[異世界恋愛短編集]お望み通り、悪役令嬢とやらになりましたわ。ご満足いただけたかしら?

石河 翠

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1.お望み通り、悪役令嬢とやらになりましたわ。ご満足いただけたかしら?

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「女王陛下、会議のお時間です」

 文官としても武官としても能力に優れている夫は、武官と文官の両方の仕事に口を挟んだあげく、うまい具合に橋渡しを行っている。常人には行えない仕事ぶりには、目をみはるばかりだ。うやうやしく首を垂れる夫にレイラは優しく声をかけた。

「あなたは王配なのに、第一線で働きすぎではありませんこと?」
「レイラさまは、仕事熱心な人間をお好きだと知っておりますもので。できる限りの力で、お役に立つつもりです」
「働き者の旦那さまを持って、私は幸せ者ですわ」

 レイラはころころと笑い声を上げた。この男が、男爵令嬢が言うところの「魔王」となる器の持ち主であることも、男が魔王となるきっかけはレイラが不当に踏みにじられていたからであったことも、今となっては誰も知ることのない事実なのであった。
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