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私がいなくても大丈夫
しおりを挟む私の手を強く握りアウテリート様を見上げていた。
「お姉様は伯爵家を継ぐんです、グランレオド様と隣国へ行かせられません!」
「あら、冗談と捉えてくれなかったの。事実と捉えてくれても良いけれどね。フィオーレがいなくてもエルミナ様がいるじゃない」
「わ、わたしでは、伯爵家を継ぐには力不足です……お姉様が跡を継ぐのが最も適しています」
私が継がないとエルミナはリアン様と一緒になれないと考えているのだろう。
大丈夫よ。リアン様はあなたが伯爵家を継ぐことになってもあなたを諦めたりしない。
『予知夢』がそうだったから。
心配げに翡翠色の瞳が見つめる。安心させるように微笑み、頬を撫でた。
「私はエルミナが継いでも大丈夫と信じているわ。私に何かがあったら、エルミナが継ぐのだから、もっと胸を張ってしっかりしなきゃ」
「何かってなんですか? お姉様っ」
「例えばの話よ。深刻に感じないで」
尚不安が消えないエルミナの頭を撫でた後、タイミングを見計らったアウテリート様が再び声を発した。
「で、どうされますの? 王女殿下。このまま泣きながら陛下に言い付けますか? 隣国のグランレオド家の娘に泣かされたから、痛い目に遭わせろと」
「言われなくてもしてやるわよ! パパはわたくしのお願いは何でも聞いてくれるわ! そうやって偉そうにしていられるのも今の内よ!!」
「一体何の騒ぎだ」
待っていた方が漸く登場した。周囲の生徒の誰かに呼ばれ、慌てて駆け付けたのだろう。若干髪が乱れ、息が荒い。王太子殿下は対峙するアウテリート様と王女殿下、更に彼女の取り巻きを順番に視界に入れ、此方へと来た。
ちょっと遅れてリアン様まで……。
「アウテリート嬢、事情を聞かせてくれ」
「ええ……」
呆れと若干の疲れを滲ませた声色で説明をしたアウテリート様。途中何度も王女殿下に呆れの視線と溜め息を吐いた王太子殿下は、説明が終わると髪を雑に掻いた。彼のこんな姿は初めて……。
「……リグレット」
期待を込めた瞳で見つめる王女殿下へ今すぐ王城へ戻るよう指示を出された。殿下自身も一緒に戻るとも。
その言葉を聞き、自分に勝機があると悟った王女殿下が勝ち誇った笑みで私やアウテリート様を順に見た。
※エルミナの役不足→力不足に修正しました。ご指摘下さった方々ありがとうございます!
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