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しおりを挟む会場から発生した爆発音と強い揺れに思わずローゼライトは隣にいたダヴィデに抱き着いた。ダヴィデもローゼライトを受け止め揺れが収まるのを待った。
「止まった……」
ダヴィデに身体を離されると「此処にいろ」と告げられ、ダヴィデは会場へ走って行った。いろと言われても会場には父やフレアがいる。
ラルスに戻ろうと振り向くとショックを受けたような面持ちでいて。「ラルス?」と声を掛けるとハッとなったラルスに父やフレアが心配だから会場に戻ると告げると「僕も行く! ローゼライトを一人で行かせられない」二人で戻る事となった。
「……どうして僕を頼ってくれなかったんだ」
ヒールが高い靴を履きながらも出来るだけ走るローゼライトの耳がラルスの声を拾うも、会場中大パニックとなって他者の声でかき消され言葉までは分からなかった。
「あ!」
一緒に走っていても人の波が二人に迫り、ラルスは後ろへ、ローゼライトは前へ押されていった。
「ローゼライト!」
「ラルス! 私はお父様とフレアを探しに行くから、ラルスもおば様やおじ様を探して!」
「ローゼライトを一人に、」
「私は大丈夫だから!」
人混みを掻き分け父とフレアを必死に探す。遠くの方から魔法の衝突音や人の怒声、更には金属がぶつかり合う音も。魔法使いだけではなく騎士達も応戦している証拠だ。急いで二人を見つけたいローゼライトは魔力感知を使った。一定範囲内にいる相手の魔力の波長を見て父やフレアを探し出す。
「いないっ」
ローゼライトが今いる周囲に父もフレアもいない。更に魔力を増量させ範囲を広めるが見当たらない。
「もしかして、会場を出ている可能性があるかも!」
そうと決まれば逆走して会場を出ると決め、来た道を走り出した。幸い、奥へ進んでいたのはローゼライトだけで他は外へ向かって走る人だかりだったので今は多少人の量がマシだ。今の内にとローゼライトは外を目指した。
走っている最中視界に入ってしまった光景に思わず足を止めた。座り込み動けないヴィクトリアをラルスが横抱きにした。全幅の信頼を寄せるヴィクトリアの瞳と安心させる笑みを浮かべるラルス。場違いな感想ではあるが二人の姿はあまりにお似合いだった。側にいた令息に急かされたラルスが動き出したのを見たローゼライトも再び走り出した。
一際大きな爆発音が響き、地面が揺れて大勢を崩すローゼライト。再び走り出すべく立ち上がった時、ローゼライトの周囲だけ明るくなった。上を向いたら、大きな魔力の塊が迫っていて。
逃げないと死ぬ。
頭で理解しても体は理解してくれない。
——これじゃあ本当に死んでしまうわ……
致死量の魔力量が感知される大きな光の塊から逃げようにもどうしてだか足が動いてくれない。「ローゼライト!!」誰かの叫び声がした。ラルスだ。ヴィクトリアを抱えたままローゼライトの名を叫んでいる。
嫌いじゃない。
熱烈な愛情は持てなかったが好きではいた。
「ラルス。幸せにね」
声は届かなくても口の動きは何となくでもいいから伝わってほしい。せめて最後に残る自分の姿が酷い物になりたくなくて精一杯の笑みを浮かべ、ローゼライトは光に包まれた。
眩しい光で目を閉じたら「大人しくしてな」とダヴィデの声と共に温もりに包まれた。
——ヴィクトリアを友人に託してローゼライトを助けに行こうとしたラルスだが、光の塊がローゼライトの頭上に落下した直後爆発が発生し逆に他の友人に止められてしまった。
「ローゼ、ローゼっ!」
「無理だラルス! もう手遅れだ!!」
「嘘だ、ローゼライト、ローゼ!!」
一人ではラルスを止められないと判断した数人の友人達が加勢した。数人がかりで止めてもローゼライトがいた炎の中に飛び込もうとするラルス。無理矢理外へ出た時にはラルスは力なく泣いていた。
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