身代わりで生贄となりましたが、なぜか聖女になってしまいました。美味しく食べられることが最終目標なので、聖女認定は謹んでお断りします!

石河 翠

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 神さまへの生贄になることが決まった。なんてことはない、生贄に指名されたはずの領主の娘が泣いて嫌がったから、領主が替え玉を用意することにしたってわけ。

 よくある話とはいえ、それが自分の父親だって思うと正直ひくよね。すみません、私も一応あんたの娘なんですけどその辺りどう理解してらっしゃるんですかね?

「お前のせいで、我が最愛の彼女は死んだのだ。せめて生贄として役に立て」

 あー、そういう感じ? なるほど理解した……いやいや、おかしいでしょ。そもそも病弱な上に、すでに許嫁がいた村娘を無理やり手篭めにしたのは誰だって話だよ。

 それとも何か、子どもは無性生殖で生まれてきたとでも思ってるわけか? 脳みそ、フォークでかき回してやるぞ、ゴルァ。

「それでは我が身にご満足いただけますよう、ご支援をよろしくお願いいたします」
「は?」
「当然でございます。生贄として、領主の娘を要求してきたのです。こちらも一応領主の娘とはいえ、ボロを身にまとった醜女しこめの庶子を差し出せば、話が違うとお怒りになられることでしょう」

 神さまへの生贄として、粗悪品を差し出すとかなんの度胸試しだよ。せめて金を出してとりつくろえ。

「万が一替え玉だとバレてしまえば、お嬢さまの身に危険が及ぶやもしれません」
「それを防ぐのがお前の役割だろうが!」
「もちろんでございます。ですから、そのためにもご領主さまにはお力添えをいただかねばなりません」

 一連のやり取りを、心配そうな顔で養父母が見ている。苦労をかけてごめんなさい。せめて少しでも恩返しさせて。

 今まで放置していた父親がのこのこ現れたんだもの。利用しない手はない。せいぜい私が死ぬまで金づるとして働いてくださいね。声には出さないまま、小さく微笑んだ。
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