【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音

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18話 メアリー姫の没落

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 4人で遠征をして特別依頼を全てこなし、無事に達成してアジトへ帰還した次の日。

 僕たちは旅の疲れを癒やすため、この日は全員依頼や討伐をせずにアジトでのんびりコーヒーを飲んでいた。


 すると、激しくアジトの扉を叩く音が聞こえてくる。

⸺⸺ドンドンドンッ!

「んだよ、ったりーな……ケントお前出ろ」
 と、ヴォルク。

「はいはい、しょうがないなぁもう……どちら様ですかー?」

 ケントもダルそうに扉を開ける。すると、そこにいたのは……。

「ギルド牙狼のアジトで間違いないか?」
 先頭の兵士がケントへそう尋ねる。

「そうだけど……」

「こちらはフルル王国第13王女メアリー・フルル殿下にあらせられる。本日はエミル・オベールと再度婚約をするため、メアリー殿下本人がわざわざ出向いた次第だ」
 と、兵士さん。

「はぁ……」
 ケントは興味なさ気に返事をする。

 すると、馬車からメアリー姫が降りてくるのが確認できた。

「うわ……本当にメアリー姫だ……はぁ……もういいんだけど……」
 僕は深くため息をつく。

 そんな僕の表情を見たヴォルクは席を立つと入り口へ向かい、ケントをどけてメアリー姫の前へ仁王立ちをした。

「てめぇ、どのツラ下げて来やがった」
 ヴォルクはメアリー姫を思いっきり見下す。

「なっ、わたくしはフルル王国の王族よ。そんな失礼な態度取って……って、あなたはヴォルク・エリミナ様!」
 メアリー姫はそう言って目をぱちくりとさせる。

「ヴォルク……エリミナ様……!?」
 僕もメアリー姫と同じように目をぱちくりさせると、隣でルークが静かに笑っていた。

「なぜわたくしの婚約を受け入れてくださらなかったのですか? わたくし、とても寂しかったのですよ?」

「るせぇな! てめぇが生理的に無理だからに決まってんだろうが! 気持ちわりぃんだよクソが!」
 ヴォルクはそう怒鳴り散らす。

「なっ……!?」
 恐らく人生で初めて向けられたであろう罵声に、メアリー姫は顔を真っ青にする。


「え、婚約ってどういうこと?」
 僕はボソッとルークに尋ねる。

「多分、エミルが婚約破棄された直後くらいに、ヴォルクに婚約の申し出があったんだよ。でも、アイツ、使者の目の前でその書状をビリビリに破いて、それをそのまま持ち帰るように言って使者を追い返したんだ」
 ルークもそうコソッと返してくれた。

「あっ、そう言えばメアリー姫、強い戦士がどうのこうの言ってたような気がする……。それってヴォルクのことだったんだ……」


 僕たちは黙ってヴォルクらのやりとりを見守ることにする。

「それで今度はエミルが大魔道士になったからって再度婚約だと? 魔道士がひ弱だとかほざきやがったのはどの口だ!?」

「ひぃぃ……」
 メアリー姫は恐怖で萎縮する。

 すると、兵士の1人が武器を構えてメアリー姫の前へと割り込んだ。

「き、貴様……何たる無礼者! こちらはフルル王国第13王女メアリー殿下であらせられるぞ! 殿下への侮辱はフルル王国への侮辱である!」

「黙れよ、矮小国わいしょうこくの王族の底辺が偉そうに威張ってんじゃねぇぞ」

 ヴォルクはそううなると大剣で兵士の武器を素早く弾き飛ばし、兵士の首元に刃を突きつける。

「てめぇこそ口の聞き方には気をつけやがれ。俺は“リベルタ自由連合国『連合代表』であり、エリミナ領当主ヴォルク・エリミナ”」

 ヴォルクはそう名乗り、兵士を思いっきり蹴り飛ばす。
 その圧を感じたのか、メアリー姫と他の兵士たちはその場にさっと土下座をした。

 ヴォルクは今度はそんなメアリー姫の額に大剣の刃を突きつけた。

「俺や俺の大事なエミルへの侮辱は十数の領土を束ねるリベルタ自由連合国全体への宣戦布告も同じ。てめぇらみてぇなエリミナの町くらいしか領土のねぇ矮小国、一瞬で国全体が消し炭になると思え」

「我が家来が無礼を働き大変申し訳ございませんでした……!」
 メアリー姫は額に刃を突きつけられたまま、ピクリとも動かずにそう言葉を絞り出す。

「無礼を働いたのはてめぇの家来だけじゃねぇだろ……?」

「はっ、はい! わたくしもヴォルク様やエミル様に多大な無礼を働いてしまい、誠に申し訳ございませんでした……!」

「これに懲りたらもう二度とこのエリミナ領の地にそのきたねぇ足跡を付けんじゃねぇ……。分かったらさっさと失せろクズ共が!」

「ひぃぃぃ! 失礼致します!」

 メアリー姫を先頭に、尻尾を巻いて逃げ出す兵士たち。

 ギルドの外は一瞬でまた静かで穏やかな空気へと逆戻りした。

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