思い込み、勘違いも、程々に。

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大変ね〜アウテリート視点〜

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「リグレットは昔からリアンの後ろを引っ付いては嫌がられてはいるんだが……照れ隠しと思っているらしいんだ」
「前向きな方ですわね」


 リアン様が誰を好きかでも、リアン様を誰が好きかでまた状況は変わる。婚約者がいないのも彼の人気を後押ししているのだが、筆頭がリグレット殿下とは……。
 王太子殿下とリグレット殿下は異母兄妹。正妃の子である王太子殿下、愛人の子であるリグレット殿下。
 身分の低い男爵令嬢を母に持つが陛下の若い頃からの愛人で大のお気に入り。且つ、母親にそっくりなリグレット殿下は陛下の寵愛が深い。王太子殿下といえど、あまり彼女を無碍にはできない。
 この国の国王夫妻の仲は故に冷え切っている。表では仲睦まじく振る舞っても、王宮内では部屋を分けている。食事すら一緒にしないのだとか。
 唯一の救いが王子が王太子殿下だけ、他の子供がリグレット殿下だけということ。


「これは内密だが……父上が何度もリグレットとリアンの婚約をロードクロサイト公爵に打診しているが……ずっと首を振られている」
「ひょっとして……」


 あたしの思考を読んだのか、でも、と難しい顔をされる。


「そうだとしても、今のところフィオーレ嬢がエーデルシュタイン伯爵家を継ぐのだろう? 考え難いな」


 確かに跡取り同士の婚約など聞いたことがない。今度、フィオーレにその辺はどう考えているのか聞かないと。


「とりあえず、リアンがフィオーレ嬢かエルミナ嬢、どちらを好きでもリアンが誰かを好きだという噂は流さない方がいい。リグレットは父上の寵愛深いのをいいことに昔から好き勝手している。おれが分かれば即注意をするんだが……治らなくて」
「以前、食堂で他生徒に無理矢理席を譲らせたのを陛下に報告すると言ってましたよね」
「建前上は。城に戻って一応報告してもあまり意味がない。母親の男爵令嬢にも従者を使って知らせたが……まあお察しだよ。反省文は書かせたよ。書かなかったら、今後一切おれに関わるなと言ったから」
「リグレット殿下は王太子殿下に嫌われるのは嫌なようですね」
「おれに嫌われるとリアンとの接点がなくなるからだろう。生徒会に入ってもリアンは主におれの手伝いだから距離を遠くしてる」
「大変ですわね……」


 夫婦仲の良さと兄弟仲の良さは隣国の方が何倍も上か。
 時にフィオーレの戻りが遅い。まさかあの子、このまま戻らないつもり?
 と疑いかけた時、沈んだ相貌で向こうから歩いて来るフィオーレが。随分と暗い顔をしてるのはどうして?
 食堂に近付くと首を振り、気持ちを入れ替えリアン様とエルミナ様の席へ行ってしまった。


「うん……リアンは分かりやすいな」
「付き合いの長い殿下にしか分かりませんわ」
「そうか? フィオーレ嬢が入った瞬間、表情が柔らかくなったぞ」
「変わったようには見えませんが」


 変わったのはエルミナ様な気がする。フィオーレの姿を見た途端、花が咲いたような笑みを浮かべた。主人の帰りを知って喜び尻尾を振る子犬みたい。


「おじ様もそろそろ行かれては?」
「そうだね。なら、2人も生徒会に戻った方がいいよ」
「そうしましょうか、殿下」
「名残惜しいがそうしよう」


 ずっと此処で見ていたくせに、先程生徒会から戻った風を装い食堂へ行ったおじ様の演技力に舌を巻きつつ、あたしと殿下は小走りで生徒会に戻った。
 中に入るとリグレット殿下が周囲に当たり散らしている場面に遭遇。王太子殿下がいない間に好き勝手してしまったみたいだ。彼が戻った途端「あ……」と漏らし、顔を蒼白にした。


「……はあ……」


 呆れか、それとも怒りからか。短い溜め息を殿下はリグレット殿下には目もくれず、周囲に指示を出して行った。
 慌てた彼女が殿下に話し掛けるも――――


「リグレット。明日からは来なくていい。邪魔をする者は此処にはいらない」
「っ!」


 突き出された宣告に更に顔を青くする。瞳に涙をたっぷりと溜め、走り去って行ったリグレット殿下を数人が追おうとするが「放っておけ」という王太子殿下の一言で足が止まった。

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