レンズ越しの彼は……

なめめ

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衝動的なキス

衝動的なキス①

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一度不機嫌にしてしまうと彼の機嫌はなかなか直らない。

それ以降、佐野夫婦が来たタイミングも相まって遼人と話す機会が減ってしまい、ついには縁日が終わっても言葉を交わすことはなかった。片付けを終えていざ声を掛けようと思っても気がつけば彼の姿はどこにもなかった。

約束通り、星杏ちゃんが「旭、行こう?」迎えに来てくれたので河川敷の花火を見に行く。

しかし星杏ちゃんと並んで空を眺めていても何処か上の空だった。夜空に打ち上がる花火は綺麗なのに、気が気ではなかったのは遼人のことを考えていたからだった。

「旭、元気ないけどどうしたの?」
「えっと……。遼のことが気になって……」

 上の空であることがバレてしまったのか、星杏ちゃんに問われて狼狽える。

「ふーん。旭の元気ない時ってさ、大体遼人と喧嘩した時だよね」
「えっ……」

 特に意識していた訳ではないが、彼女に言われて思い返してみれば、思い悩んでしまう時は大抵遼人と喧嘩した時だ。遼人の考えていることが分からなくて、彼の気持ちを汲んであげられなかった時、酷く落ち込む自分がいた。

「ずっと遼人のこと考えてばっかでしょ」
「そ、そんなことはないよ……」

「旭って嘘つけないからバレバレ、多分きっといつものとこだよ」
「でも……」

「あたしはいいから。どうせ振られた身だし、旭を独り占めしたくて図々しくお願いしただけだから」
 星杏ちゃんを一人この場所に残しておくわけにはいかない。でも、遼人のことが気になって仕方がない。
「ほーら、行きな?あたしは大丈夫だから」

彼女が笑顔で肩を押して促してきた勢いで旭は「ごめん」と彼女に謝ると急いでその場から駆けだした。

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