に座り込む。先ほどよりかなり難易度が低いコースを選択して、スタート。

「そこで緩めて全力で右右右右ー!! って、ぎゃー! 曲がりすぎいぃいいっ!」

 桜の悲鳴に似た指示に、樹理があたふたしながら、なぜかコントローラーを曲がる方向へ傾けつつ操っているが、敢え無く側壁に激突している。必死で立て直しているうちに、椿が操るマシンが悠々ゴールを突き抜けた。


「椿ー もうちょっと手加減してよ」

「手抜きはダメだよ。樹理ちゃん相手だからこそ私は全力で戦うのだ! お姉ちゃんは手抜きの私に勝ってうれしいの?」

「うぐぐぐぐっ いや、むしろ悔しいけどっ! それにしたって、散々やりこんでる私たちと違って樹理ちゃんは初めてなんだからさぁ」

「……いいよ、でもごめん、私、もうギブアップ……なんだか酔いそう……」


 コントローラを桜に返して、満更嘘でもなさそうに、ヨロヨロしながら樹理が立ち上がってダイニングテーブルの方へやってくる。ヘタクソゆえに、無駄にハンドルがブレたり、側壁に激突したり、コースのど真ん中でも車体がスピンする画面は映像がリアルゆえに慣れない者には結構つらい。


「お疲れー」

 何か運動をしたあとのように疲れきった様子でイスに着く樹理に、理右湖がテーブルの上に置いてあった樹理が使っていたグラスをとり、氷を入れ、ウーロン茶を注いてくれる。頂き物の四個セットで、今日がお披露目のグラスは、底まで丸いが不思議と安定感があり、コロンとした形がかわいらしい。グラスを両手で持って礼をいい、半分ほど一息に飲むと、樹理は盛大に溜息をついた。


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