レンズ越しの彼は……

なめめ

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仲直りのアイス

仲直りのアイス③

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「宿題、進んだ?」
「知らねぇ……」

 そっぽを向いたまま答えてきた態度はいい加減で、例の一件のことを未だに根に持っていることは明らかだった。宿題だって星杏ちゃんが居れば、時々ペンを持つ仕草を見せるが進んでいるようには見えない。

「こないだのことは謝る。遼の気持ちを考えずに凄く無神経なことをしたって反省してる。
遼のことを傷つけたかったわけじゃないっていうか……。遼と喧嘩したままは嫌だから、仲直りしてもらえると有難いなーって思ってるんだけど……」

 例え話を聞いてもらえていなくても、遼人との関係が危惧癪したままではいたくなかった。

「旭はあの時嫌じゃなかったのか?」

 頭を起こして此方を見てくる瞳は鋭かった。どういう意図で聞いてきているのか、読めない。しかし、あの時とはキスのことだろう。  

今でもあの時の熱を思い出して求めては思い出してしまう遼人との初めてのキス。柔らかくて、気持ちが沸き立つ感覚は不快感なわけがない。

「うん、全然」
「そう……」

 遼人はどうだったのだろうか……。
気になるけど聞けない。

 きっとあの瞬間から遼人に恋焦がれてしまったのは自分だけで遼人には別に想い人がいる。だから、怒ってる。
 彼からしたら自分とのキスは汚点になってしまったのかもしれない。

「アイス……」
「アイス?」

 右腕に頭を預けて、前方をみながらそう呟いた遼人に旭は首を傾げて問う。

「アイス奢ってくれたら許す」
「え?」

 思わぬ遼人からの言葉に耳を疑った旭は再び彼に聴き返すと耳朶がみるみるうちに赤く染まっていく。

「だからっ、アイス奢ってくれたら許すつってんだろ」

 遼人が頬を染めながら再度口にした言葉に、旭は救いの神が降りたのではと思ったと同時にアイス一つで許してくれる彼に胸が擽ったい気持ちになる。

「あ、うん。ごめっ。もちろん…。奢るっ。何がいい?バニラ?チョコ?抹茶?」
「バニラに決まってんだろ」
「うん、帰りに買いに行こう。でもその前に遼人は宿題終わらせなきゃ」
「何?何の話し?」

 戻ってきた星杏ちゃんが問うてくると、遼人は口元に含み笑みを浮かべながら答えた。

「旭がアイス奢ってくれんだって」

「ホント⁉」

 別に遼人だけ特別にとは思っていなかったが、双子の嬉々とした表情に圧倒される。
もしかしてそれが狙いだったのかと思うほど遼人の機嫌が良くなった気がする……。

「うん、星杏ちゃんは何が好き?」
「あたし、イチゴかなー」
「流石味音痴、シンプルが美味いに決まってんだろ」
「はぁ⁉何よ、別に何食べたっていいでしょ」

 宿題そっちのけでアイスの話を始める星杏ちゃんと遼人。
先程まで感じていた少し重たい空気がいつもの空気に変わり、安堵する。

遼人と仲直りが出来たことで安心すると同時に、きっと自分はこれ以上遼人に踏み込んではいけないのだと戒めになった。
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