24 / 33
衝動的なキス
衝動的なキス③
しおりを挟む「お前が星杏に誘われたんだろ‼なんで俺も行くんだよ。大体、人混み嫌いなくせになんでのこのこ星杏の誘いに乗ってんだよ……。俺だって旭と行きたかったのに……。周りだってお前らの事お似合いだってはやし立ててきてさ、あんな二人して浴衣姿見せられたんじゃ……」
瞳を涙を浮かべながら訴えてくる遼人を見て、星杏ちゃんに想いを告げられたことへの後ろめたさと今までの自分の行いを悔いた。
「ごめん……。でも、僕星杏ちゃんは家族みたいなものだから……。お似合いだとかそういう風に思ったことなくて……」
いつも三人一緒だった幼い頃。どちらかが欠けたらどちらかが憂いに思うのは当然のことで、旭は昔から二人には平等に接しようと気を付けていた。遼人も誘うか、断るべきだったんだろう……。
ひたすら謝ることしかできない。
「分かったから、謝んなっ」
「僕最近、遼を寂しくさせてばっかだから……。本当にごめん」
「もういいって」
「でも、僕が悪いから……」
「しつこいっ」
彼に突っぱねられてしまう程、彼との溝が深くなるような気がして旭を不安にさせる。本人は『いい』と言っているものの、本当に許してもらえているのかも分からない……。
「遼……」
「いい加減に……」
旭は居た堪れなさから遼人が顔を上げた瞬間、腕を掴んで抱き寄せると唇を重ねた。一瞬だけ触れて離れた感触の余韻を残しながら、遼人の顔を覗く。暗くてよく見えないが心なしか遼人の表情に艶めかしさを感じた。
「な、なにすんだよっ」
肩を強く押されて、旭はバランスを崩して少しだけ後ろへよろける。
「何って……。キスしたら遼、許してくれるかなって……」
「はぁ⁉意味わかんねぇ。恋愛も碌に知らない奴が一丁前にキスとかすんじゃねぇよ」
右手の甲で唇を拭われ、遼人が大声を上げる。これじゃあ、周りの迷惑になりかねない。旭は自身の口元に人差し指を当てた。
「遼、声大きい。周りの迷惑になるから」
「迷惑って、旭が変な事するからだろ‼」
「別に変なことじゃないよ……。嫌じゃなかったし」
ほんの数秒の出来事だったけど、遼人の唇の感触が残っている。柔らかくてどこか擽ったかったけど嫌な気分はしなかった。
「キスって言うのはなぁ、好きな人とするもんなんだぞ。幼馴染がこんなことするなんておかしいだろ……」
一方で遼人は頭をクシャクシャにかき回して困惑しているようだった。自分が衝動的に起こしたことでここまで遼人を困らせるとは思ってなかった。
けれど旭の中で不確かであった感情が明確になった気がする。もちろん、許してほしい一心もあった。だけど、自分は遼人のことが好きな感情は皆のいう恋心のような気がした。
目の前の動揺を隠せない遼人を愛おしいと思う。
愛おしくて触れたい……。
そういえば遼人には好きな人がいると言っていた。
誰なんだろう……。
もしかしたら、悪いことをしてしまったかもしれない……。
旭は我に返ると「ごめん。だよね……今の、忘れて……」と呟き、遼人に背を向け公園を出て行った。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。
ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。
幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。
逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。
見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。
何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。
しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。
お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。
主人公楓目線の、片思いBL。
プラトニックラブ。
いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。
2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。
最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。
(この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。)
番外編は、2人の高校時代のお話。
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
寡黙な剣道部の幼馴染
Gemini
BL
【完結】恩師の訃報に八年ぶりに帰郷した智(さとし)は幼馴染の有馬(ありま)と再会する。相変わらず寡黙て静かな有馬が智の勤める大学の学生だと知り、だんだんとその距離は縮まっていき……
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
恋の闇路の向こう側
七賀ごふん
BL
学校一の優等生として過ごす川音深白には、大切な幼馴染がいる。
家庭の事情で離れ離れになった幼馴染、貴島月仁が転校してくることを知った深白は、今こそ昔守られていた恩を返そうと意気込むが…。
────────
クールで過保護な攻め×完璧でいたいけど本当は甘えたい受け
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる