スメルスケープ 〜幻想珈琲香〜

市瀬まち

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プロローグ

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 驚いた。もう十年も経つという。
 時間は、その経過とともに人の考え方を変化させる。今もそうだ。誰にも話すつもりのなかったあの出来事を、書き残そうと思っている。
 でも、どれだけ時を経ても色褪せない記憶というのは確かにある。
 ここに記すのは、小さな小さな喫茶店で起きた顛末だ。回想録ともいえる。けれど、この物語の主人公は俺ではない。
 これは彼の物語だ。
 不思議な話だとは思う。すぐには信じてもらえないだろう。夢を見ていたのだろうとか気でも狂ったのかとか、そんな批判だってあるだろう。
 構わない。
 それでも彼はいた。
 これは、ある人物の生き様の話だ。
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