下賜される王子

シオ

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◆ 幕間

1、下賜される夜(1)

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 ついに、その夜がやってきた。

 私は姫宮として清玖に下賜された。それゆえ、姫宮として清玖と対峙する。それは私に、ある種の緊張をもたらした。

 結局のところ、愛する人と愛し合うだけのことなのだが、それでも私は今まで正式な姫宮として清玖に、向き合ったことがない。

 彼を待つ。姫宮の寝所でじっと、清玖の来訪を待っていた。論功行賞の後、私はすぐに清玖を迎え入れる準備を整えた。万全の状態である。それなのに、胸の中には形容し難い不安でいっぱいだった。

「吉乃、入っていいか」

 清玖がやって来た。私は寝台の上で、びくりと体を震わせる。だらしなく座り込んでいた状態から正座になり、姿勢を正す。

「……どうぞ」

 声が僅かに裏返ってしまった。恥ずかしい。緊張し過ぎている自分が恥ずかしく、羞恥に身悶えていると、戸が開いた。清玖が部屋へ入って来る。

 清玖もすでに湯浴みを済ませているのだろう。随分と身軽な格好だった。菖蒲色の長い髪を緩く一つに縛り、肩から前へ垂らしてる。私を見るその濃紺の双眸は熱を孕んでいるように見えて、私の胸も高鳴る。

「……凄い格好だな」
「え、あ、あの、これは……姫宮の正装、のようなもので」

 すっかり忘れていた。今、私は姫宮としての装束を纏っているが、清玖がこれを見るのは初めてだった。清玖の視線が私の全身をくまなく撫でていく。改めて格好について言及されると、恥ずかしさが募った。

「随分と扇情的だ」

 清玖が一歩また一歩と私に近付き、寝台に登る。そのままの流れで、私の額に口付けを落とした。

「相手を、……その気にさせるための格好なんだ」
「こんな格好をしなくても、吉乃に寝所に招かれて、その気にならない男なんていないよ」
「そんなことは……」

 続く言葉は封じられる。清玖の唇が、私の言葉を飲み込んだ。ゆっくりと背後に倒されて、清玖は私に覆いかぶさる。

 清玖の熱くて、太い舌先に口内を撫でられると、堪らない気持ちになるのだ。腰のあたりがぞわぞわとして、身を捩ってしまう。

「ふ……っ、う、……しん、……しん」

 唇が離れて、呼吸が許されるたびに、私は清玖の名を呼んでしまう。清玖の背中に手を伸ばし、ぎゅうっと抱きついた。そんな私の頭を、清玖の手が撫でる。

「ずっと……ずっと、こうしたかった」
「それは俺の台詞だよ。吉乃が、俺の名を呼んで鳴くたびに、堪らなく幸福な気持ちになる」
「……私も。すごく、幸せ」

 そうして、再び私たちは唇を啄ばみ合う。私たちの間に横たわる空白の期間を埋め合うように、ただひたすらに貪り合った。

「……前に、清玖じゃない人に抱かれている時に、間違えて、しんって呼んでしまったんだ」
「誰が相手だったんだ?」
「オルドローズのユーリイ殿下だよ」
「あぁ、吉乃を清玄から連れ出した奴か」

 清玖の目が急速に冷めたものになった。険を孕んで鈍く光る眼球。それを伏せて、清玖は私の首筋を舐める。

「それで、その殿下に怒られた?」
「いや……、ユーリは変な性癖を持っていて、清玖を愛して止まない私を抱くことに、興奮を覚えるらしい。怒られなかったどころか、喜んでたよ」
「略奪愛が性癖なんて、厄介な奴だな。あまり相手をして欲しくない」
「……私も、ユーリとは極力友人のような関係でいたい」
「友人、ね」

 清玖が軽く鼻先で嗤う。そんな笑われ方をしたのは初めてのことで、戸惑う。怒っているのだろうか、と不安になって私は私の胸に頬を寄せている清玖を伺った。

「……清玖、怒ってる?」
「怒ってないよ。ごめん、怖がらせた?」
「少し……」
「ごめんね」

 怒っていないと言いつつも、清玖は怒っているように見えた。それを誤魔化すために笑っているように見える。もやもやとした気持ちが生まれ始めた丁度その時、清玖が私の胸の先端を口に咥えた。

「あっ……、ゃっ、あ……あっ、あっ……っ」

 胸の突起を舌先で愛撫され、甘噛みされる。それだけでは済まず、噛まれたまま引っ張られ、そして離された。じんじんとした痛みが、何故だが私の下半身に淫らな気持ちをもたらす。

 清玖の口先に翻弄されている乳首とは逆のそれは、清玖の指がぎゅうぎゅうと押し潰して、少し痛い。痛いのに、気持ち良くて、頭の中が真っ白になっていった。

「しんっ、しん、もう、つらい……っ」
「何が辛いの?」
「下、下の……っ、下のが、つらい……から、たすけて」

 胸を散々弄ばれて、私の下半身はすでに立ち上がっていた。触られていないそこが、きゅうきゅうと苦しい。それは痛いほどだった。早く下のものも撫でて慰めて欲しい。

「下のって、どっち? 俺のを入れて欲しいの?」
「そ、それもある……けど、でも、入れる、じゃなくて……っ」

 どうして触ってくれないのだろう。薄すぎる姫宮の衣装はもうすでに肌蹴ている。私の下半身には僅かに紗がかかっているが、それももう先走りで濡れて、ぬるぬると鈍い光を帯びていた。

「言って、吉乃。何を触って欲しいの?」
「えっ、えっ……なんて言えばいいのか……わかんない、わかんないよ、しん、やだ、はやく……っ」

 清玖の両手が私の胸を揉みしだいて、突起を親指で圧し潰す。足ががくがくと震えていた。太腿の内側が痙攣している。

 もうだめだ。早く達したい。でも清玖は触ってくれない。何と言えばいい。何と言えばいいのだったか。姫宮の教書に書いてあったのに、思い出せない。

「ごめ、なさい……っ、わかんない…、わかんない、しんく……っ、さわって、さわって欲しい……っ」

 目からぽろぽろと涙が零れ落ちて、清玖の姿が見えなくなる。その涙を、清玖の舌先が拭ってくれた。そんな風に、舌先でもいいから、私の下のものを撫でて。良い子、良い子と、優しく撫でて宥めすかして欲しい。

「相変わらず、俺の吉乃は感じやすい」

 清玖は、羽織っていた浴衣を脱ぎ捨てて、逞しい肉体を晒す。なんて格好良いんだろう。均衡の取れた美しい筋肉。厚い胸板に抱きしめられたい。

「じゃあ、吉乃。俺の手を、触って欲しいところまで持って行って。それなら出来るね?」
「できる、できるから……はやく……っ」

 私の前に、清玖の手が差し出され、私はそれを握りしめて己の中心へ持っていく。やはりそこは既に濡れて、随分と立ち上がっていた。清玖の手を動かして、私のものを握らせる。直後、清玖が私の願いを叶えた。

「あっ……!! あっ、あ……!」

 だらしなく、口から悲鳴が漏れ続ける。清玖が私のものを強く握り、上下に激しく扱いたのだ。その温かさ、強さ、そして何より清玖の手であるということに、私のそれは歓喜して、勢い良く白濁したものを噴出した。

 噴き出したそれは、私の腹を汚し、清玖の手も白く染め上げた。肩で息をする。呼吸がなかなか整わない。手についた残滓を、清玖が舐め上げていた。妖艶なその姿に、体が再び疼く。

「随分と濃いな。……久しぶりだったか?」
「……富、寧の相手をしたあとから……ずっと、してない」
「そうか。富寧ぶり、か」

 もしかすると、私はまた余計なことを言ったのかもしれない。ぼうっとした頭で、思考がろくに機能していなかった。清玖はまた、怒りを押し殺すような笑みになっていた。

 一瞬、清玖が私から離れる。怒らせて、去って行ってしまうのかと思い、慌てて身を起こした。そんな私に清玖は、どこにも行かないよ、と囁いて口付けをくれる。

 言葉の通り、清玖は香油を手に戻ってきた。清玖のものが、私を貫くのだという予感を抱いて私の後孔がきゅうと疼く。

「足を開いて」

 私の体は、清玖に従順だった。おずおずと足を開く。すると、清玖の手が私の膝を立たせ、更に開脚させた。何もかもが清玖の前にに晒し出されている。緩く立ち上がったものも、きゅうきゅうと疼いて仕方のない後孔も。全てが清玖の前に晒された。

 そして、香油の瓶が差し出される。蓋はすでに開けられていた。どういうことだろう、と首を傾げれば、清玖はとても優しい笑顔を見せた。

「自分で後ろを解してごらん」
「え……、自分、で?」
「そう。見ててあげるから。出来るだろう?」

 出来るか、出来ないかで言えば、出来る。だが、清玖がしてくれるものだとばかり思っていた。少しがっかりした気持ちになる。

「吉乃が、一生懸命、俺のものを受け入れる準備をしてくれれば、俺のものも嬉しくなって大きくなるよ。吉乃、大きいので貫かれたいだろう?」

 耳元で甘く囁かれる。大きいので、痛いほどに貫いて欲しい。ぐりぐりと肉を割いて、私の奥の奥まで暴いて、清玖でいっぱいにして欲しい。

「……ちゃんと、見ててね」
「もちろん。ずっと見てるよ」
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