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二 渦
山城リリの父
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しかし、
《先輩、うちの場合、初祈祷料は二千円からですよ》
料金の心配をする俺を、山城がおかしそうに笑った。
《それに、悠里も朝美も私の友達だから、先輩が気にすることはないですよ》
良心的な神社であることにホッとした俺は、彼女の家に連れて行ってもらうことにした。
「一応ね、のし袋に入れて、初穂料とか玉串料って書かないとダメなんだって」
自分の家だが、社務所に声をかけた山城がどこからかのし袋と筆ペンを持ってきて俺に渡した。
書いた袋に、堀も合わせて、一人千円ずつ入れる。
拝殿に入る前に身を清める意味でお手水する。
御社殿に通され、三人で正座して待っていると、御幣の紙垂を持ち、神主の装束を纏った男性が現れる。
山城リリの父親だろう。顔がそっくりだ。
烏帽子、白い狩衣。
まるで平安京からやって来たかのような神主の姿に、懐かしさを覚える。
「呪いを祓ってほしい、ということですが、身に覚えがあるのですか?」
神主が目の前に座って、まっすぐに俺を見て尋ねた。
「呪いをかけられたのは俺じゃないです」
こういう説明は苦手だ。
「あ、あのね! 私の同級生に生霊が取り憑いて、おまけに髪の毛で呪いかけられてるみたいなの」
山城が、父に寺院で見つけた髪の毛と十円玉が入ったペットボトルを差し出す。
「本人から預かったのか? なぜ当人は来ない?」
訝しげに首を傾げた神主は、今度は堀を見た。
「本人は呪われたのも知らずに追い詰められて飛び降り自殺図ったんですよ! かろうじて助かってますけど、また何があるかわからない。何とかしてあげてください!」
こういうのは熱い男から話したほうがいい。
「うむ」
半信半疑な様子でペットボトルの髪の毛を見つめた神主は、ゆっくりと立ち上がって祈祷の準備を始めた。
はじめにお祓いの開始を告げる太鼓が叩かれる。
次は修祓というお祓いに先立ち、心身をお祓いする儀式。
祓詞と呼ばれる短い祝詞を奏上したのち、榊でお祓いしてもらう。この時は低頭しなけらばならない。
シン……とした御社殿内に、神主が動くたびに衣擦れの音と、そして禊祓詞を唱える声が響き渡る。
「高天の原に神留ります 神魯岐 神魯美の命以ち ―――諸々の禍事罪穢を祓い給い清め給えと白す事の由を天津神・国津神・八百万の神等共に聞し食せと恐み恐み白す」
唱えながら、目の前の空間・自分の心が神聖な場(高天原)になるとイメージすることが大事だという。
《先輩、うちの場合、初祈祷料は二千円からですよ》
料金の心配をする俺を、山城がおかしそうに笑った。
《それに、悠里も朝美も私の友達だから、先輩が気にすることはないですよ》
良心的な神社であることにホッとした俺は、彼女の家に連れて行ってもらうことにした。
「一応ね、のし袋に入れて、初穂料とか玉串料って書かないとダメなんだって」
自分の家だが、社務所に声をかけた山城がどこからかのし袋と筆ペンを持ってきて俺に渡した。
書いた袋に、堀も合わせて、一人千円ずつ入れる。
拝殿に入る前に身を清める意味でお手水する。
御社殿に通され、三人で正座して待っていると、御幣の紙垂を持ち、神主の装束を纏った男性が現れる。
山城リリの父親だろう。顔がそっくりだ。
烏帽子、白い狩衣。
まるで平安京からやって来たかのような神主の姿に、懐かしさを覚える。
「呪いを祓ってほしい、ということですが、身に覚えがあるのですか?」
神主が目の前に座って、まっすぐに俺を見て尋ねた。
「呪いをかけられたのは俺じゃないです」
こういう説明は苦手だ。
「あ、あのね! 私の同級生に生霊が取り憑いて、おまけに髪の毛で呪いかけられてるみたいなの」
山城が、父に寺院で見つけた髪の毛と十円玉が入ったペットボトルを差し出す。
「本人から預かったのか? なぜ当人は来ない?」
訝しげに首を傾げた神主は、今度は堀を見た。
「本人は呪われたのも知らずに追い詰められて飛び降り自殺図ったんですよ! かろうじて助かってますけど、また何があるかわからない。何とかしてあげてください!」
こういうのは熱い男から話したほうがいい。
「うむ」
半信半疑な様子でペットボトルの髪の毛を見つめた神主は、ゆっくりと立ち上がって祈祷の準備を始めた。
はじめにお祓いの開始を告げる太鼓が叩かれる。
次は修祓というお祓いに先立ち、心身をお祓いする儀式。
祓詞と呼ばれる短い祝詞を奏上したのち、榊でお祓いしてもらう。この時は低頭しなけらばならない。
シン……とした御社殿内に、神主が動くたびに衣擦れの音と、そして禊祓詞を唱える声が響き渡る。
「高天の原に神留ります 神魯岐 神魯美の命以ち ―――諸々の禍事罪穢を祓い給い清め給えと白す事の由を天津神・国津神・八百万の神等共に聞し食せと恐み恐み白す」
唱えながら、目の前の空間・自分の心が神聖な場(高天原)になるとイメージすることが大事だという。
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