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4章
過去との決着 4
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「じゃあ……あなたが国から配給されたものをずっと横流ししてたのは、その鉱山を自分の手に入れるため……? そのためにシオンに罪を着せて、ランソルさんまで殺したって言うのっ!?」
思わず言葉が口からこぼれ落ちた。
本当はシオンがくるまでできるだけクロイツたちを刺激するなと言われていたのだ。けれど、あまりのくだらない理由を耳にして我慢がならなかった。
そんなくだらないもののために兵たちは戦地でひどい扱いを受け、そんな兵たちを守ろうとしたシオンとランソルの人生を、幸せを滅茶苦茶にしたなんてどうしても許せなかった。
「それの何が悪い? 誰しも金や利権を欲しがるものだろう。お前だって、あの領地を誰からも奪われないためにシオンを利用したのだろう」
「え……?」
クロイツのねっとりとした視線が、心の奥底を探るように注がれていた。
「くくっ。とうに調べはついている。お前たちは、互いの利を満たすために利用し合っていたのだろう。まがいものの結婚、という形を取って。そのために周囲を欺き、だましていたのではないか? それと一体何が違うというのだ?」
「それは……」
言葉に詰まった。事の大小の差はあれ、確かに結婚という制度を利用して周囲をだまし、自分たちの目的を果たそうとしたことに変わりはない。ただ誰かを故意に傷つけたり、不幸に貶めるまではいかなかっただけで。
(まがいもの……。私とシオンの関係は……、まがいものなの……?)
なんと言われようと、人の命を犠牲にしてまで悪だくみをしたわけじゃない。けれど今になってあらためて、自分の浅はかさが身に染みた。
いくら大切な領地を守るためだからって、シオンの家族や領地の人たちをだましていいはずはなかったのに。
それでも、クロイツと同じなんかじゃない。自分の私利私欲を満たすために人の命や人生を踏みにじってもいいだなんて、そんなこと考えたこともない。
そんな気持ちで、きっと顔を上げ反論しようとしたその時だった。
ギィィィィィッ……!
扉がゆっくりと開き、シオンが姿を現したのだった。
「遅かったじゃないか。待ちくたびれて、懐かしい昔話をしていたところだ」
ランソルの名前が出た瞬間、シオンがギリ、と歯を噛み締めたのがわかった。
「まぁいい。話の続きをしよう」
クロイツは焦る様子もなく、淡々と話し続けた。
「ある日、お前が私を疑いはじめていることに気がついた。あの事故の少し前、お前は私の部屋からある紙を盗み出しただろう? あれは大事な相手方に渡す予定の取引書の控えでね」
クロイツはカツカツと靴音を響かせながら、シオンの前に立った。
「まぁ渡すべき原本は別にあったし、あんな暗号化された紙切れ一枚で疑いがかかるとも思えなかったからね。放っておこうとも思ったんだが……」
クロイツは一瞬言葉を切って、吐き捨てた。
「ポケットに入れておいたはずのそれをうっかり落としてしまってね。それをランソルが拾ってしまったんだよ。もっともそれが何を意味しているのかなど、あの馬鹿な平民男にはわかっていなかったろうがね。その上それをあいつはどこかにやってしまった」
クロイツはさすがにあの紙切れを外部に持ち出されては、何者かがその意味に気づくかもしれないと考えた。そして――。
「だからお前とランソルを一時に消そうと思ったのだ。暴発事故で何もかも木っ端みじんになれば、証拠もろとも邪魔なものをきれいさっぱりこの世から消すことができるからな」
「そんな……そんなことのために……。たったそれだけの理由で……あいつは……お前に……」
シオンの声が震えていた。
「そんなくだらない理由で……ランソルは……」
「シオン……」
全身をぶるぶると怒りで震わせ、シオンが低くつぶやく。
「……たかが使い捨ての駒だろう。戦いで死ぬか、不運な事故で死ぬかの違いだ。どうということもあるまい」
次の瞬間、シオンが椅子ごとクロイツに体当たりしようとするのをクロイツの部下たちが止めにかかった。どうにか堪えたシオンが、憎々しげにクロイツをにらみつける。
「シオン……、落ち着いて……! お願いっ」
今は、フェリクスたちの助けが入るまでどうにか時間稼ぎをするしかないのだ。きっとどこかで、突入のタイミングを見計らっているはずだから。
下手に刺激して殺されでもしたら、何にもならない。
その声に、シオンは荒く息を吐き出しゆっくりと深呼吸を繰り返した。
ようやくいつもの落ち着きを取り戻したシオンが、クロイツに告げた。
「すでにお前が黒幕である証拠は、フェリクス殿下がつかんでいる」
「なんだと……?」
クロイツの眉が、ピクリと上がった。
「でなければ、俺が解放されるわけがないだろう。今頃俺の行方がわからないとなれば、すぐにでもお前とガイクスを捕えにかかるはずだ」
「ふんっ……。そんな戯言を誰が信じると思う。証拠などあるはずが……」
クロイツがそう言って笑みを浮かべた瞬間、外からものすごい轟音が響き渡った。
「なっ……何だっ!? この音と揺れは一体……?」
教会全体をガタガタと震わせるような音と立っていられないほどの衝撃に、クロイツとその部下たちがどよめく。
その隙にシオンがシャツの袖口に仕込んでいたらしいナイフで自分を縛っていた縄を切り、こちらに走り寄った。シオンに抱きかかえられるように、頭上から崩落する瓦礫から身を守りながら扉方向へとふたりで走った。
それに気づいたクロイツが、大声で叫んだ。
「止めろっ! シオンもその女も逃がすなっ。ふたりとも殺せっ! もしも逃げられでもしたら私は……」
そう言いかけたクロイツの声が、ぴたりと止まった。
「……なん、で……。まさかこんなところに……フェリクス王子がくるはず……」
あんぐりと口を開いたまま、クロイツは扉の方を見つめ立ち尽くしていた。
「フェリクス殿下……! ここは危ないですっ。すぐに外へ……」
驚いたのはクロイツだけではなかった。まさかフェリクスが捕縛を命じた護衛とともにこんな場所にやってくるとはさすがに想定していなかった。
しかも、計画にあったよりもはるかに大胆で豪快な突入方法だ。まさかこんな派手な捕り物をするとは、聞いていない。
とは言えまずはフェリクスにけがのひとつでもあれば、大変なことになる。慌ててフェリクスを外に連れ出そうとするけれど、フェリクスは涼しい顔で瓦礫の降り注ぐ教会の中に立っていた。
まさかとは思うけれど、この緊迫した状況を楽しんでいるようにも見える。だとしたらとんでもない。
「お願いですから、外に……! もうっ、フェリクス殿下ったら!」
しびれを切らして怒鳴りつけたくなったその時、ようやく外からの衝撃が止みわらわらと兵士たちが武器を手になだれ込んできた。
「クロイツ……! 観念しろ。すでにお前のしたことはすべて明るみに出た。隣国にも使者をやり、相手方貴族の身柄も拘束済みだ」
「な……なんだとっ!? まさか……そんなはずは……」
「当時のシオンの証言で相手方の正体はわかっていたんだよ。ご丁寧に家紋入りの馬車などで、取引場所に乗り付けるからだ。つまり結局お前が手にしたのは、横流ししたものを売り払ったわずかな小金だけ、ということになるな」
「……‼」
わなわなと体を震わせ、クロイツがその場に崩れ落ちた。すでに部下たちは兵たちに捕縛され、次々に引き立てられていく。
残るはクロイツだけだった。
クロイツが呆然とつぶやく。
「嘘だ……。私にはガイクス殿下が……こんなにあっけなくバレるはずがない……。フェリクス王子など、ガイクス殿下より格下ではないか! 玉座を手にするのは、ガイクス殿下なのだぞっ! なのになぜお前ごときがっ……!」
身分も状況も忘れわめき立てるクロイツを、フェリクスは冷ややかに見下ろした。
「お前は本気であんな男に未来を託すつもりだったのか? あいつは、今朝の時点でとっくに身柄を拘束されているよ。これまでの行動とこの一件で、ガイクスは終わりだ。……残念だったな」
フェリクスからもたらされたその知らせに、クロイツは魂が抜けたようにその場に崩れ落ちた。
思わず言葉が口からこぼれ落ちた。
本当はシオンがくるまでできるだけクロイツたちを刺激するなと言われていたのだ。けれど、あまりのくだらない理由を耳にして我慢がならなかった。
そんなくだらないもののために兵たちは戦地でひどい扱いを受け、そんな兵たちを守ろうとしたシオンとランソルの人生を、幸せを滅茶苦茶にしたなんてどうしても許せなかった。
「それの何が悪い? 誰しも金や利権を欲しがるものだろう。お前だって、あの領地を誰からも奪われないためにシオンを利用したのだろう」
「え……?」
クロイツのねっとりとした視線が、心の奥底を探るように注がれていた。
「くくっ。とうに調べはついている。お前たちは、互いの利を満たすために利用し合っていたのだろう。まがいものの結婚、という形を取って。そのために周囲を欺き、だましていたのではないか? それと一体何が違うというのだ?」
「それは……」
言葉に詰まった。事の大小の差はあれ、確かに結婚という制度を利用して周囲をだまし、自分たちの目的を果たそうとしたことに変わりはない。ただ誰かを故意に傷つけたり、不幸に貶めるまではいかなかっただけで。
(まがいもの……。私とシオンの関係は……、まがいものなの……?)
なんと言われようと、人の命を犠牲にしてまで悪だくみをしたわけじゃない。けれど今になってあらためて、自分の浅はかさが身に染みた。
いくら大切な領地を守るためだからって、シオンの家族や領地の人たちをだましていいはずはなかったのに。
それでも、クロイツと同じなんかじゃない。自分の私利私欲を満たすために人の命や人生を踏みにじってもいいだなんて、そんなこと考えたこともない。
そんな気持ちで、きっと顔を上げ反論しようとしたその時だった。
ギィィィィィッ……!
扉がゆっくりと開き、シオンが姿を現したのだった。
「遅かったじゃないか。待ちくたびれて、懐かしい昔話をしていたところだ」
ランソルの名前が出た瞬間、シオンがギリ、と歯を噛み締めたのがわかった。
「まぁいい。話の続きをしよう」
クロイツは焦る様子もなく、淡々と話し続けた。
「ある日、お前が私を疑いはじめていることに気がついた。あの事故の少し前、お前は私の部屋からある紙を盗み出しただろう? あれは大事な相手方に渡す予定の取引書の控えでね」
クロイツはカツカツと靴音を響かせながら、シオンの前に立った。
「まぁ渡すべき原本は別にあったし、あんな暗号化された紙切れ一枚で疑いがかかるとも思えなかったからね。放っておこうとも思ったんだが……」
クロイツは一瞬言葉を切って、吐き捨てた。
「ポケットに入れておいたはずのそれをうっかり落としてしまってね。それをランソルが拾ってしまったんだよ。もっともそれが何を意味しているのかなど、あの馬鹿な平民男にはわかっていなかったろうがね。その上それをあいつはどこかにやってしまった」
クロイツはさすがにあの紙切れを外部に持ち出されては、何者かがその意味に気づくかもしれないと考えた。そして――。
「だからお前とランソルを一時に消そうと思ったのだ。暴発事故で何もかも木っ端みじんになれば、証拠もろとも邪魔なものをきれいさっぱりこの世から消すことができるからな」
「そんな……そんなことのために……。たったそれだけの理由で……あいつは……お前に……」
シオンの声が震えていた。
「そんなくだらない理由で……ランソルは……」
「シオン……」
全身をぶるぶると怒りで震わせ、シオンが低くつぶやく。
「……たかが使い捨ての駒だろう。戦いで死ぬか、不運な事故で死ぬかの違いだ。どうということもあるまい」
次の瞬間、シオンが椅子ごとクロイツに体当たりしようとするのをクロイツの部下たちが止めにかかった。どうにか堪えたシオンが、憎々しげにクロイツをにらみつける。
「シオン……、落ち着いて……! お願いっ」
今は、フェリクスたちの助けが入るまでどうにか時間稼ぎをするしかないのだ。きっとどこかで、突入のタイミングを見計らっているはずだから。
下手に刺激して殺されでもしたら、何にもならない。
その声に、シオンは荒く息を吐き出しゆっくりと深呼吸を繰り返した。
ようやくいつもの落ち着きを取り戻したシオンが、クロイツに告げた。
「すでにお前が黒幕である証拠は、フェリクス殿下がつかんでいる」
「なんだと……?」
クロイツの眉が、ピクリと上がった。
「でなければ、俺が解放されるわけがないだろう。今頃俺の行方がわからないとなれば、すぐにでもお前とガイクスを捕えにかかるはずだ」
「ふんっ……。そんな戯言を誰が信じると思う。証拠などあるはずが……」
クロイツがそう言って笑みを浮かべた瞬間、外からものすごい轟音が響き渡った。
「なっ……何だっ!? この音と揺れは一体……?」
教会全体をガタガタと震わせるような音と立っていられないほどの衝撃に、クロイツとその部下たちがどよめく。
その隙にシオンがシャツの袖口に仕込んでいたらしいナイフで自分を縛っていた縄を切り、こちらに走り寄った。シオンに抱きかかえられるように、頭上から崩落する瓦礫から身を守りながら扉方向へとふたりで走った。
それに気づいたクロイツが、大声で叫んだ。
「止めろっ! シオンもその女も逃がすなっ。ふたりとも殺せっ! もしも逃げられでもしたら私は……」
そう言いかけたクロイツの声が、ぴたりと止まった。
「……なん、で……。まさかこんなところに……フェリクス王子がくるはず……」
あんぐりと口を開いたまま、クロイツは扉の方を見つめ立ち尽くしていた。
「フェリクス殿下……! ここは危ないですっ。すぐに外へ……」
驚いたのはクロイツだけではなかった。まさかフェリクスが捕縛を命じた護衛とともにこんな場所にやってくるとはさすがに想定していなかった。
しかも、計画にあったよりもはるかに大胆で豪快な突入方法だ。まさかこんな派手な捕り物をするとは、聞いていない。
とは言えまずはフェリクスにけがのひとつでもあれば、大変なことになる。慌ててフェリクスを外に連れ出そうとするけれど、フェリクスは涼しい顔で瓦礫の降り注ぐ教会の中に立っていた。
まさかとは思うけれど、この緊迫した状況を楽しんでいるようにも見える。だとしたらとんでもない。
「お願いですから、外に……! もうっ、フェリクス殿下ったら!」
しびれを切らして怒鳴りつけたくなったその時、ようやく外からの衝撃が止みわらわらと兵士たちが武器を手になだれ込んできた。
「クロイツ……! 観念しろ。すでにお前のしたことはすべて明るみに出た。隣国にも使者をやり、相手方貴族の身柄も拘束済みだ」
「な……なんだとっ!? まさか……そんなはずは……」
「当時のシオンの証言で相手方の正体はわかっていたんだよ。ご丁寧に家紋入りの馬車などで、取引場所に乗り付けるからだ。つまり結局お前が手にしたのは、横流ししたものを売り払ったわずかな小金だけ、ということになるな」
「……‼」
わなわなと体を震わせ、クロイツがその場に崩れ落ちた。すでに部下たちは兵たちに捕縛され、次々に引き立てられていく。
残るはクロイツだけだった。
クロイツが呆然とつぶやく。
「嘘だ……。私にはガイクス殿下が……こんなにあっけなくバレるはずがない……。フェリクス王子など、ガイクス殿下より格下ではないか! 玉座を手にするのは、ガイクス殿下なのだぞっ! なのになぜお前ごときがっ……!」
身分も状況も忘れわめき立てるクロイツを、フェリクスは冷ややかに見下ろした。
「お前は本気であんな男に未来を託すつもりだったのか? あいつは、今朝の時点でとっくに身柄を拘束されているよ。これまでの行動とこの一件で、ガイクスは終わりだ。……残念だったな」
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