1 / 1
婚約者の妹に階段から突き落とされました。婚約破棄しますけど問題ありませんよね。
しおりを挟む私はローズ・トレニア。
この国の聖女を致しております。
ある日の夜会の事です。
階段を降りようと右足を一歩踏み出した時、私の後ろにいた誰かに背中を突き落とされました。身体がグラリと宙に浮き、右足は空をさまよい、階段を転げ落ちました。
「 痛たたたた。」
いくら聖女でも痛いものは痛いんです。
夜会でしたのでドレスにハイヒールを履いてるっていうのも、よくなかったですね。
私が階段の上の方を下から見上げると婚約者のゴードン殿下が、殿下の妹のサーシャに駆け寄って聞いていました。
「 大丈夫?ケガは無い?」
( イヤイヤ、ケガしてるのはこっちでしょー!)
「 うん、ローズが勝手に転んだのよ。」
サーシャは、いつも息を吐くように嘘をつきました。
サーシャはこの国のお姫様なのにどうしてこんな子に育ったの?って思うくらいに、ねたみや
そねみや嫌みの感情で一杯だったと思います。
私の聖女の力が気に入ら無いのか、嫌がらせやくだらない邪魔をして来ました。
サーシャには人の気持ちを思いやる心というか、優しさが欠けていたみたいです。
私は婚約者のゴードン殿下を好きで婚約者になったのではありません。
私には聖女の力がありました。
この国では聖女と王子が結婚するのが、昔からのしきたりだからです。
それでも私は、サーシャから意地悪されるたびに婚約者のゴードン殿下に相談しました。
いちおう彼は私の婚約者ですもの。
長い将来のために、サーシャ様にも私から歩み寄りました。
まぁ、それがますます彼女をつけ上がらせたのかもしれません。
「 嘘を言わないで下さい。あなたが私の背中を押して突き落としましたよね。」
サーシャの全身から、まがまがしいドス黒いオーラがたちのぼっているから。はっきりとくっきりと見えますから。
「 お前、調子に乗るなよ!
僕の可愛いサーシャがそんな事するはずが無いんだよ。
嘘つきの意地悪女め。
いつもサーシャを毛嫌いして悪口ばっかり言うくせに。
もう我慢出来ない。お前は嘘つきだ。
この婚約は破棄させてもらう。
大勢の人達の前で妹を侮辱したお前は国外追放だ。出て行け。
2度と顔を見せるな。」
ゴードン殿下は口からツバを飛ばして、大きな目をひん剥いて私に怒鳴り散らした。
せっかくのきれいな顔が台無しになってる。
美しい外見をしているけど、内面がもう外に出ているみたい。
( 彼は私の言う事を1度も聞こうとしなかったな。)
なんだかバカバカしくなってしまった。
ここまでの間に治療魔法で身体は治せましたけど、私も我慢の限界だから城を出ました。
精霊達に頼んで今までの真実を国民の目の前に映してもらいました。
私が歩くと後ろには国民の列が出来ました。
祖国には魔獣が侵入して、山は崩れ噴火して地面は燃え、水はニガヨモギの味になりました。
私は国民達を結界で守り、それぞれが行きたいところまで送り届けました。
これが私の復讐ですって?
いいえ、私は復讐なんてしてません。
全て神さまの言う通りなんですもの。
355
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄したので、元の自分に戻ります
しあ
恋愛
この国の王子の誕生日パーティで、私の婚約者であるショーン=ブリガルドは見知らぬ女の子をパートナーにしていた。
そして、ショーンはこう言った。
「可愛げのないお前が悪いんだから!お前みたいな地味で不細工なやつと結婚なんて悪夢だ!今すぐ婚約を破棄してくれ!」
王子の誕生日パーティで何してるんだ…。と呆れるけど、こんな大勢の前で婚約破棄を要求してくれてありがとうございます。
今すぐ婚約破棄して本来の自分の姿に戻ります!
妹に幸せになって欲しくて結婚相手を譲りました。
しあ
恋愛
「貴女は、真心からこの男子を夫とすることを願いますか」
神父様の問いに、新婦はハッキリと答える。
「いいえ、願いません!私は彼と妹が結婚することを望みます!」
妹と婚約者が恋仲だと気付いたので、妹大好きな姉は婚約者を結婚式で譲ることに!
100%善意の行動だが、妹と婚約者の反応はーーー。
皆様ごきげんよう。悪役令嬢はこれにて退場させていただきます。
しあ
恋愛
「クラリス=ミクランジェ、君を国宝窃盗容疑でこの国から追放する」
卒業パーティで、私の婚約者のヒルデガルト=クライス、この国の皇太子殿下に追放を言い渡される。
その婚約者の隣には可愛い女の子がーー。
損得重視の両親は私を庇う様子はないーーー。
オマケに私専属の執事まで私と一緒に国外追放に。
どうしてこんなことに……。
なんて言うつもりはなくて、国外追放?
計画通りです!国外で楽しく暮らしちゃいますね!
では、皆様ごきげんよう!
わざわざパーティで婚約破棄していただかなくても大丈夫ですよ。私もそのつもりでしたから。
しあ
恋愛
私の婚約者がパーティーで別の女性をパートナーに連れてきて、突然婚約破棄を宣言をし始めた。
わざわざここで始めなくてもいいものを…ですが、私も色々と用意してましたので、少しお話をして、私と魔道具研究所で共同開発を行った映像記録魔道具を見ていただくことにしました。
あら?映像をご覧になってから顔色が悪いですが、大丈夫でしょうか?
もし大丈夫ではなくても止める気はありませんけどね?
そのご令嬢、婚約破棄されました。
玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。
婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。
その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。
よくある婚約破棄の、一幕。
※小説家になろう にも掲載しています。
双子の妹は私から全てを奪う予定でいたらしい
佐倉ミズキ
恋愛
双子の妹リリアナは小さい頃から私のものを奪っていった。
お人形に靴、ドレスにアクセサリー、そして婚約者の侯爵家のエリオットまで…。
しかし、私がやっと結婚を決めたとき、リリアナは激怒した。
「どういうことなのこれは!」
そう、私の新しい婚約者は……。
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
四季
恋愛
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。
どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる