18 / 20
18話 メアリー姫の没落
しおりを挟む
4人で遠征をして特別依頼を全てこなし、無事に達成してアジトへ帰還した次の日。
僕たちは旅の疲れを癒やすため、この日は全員依頼や討伐をせずにアジトでのんびりコーヒーを飲んでいた。
すると、激しくアジトの扉を叩く音が聞こえてくる。
⸺⸺ドンドンドンッ!
「んだよ、ったりーな……ケントお前出ろ」
と、ヴォルク。
「はいはい、しょうがないなぁもう……どちら様ですかー?」
ケントもダルそうに扉を開ける。すると、そこにいたのは……。
「ギルド牙狼のアジトで間違いないか?」
先頭の兵士がケントへそう尋ねる。
「そうだけど……」
「こちらはフルル王国第13王女メアリー・フルル殿下にあらせられる。本日はエミル・オベールと再度婚約をするため、メアリー殿下本人がわざわざ出向いた次第だ」
と、兵士さん。
「はぁ……」
ケントは興味なさ気に返事をする。
すると、馬車からメアリー姫が降りてくるのが確認できた。
「うわ……本当にメアリー姫だ……はぁ……もういいんだけど……」
僕は深くため息をつく。
そんな僕の表情を見たヴォルクは席を立つと入り口へ向かい、ケントをどけてメアリー姫の前へ仁王立ちをした。
「てめぇ、どのツラ下げて来やがった」
ヴォルクはメアリー姫を思いっきり見下す。
「なっ、わたくしはフルル王国の王族よ。そんな失礼な態度取って……って、あなたはヴォルク・エリミナ様!」
メアリー姫はそう言って目をぱちくりとさせる。
「ヴォルク……エリミナ様……!?」
僕もメアリー姫と同じように目をぱちくりさせると、隣でルークが静かに笑っていた。
「なぜわたくしの婚約を受け入れてくださらなかったのですか? わたくし、とても寂しかったのですよ?」
「るせぇな! てめぇが生理的に無理だからに決まってんだろうが! 気持ちわりぃんだよクソが!」
ヴォルクはそう怒鳴り散らす。
「なっ……!?」
恐らく人生で初めて向けられたであろう罵声に、メアリー姫は顔を真っ青にする。
「え、婚約ってどういうこと?」
僕はボソッとルークに尋ねる。
「多分、エミルが婚約破棄された直後くらいに、ヴォルクに婚約の申し出があったんだよ。でも、アイツ、使者の目の前でその書状をビリビリに破いて、それをそのまま持ち帰るように言って使者を追い返したんだ」
ルークもそうコソッと返してくれた。
「あっ、そう言えばメアリー姫、強い戦士がどうのこうの言ってたような気がする……。それってヴォルクのことだったんだ……」
僕たちは黙ってヴォルクらのやりとりを見守ることにする。
「それで今度はエミルが大魔道士になったからって再度婚約だと? 魔道士がひ弱だとかほざきやがったのはどの口だ!?」
「ひぃぃ……」
メアリー姫は恐怖で萎縮する。
すると、兵士の1人が武器を構えてメアリー姫の前へと割り込んだ。
「き、貴様……何たる無礼者! こちらはフルル王国第13王女メアリー殿下であらせられるぞ! 殿下への侮辱はフルル王国への侮辱である!」
「黙れよ、矮小国の王族の底辺が偉そうに威張ってんじゃねぇぞ」
ヴォルクはそう唸ると大剣で兵士の武器を素早く弾き飛ばし、兵士の首元に刃を突きつける。
「てめぇこそ口の聞き方には気をつけやがれ。俺は“リベルタ自由連合国『連合代表』であり、エリミナ領当主ヴォルク・エリミナ”」
ヴォルクはそう名乗り、兵士を思いっきり蹴り飛ばす。
その圧を感じたのか、メアリー姫と他の兵士たちはその場にさっと土下座をした。
ヴォルクは今度はそんなメアリー姫の額に大剣の刃を突きつけた。
「俺や俺の大事なエミルへの侮辱は十数の領土を束ねるリベルタ自由連合国全体への宣戦布告も同じ。てめぇらみてぇなエリミナの町くらいしか領土のねぇ矮小国、一瞬で国全体が消し炭になると思え」
「我が家来が無礼を働き大変申し訳ございませんでした……!」
メアリー姫は額に刃を突きつけられたまま、ピクリとも動かずにそう言葉を絞り出す。
「無礼を働いたのはてめぇの家来だけじゃねぇだろ……?」
「はっ、はい! わたくしもヴォルク様やエミル様に多大な無礼を働いてしまい、誠に申し訳ございませんでした……!」
「これに懲りたらもう二度とこのエリミナ領の地にその汚ねぇ足跡を付けんじゃねぇ……。分かったらさっさと失せろクズ共が!」
「ひぃぃぃ! 失礼致します!」
メアリー姫を先頭に、尻尾を巻いて逃げ出す兵士たち。
ギルドの外は一瞬でまた静かで穏やかな空気へと逆戻りした。
僕たちは旅の疲れを癒やすため、この日は全員依頼や討伐をせずにアジトでのんびりコーヒーを飲んでいた。
すると、激しくアジトの扉を叩く音が聞こえてくる。
⸺⸺ドンドンドンッ!
「んだよ、ったりーな……ケントお前出ろ」
と、ヴォルク。
「はいはい、しょうがないなぁもう……どちら様ですかー?」
ケントもダルそうに扉を開ける。すると、そこにいたのは……。
「ギルド牙狼のアジトで間違いないか?」
先頭の兵士がケントへそう尋ねる。
「そうだけど……」
「こちらはフルル王国第13王女メアリー・フルル殿下にあらせられる。本日はエミル・オベールと再度婚約をするため、メアリー殿下本人がわざわざ出向いた次第だ」
と、兵士さん。
「はぁ……」
ケントは興味なさ気に返事をする。
すると、馬車からメアリー姫が降りてくるのが確認できた。
「うわ……本当にメアリー姫だ……はぁ……もういいんだけど……」
僕は深くため息をつく。
そんな僕の表情を見たヴォルクは席を立つと入り口へ向かい、ケントをどけてメアリー姫の前へ仁王立ちをした。
「てめぇ、どのツラ下げて来やがった」
ヴォルクはメアリー姫を思いっきり見下す。
「なっ、わたくしはフルル王国の王族よ。そんな失礼な態度取って……って、あなたはヴォルク・エリミナ様!」
メアリー姫はそう言って目をぱちくりとさせる。
「ヴォルク……エリミナ様……!?」
僕もメアリー姫と同じように目をぱちくりさせると、隣でルークが静かに笑っていた。
「なぜわたくしの婚約を受け入れてくださらなかったのですか? わたくし、とても寂しかったのですよ?」
「るせぇな! てめぇが生理的に無理だからに決まってんだろうが! 気持ちわりぃんだよクソが!」
ヴォルクはそう怒鳴り散らす。
「なっ……!?」
恐らく人生で初めて向けられたであろう罵声に、メアリー姫は顔を真っ青にする。
「え、婚約ってどういうこと?」
僕はボソッとルークに尋ねる。
「多分、エミルが婚約破棄された直後くらいに、ヴォルクに婚約の申し出があったんだよ。でも、アイツ、使者の目の前でその書状をビリビリに破いて、それをそのまま持ち帰るように言って使者を追い返したんだ」
ルークもそうコソッと返してくれた。
「あっ、そう言えばメアリー姫、強い戦士がどうのこうの言ってたような気がする……。それってヴォルクのことだったんだ……」
僕たちは黙ってヴォルクらのやりとりを見守ることにする。
「それで今度はエミルが大魔道士になったからって再度婚約だと? 魔道士がひ弱だとかほざきやがったのはどの口だ!?」
「ひぃぃ……」
メアリー姫は恐怖で萎縮する。
すると、兵士の1人が武器を構えてメアリー姫の前へと割り込んだ。
「き、貴様……何たる無礼者! こちらはフルル王国第13王女メアリー殿下であらせられるぞ! 殿下への侮辱はフルル王国への侮辱である!」
「黙れよ、矮小国の王族の底辺が偉そうに威張ってんじゃねぇぞ」
ヴォルクはそう唸ると大剣で兵士の武器を素早く弾き飛ばし、兵士の首元に刃を突きつける。
「てめぇこそ口の聞き方には気をつけやがれ。俺は“リベルタ自由連合国『連合代表』であり、エリミナ領当主ヴォルク・エリミナ”」
ヴォルクはそう名乗り、兵士を思いっきり蹴り飛ばす。
その圧を感じたのか、メアリー姫と他の兵士たちはその場にさっと土下座をした。
ヴォルクは今度はそんなメアリー姫の額に大剣の刃を突きつけた。
「俺や俺の大事なエミルへの侮辱は十数の領土を束ねるリベルタ自由連合国全体への宣戦布告も同じ。てめぇらみてぇなエリミナの町くらいしか領土のねぇ矮小国、一瞬で国全体が消し炭になると思え」
「我が家来が無礼を働き大変申し訳ございませんでした……!」
メアリー姫は額に刃を突きつけられたまま、ピクリとも動かずにそう言葉を絞り出す。
「無礼を働いたのはてめぇの家来だけじゃねぇだろ……?」
「はっ、はい! わたくしもヴォルク様やエミル様に多大な無礼を働いてしまい、誠に申し訳ございませんでした……!」
「これに懲りたらもう二度とこのエリミナ領の地にその汚ねぇ足跡を付けんじゃねぇ……。分かったらさっさと失せろクズ共が!」
「ひぃぃぃ! 失礼致します!」
メアリー姫を先頭に、尻尾を巻いて逃げ出す兵士たち。
ギルドの外は一瞬でまた静かで穏やかな空気へと逆戻りした。
729
あなたにおすすめの小説
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました
聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています
八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。
そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる