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2.私のせいではありません。諦めて、本音トークごと私を受け入れてください
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マジでこの銀の杭、どうしようかなあ。とりあえず、引き出しにしまっておくか。世の中には不注意で転んで、お尻にいろんなものが挿さってしまう不運な殿方も多いらしい。ヒヤリハットの法則で考えると、旦那さまがうっかりして杭が心臓に刺さることもないとは言えないよね。
もそもそと引き出しを開けていたら、珍しく旦那さまが私の部屋にやってきた。まだ昼日中にもかかわらず胸元がはだけてる! なんですかそのサービスショット! しかも、よくわからないけれど、寝台に横になった。これは、「おいで」っていう台詞が発動するパターンか?
ひゃっほうとルパンダイブしようとしたら、旦那さまが私の手元をガン見していた。いけない、殺意がないことをアピールしておかなくちゃ。にへらと笑って見せたら、旦那さまが両手を広げた。やはりこれは「おいで」のポーズだったか! 銀の杭を放り出し、ジャンプしたところでなぜかとっ捕まえられ、逆に寝台に身体を押し付けられた。もう、旦那さまったら情熱的なんだから。
「なぜ杭を使わない?」
『何を言ってるんですか?』
「狙いやすくするために、胸元をがら空きにしていたというのに。なぜ杭を投げ捨てた」
『はあ?』
私は旦那さまの妻なのに、旦那さまを殺して元の世界に帰りそうだと思われていたってこと? 出会い方はとんでもなかったとはいえ、私はストレートに好意をぶつけていた。旦那さまに食べられるなら本望だってずっと言っていたはずなのに。正直、めちゃくちゃイラっとした。先ほど放り投げた杭を拾い直して、旦那さまにうっかり挿して喘がせても許されると思う。
「おい、どさくさに紛れて嫌な拷問を考えるな!」
『痛いことはいたしません。新しい世界を開くだけです』
「変な妄想はやめろ!」
『まったくもって失礼な。エロに貴賤はないんですよ?』
めくるめく妄想を羽ばたかせようとしたら、軽く鼻をつままれた。本当にひどい。妙齢の乙女相手とはとても思えない扱いだ。もうちょっと妻らしく扱ってほしい。吸血鬼的っぽく餌として食べるなり、性的に食べるなり、どっちでもいいからさ。
「いくら魔力が枯渇しているとはいえ、望まぬままこの世界にやってきた少女に手を出すほど落ちぶれてはいない」
『この世界に来たのは偶然ですけれど、一目ぼれしたんだから別に良くないですか? あと、私は成人女性ですけれど?』
この世界の人々は……いや、転移前の日本でもそうだけれど、誰も私の話を聞いてくれなかった。旦那さまだけが、私のことを考え、対等に扱ってくれた。こんな寄る辺ない世界で、自分の好みど真ん中のひとに優しくされたら、そりゃあ恋に落ちるでしょうがよ。
「一目ぼれ? それに成人だと?」
『今、胸を見ましたね? すっげえ小さいって思いましたね? 確かに私は身長も胸の大きさも日本人の平均以下ですけれど! 胸が大きくないと成人判定来ないとかマジ終わってるわ!』
一目ぼれうんぬんより、胸の大きさが気になるんかい! それより、向こうの家族は大丈夫なのかとか、聞くとこは他にいっぱいあるだろ! まあ、向こうの家族は問題ないけど! おのおの自由に好き勝手に生きているタイプの人間だけれど!
「嘘ではないのだな?」
『嘘なんか吐くわけないじゃないですか。そもそもこの状態で、嘘が吐けると思いますか? 最初から旦那さまには心の声を全部聞かれている状態なのに?』
「心の声がこんなにうるさい人間は初めてだ」
『読心能力はもともとの旦那さまの能力なので、私のせいではありません。諦めて、本音トークごと私を受け入れてください』
はあと、深々と旦那さまが大きなため息を吐いた。
もそもそと引き出しを開けていたら、珍しく旦那さまが私の部屋にやってきた。まだ昼日中にもかかわらず胸元がはだけてる! なんですかそのサービスショット! しかも、よくわからないけれど、寝台に横になった。これは、「おいで」っていう台詞が発動するパターンか?
ひゃっほうとルパンダイブしようとしたら、旦那さまが私の手元をガン見していた。いけない、殺意がないことをアピールしておかなくちゃ。にへらと笑って見せたら、旦那さまが両手を広げた。やはりこれは「おいで」のポーズだったか! 銀の杭を放り出し、ジャンプしたところでなぜかとっ捕まえられ、逆に寝台に身体を押し付けられた。もう、旦那さまったら情熱的なんだから。
「なぜ杭を使わない?」
『何を言ってるんですか?』
「狙いやすくするために、胸元をがら空きにしていたというのに。なぜ杭を投げ捨てた」
『はあ?』
私は旦那さまの妻なのに、旦那さまを殺して元の世界に帰りそうだと思われていたってこと? 出会い方はとんでもなかったとはいえ、私はストレートに好意をぶつけていた。旦那さまに食べられるなら本望だってずっと言っていたはずなのに。正直、めちゃくちゃイラっとした。先ほど放り投げた杭を拾い直して、旦那さまにうっかり挿して喘がせても許されると思う。
「おい、どさくさに紛れて嫌な拷問を考えるな!」
『痛いことはいたしません。新しい世界を開くだけです』
「変な妄想はやめろ!」
『まったくもって失礼な。エロに貴賤はないんですよ?』
めくるめく妄想を羽ばたかせようとしたら、軽く鼻をつままれた。本当にひどい。妙齢の乙女相手とはとても思えない扱いだ。もうちょっと妻らしく扱ってほしい。吸血鬼的っぽく餌として食べるなり、性的に食べるなり、どっちでもいいからさ。
「いくら魔力が枯渇しているとはいえ、望まぬままこの世界にやってきた少女に手を出すほど落ちぶれてはいない」
『この世界に来たのは偶然ですけれど、一目ぼれしたんだから別に良くないですか? あと、私は成人女性ですけれど?』
この世界の人々は……いや、転移前の日本でもそうだけれど、誰も私の話を聞いてくれなかった。旦那さまだけが、私のことを考え、対等に扱ってくれた。こんな寄る辺ない世界で、自分の好みど真ん中のひとに優しくされたら、そりゃあ恋に落ちるでしょうがよ。
「一目ぼれ? それに成人だと?」
『今、胸を見ましたね? すっげえ小さいって思いましたね? 確かに私は身長も胸の大きさも日本人の平均以下ですけれど! 胸が大きくないと成人判定来ないとかマジ終わってるわ!』
一目ぼれうんぬんより、胸の大きさが気になるんかい! それより、向こうの家族は大丈夫なのかとか、聞くとこは他にいっぱいあるだろ! まあ、向こうの家族は問題ないけど! おのおの自由に好き勝手に生きているタイプの人間だけれど!
「嘘ではないのだな?」
『嘘なんか吐くわけないじゃないですか。そもそもこの状態で、嘘が吐けると思いますか? 最初から旦那さまには心の声を全部聞かれている状態なのに?』
「心の声がこんなにうるさい人間は初めてだ」
『読心能力はもともとの旦那さまの能力なので、私のせいではありません。諦めて、本音トークごと私を受け入れてください』
はあと、深々と旦那さまが大きなため息を吐いた。
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