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新章突入! ラストダンジョンで勇者パーティーに捨てられたから、あたしお家に帰りたいです。
光と闇の戦士たち(4)
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「いっけない、忘れてた! ねえセーリャ、回復魔法って使える? あたしたち体力がほとんど無くって、めっちゃピンチなのよ」
「それは存じ上げておりますが……まあいいでしょう。今は気分がとっても良いので、そこのエロトカゲも含めて全員回復して差し上げます」
「なんだと、貴様ッ!」
たしかに、ダイラーはスケベ前科二犯だからエロいことに間違いはないけれど、突然の暴言にぶちギレたエロトカゲは、剣を中段に構えてセーリャを威嚇した。
「ちょっとダイラー、落ち着いて! この子はもともとこーゆー性格なの! 許してあげてよ、ね? 相手は女の子なんだしさ!」
『中級全体治癒魔法!』
「……ほらね、こうして回復してくれたんだし、お願いします! 許してあげてください!」
ダイラーの怒りを鎮めようと、両手を合わせて何度も拝み倒す。セーリャのフォローに慣れているとはいえ、まさかこんな緊迫している場面でも代わりに謝ることになるだなんて。やっぱりあたしにとって、ラストダンジョンは鬼門でしかないと思う。
「……くっ!」
結局、激おこのダイラーは、あたしたちに背を向けて最前列まで飛んでいってしまった。鉄仮面で表情がわからないけど、きっとめっちゃ怒ってるんだろうな。
「ロア、我にはもう時間が残されていない。ダ=ズール様を倒すのであれば、光の戦士と同等の闇の力も必要になる。しかし、このまま戦い続けても、ヴァインたちや我らに勝機は見いだせないだろう」
「うん……それはわかってる。でも、あたしが知っている闇属性の攻撃魔法だけじゃ、そんなにダメージが与えられるとは思えないし……ねえミメシス、なにか一発逆転できる超強力な必殺技とかないの?」
「そんなものはない」
「いえ、あります」
「なんだと?」
セーリャの突然の一言で、話の流れが変わる。
「まさか……本当にあるの?」
「はい。わたくしなら、あんな神のなりそこないに負けは致しません。ただ……」
「(なりそこない?)ただ? なにか問題でもあるの?」
「見てのとおり、わたくしの翼はひとつしかございません。ですから、それには先ず、失われたもう片方の翼がどうしても必要になります」
悲しそうな瞳をしたセーリャは、そう言いながら、なにも無い左側の背中を肩ごしに見つめていた。
いつもどおりの服装と様子の彼女とはいえ、ひとつだけ大きな違和感がある。それは大きな翼だ。
もちろん、あたしが知っている彼女には翼なんて生えてはいない。けれども、メイド服の背中には、濡羽色の立派な大きい翼がなぜか右側にだけ存在している。
片翼の堕天使──ふと、そう呼ばれている神話の登場人物がいたような気がした。なにかの古文書で読んだはずなんだけど、今はそのふたつ名しか思い出せなかった。
「なら、結局はなにも出来ないということではないのか?」
「その答えは〝いいえ〟です。ひとつだけ、わたくしの翼を再生させる方法があるのです」
「あるなら早く教えなさいよ、もう! で、その方法って、いったいなんなの?」
「光の戦士のチカラです」
「…………んん?」
「おまえ……まさか……!」
いまいち意味がよくわからないけど、ミメシスはなにかを察したようで、怒りの感情をあらわにした。
「えっ、なになに? セーリャ、わかりやすく説明してよ」
「ロア、我が代わりに説明してやろう。ようするに、おまえの生命力と魔力をこいつに捧げろと言っているのだ」
「ササゲロ? え? ごめん、まだわかんないや」
「ウフフ、そのままの意味でございます」
天使のような笑顔で、ずいぶんと物騒なことを言えるのが彼女らしいと言えばそれまでだけど、今回ばかりは「はいそうですか」で済まされないし、フォローもできなかった。
「じゃあさ、つまりその、あたしに〝死ね〟って言ってるわけ?」
「そうではありませんわ」
「なにが違う? おまえがやろうとしていることは、光の女神フリーディアが禁じた超古代の秘術だろ? 堕天使のおまえを完全体に復活させるための、な」
「えええええっ?! セーリャ、あなたって堕天使だったの!?」
「ちょっとだけ違います」
「騙されるな、ロア! こいつは間違いなく冥界を統べる王、人間ではない!」
「それもちょっとだけ違います」
「ロア! 我を信じろ!」
なんだかもう、なにがなんだか理解が追いつかない。どちらも正しくて、どちらも間違ってはいないだろう。だけどあたし的には、親友と命の恩人との板挟みにあってしまい、どちらの意見もひとつにしぼって取り入れられなかった。
「あー……えーっと、その、大切なことだから訊いておきたいんだけど、力をあなたに捧げたら、あたしは死んじゃうの?」
「いえ。あそこのデカブツをぶっ殺す分だけの力が必要なので、生命力に関しては、ほんの少し頂くだけでございます」
「ほんの少しって、どれくらい?」
「ざっくり四十年分くらいの寿命です」
「そんなに!?」
けれども、この場で死んでしまえばそれまでだ。残りの人生と天秤にかけるまでもなく、答えは簡単に導きだせた。
「……やりましょう、その秘術とやらを。こうなったら、とことんやってやろうじゃないの!」
「それは存じ上げておりますが……まあいいでしょう。今は気分がとっても良いので、そこのエロトカゲも含めて全員回復して差し上げます」
「なんだと、貴様ッ!」
たしかに、ダイラーはスケベ前科二犯だからエロいことに間違いはないけれど、突然の暴言にぶちギレたエロトカゲは、剣を中段に構えてセーリャを威嚇した。
「ちょっとダイラー、落ち着いて! この子はもともとこーゆー性格なの! 許してあげてよ、ね? 相手は女の子なんだしさ!」
『中級全体治癒魔法!』
「……ほらね、こうして回復してくれたんだし、お願いします! 許してあげてください!」
ダイラーの怒りを鎮めようと、両手を合わせて何度も拝み倒す。セーリャのフォローに慣れているとはいえ、まさかこんな緊迫している場面でも代わりに謝ることになるだなんて。やっぱりあたしにとって、ラストダンジョンは鬼門でしかないと思う。
「……くっ!」
結局、激おこのダイラーは、あたしたちに背を向けて最前列まで飛んでいってしまった。鉄仮面で表情がわからないけど、きっとめっちゃ怒ってるんだろうな。
「ロア、我にはもう時間が残されていない。ダ=ズール様を倒すのであれば、光の戦士と同等の闇の力も必要になる。しかし、このまま戦い続けても、ヴァインたちや我らに勝機は見いだせないだろう」
「うん……それはわかってる。でも、あたしが知っている闇属性の攻撃魔法だけじゃ、そんなにダメージが与えられるとは思えないし……ねえミメシス、なにか一発逆転できる超強力な必殺技とかないの?」
「そんなものはない」
「いえ、あります」
「なんだと?」
セーリャの突然の一言で、話の流れが変わる。
「まさか……本当にあるの?」
「はい。わたくしなら、あんな神のなりそこないに負けは致しません。ただ……」
「(なりそこない?)ただ? なにか問題でもあるの?」
「見てのとおり、わたくしの翼はひとつしかございません。ですから、それには先ず、失われたもう片方の翼がどうしても必要になります」
悲しそうな瞳をしたセーリャは、そう言いながら、なにも無い左側の背中を肩ごしに見つめていた。
いつもどおりの服装と様子の彼女とはいえ、ひとつだけ大きな違和感がある。それは大きな翼だ。
もちろん、あたしが知っている彼女には翼なんて生えてはいない。けれども、メイド服の背中には、濡羽色の立派な大きい翼がなぜか右側にだけ存在している。
片翼の堕天使──ふと、そう呼ばれている神話の登場人物がいたような気がした。なにかの古文書で読んだはずなんだけど、今はそのふたつ名しか思い出せなかった。
「なら、結局はなにも出来ないということではないのか?」
「その答えは〝いいえ〟です。ひとつだけ、わたくしの翼を再生させる方法があるのです」
「あるなら早く教えなさいよ、もう! で、その方法って、いったいなんなの?」
「光の戦士のチカラです」
「…………んん?」
「おまえ……まさか……!」
いまいち意味がよくわからないけど、ミメシスはなにかを察したようで、怒りの感情をあらわにした。
「えっ、なになに? セーリャ、わかりやすく説明してよ」
「ロア、我が代わりに説明してやろう。ようするに、おまえの生命力と魔力をこいつに捧げろと言っているのだ」
「ササゲロ? え? ごめん、まだわかんないや」
「ウフフ、そのままの意味でございます」
天使のような笑顔で、ずいぶんと物騒なことを言えるのが彼女らしいと言えばそれまでだけど、今回ばかりは「はいそうですか」で済まされないし、フォローもできなかった。
「じゃあさ、つまりその、あたしに〝死ね〟って言ってるわけ?」
「そうではありませんわ」
「なにが違う? おまえがやろうとしていることは、光の女神フリーディアが禁じた超古代の秘術だろ? 堕天使のおまえを完全体に復活させるための、な」
「えええええっ?! セーリャ、あなたって堕天使だったの!?」
「ちょっとだけ違います」
「騙されるな、ロア! こいつは間違いなく冥界を統べる王、人間ではない!」
「それもちょっとだけ違います」
「ロア! 我を信じろ!」
なんだかもう、なにがなんだか理解が追いつかない。どちらも正しくて、どちらも間違ってはいないだろう。だけどあたし的には、親友と命の恩人との板挟みにあってしまい、どちらの意見もひとつにしぼって取り入れられなかった。
「あー……えーっと、その、大切なことだから訊いておきたいんだけど、力をあなたに捧げたら、あたしは死んじゃうの?」
「いえ。あそこのデカブツをぶっ殺す分だけの力が必要なので、生命力に関しては、ほんの少し頂くだけでございます」
「ほんの少しって、どれくらい?」
「ざっくり四十年分くらいの寿命です」
「そんなに!?」
けれども、この場で死んでしまえばそれまでだ。残りの人生と天秤にかけるまでもなく、答えは簡単に導きだせた。
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