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プロローグ
プロローグ
しおりを挟むはるは高校三年生で、期末テストが目前に迫っていた。
放課後の教室には同じように残って勉強する生徒がちらほらいて、
はるも小テストの問題集を解きながら、気づけば日が沈みかけていた。
(今日は早く帰るつもりだったのにな…)
苦手な教科に手こずり、帰り支度を整えた頃にはすっかり空の色が変わっていた。
曖昧な夕暮れ。
校門を出たばかりのはるは、手に持った鞄を握り直す。
雲は重く垂れ込め、光はあるのに温度だけが感じられない。
それが、はるの胸の奥に小さな違和感を感じさせた。
(……なんか、変な感じがする)
テスト勉強で疲れているだけだと思おうとするけれど、
雲の間をすり抜けて吹くひやりとした風が、それを否定するように頬を撫でた。
喉の奥がざわざわして、鼓動だけが妙に速い。
信号のない細い交差点に差し掛かったとき、その感覚はピークに達した。
風が一瞬だけ止んだように感じた。
耳鳴りが、遠くで金属をこする音のように鳴る。
右から、けたたましいタイヤの引きずる音が迫った。
バァン――!
荷台の帆をばたつかせ、トラックが角を無理に切った勢いでこちらへ迫ってくる。
(……え)
体が動かない。
足が地面に縫い付けられたみたいだった。
視界が白く――いや、眩しく光る。
トラックのフロントライトが、はるの体を真正面から照らす。
(……あ、これ……だめだ)
その瞬間、世界が破裂したような光に包まれた。
衝撃も、痛みも、来なかった。
ただ、体がふっと浮くような浮遊感だけが残り――
意識を手放した。
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