23 / 188
第23話 面倒ごとは調子のいい時にやってくる
しおりを挟む
ギルドマスターの勧めで僕たちは建物の後ろの方から脱出した。そして4人で以前利用していた隠れ家へ行く。そこは身体を洗わせてくれるじぃちゃん達のいる川のさらに下流。
そこには朽ちた廃屋があり、雨風くらいならしのげるためよく利用していた場所だ。中にいる子たちも知っている子達。たまに来てはできる範囲で援助をしていた。
これはストリートチルドレンの互助システムみたいなもので、後輩達に僅かながらでも援助するのが習わしなのだ。
「あんちゃん達お帰り。なんか恵んでおくれよ」
わらわらと子供たちが集まってくる。この中にいるのは年長でも14くらいだ。10歳になると大抵は冒険者になる。僕とリーネも10歳のときに冒険者になった。自分たちも何かしたいという気持ちがあったからだ。
もっとも、外に出られるのが12歳からで、魔法を覚えたのも13歳になってからなんだけどね。
「なぁ、今日の銀貨だけでもこいつらにやっていいよな?」
「うん、そうだね。これだけあれば当分は大丈夫だと思う」
僕は銀貨を63枚取り出す。少し多いけどそれは気持ちだ。それをこの中のリーダーのヘタイロスに渡す。彼は14と同じ歳で僕よりも背が高い。素手の喧嘩なら僕は余裕で負けるだろう。ここにいる7人を守る大役を買ってくれた優しい少年だ。
「悪いないつも。薬草集めだけじゃなかなかお金にならなくてな」
「仕方ないさ。ルード達は元気にしてるのか?」
ルードとはここ出身の冒険者パーティのリーダーだ。サルヴァンとルードの2つに別れてパーティを作ったのだ。
「ああ、あいつらも頑張ってるよ。3日前に来てくれた。それよりルウ、また文字を教えてくれよ」
「うん、わかった」
僕とリーネは週に最低2度はここに来て文字や計算を教えている。読み書きができればどこかで雇ってもらえるし、魔法だって覚えられる。これにはアレサやサルヴァン達も参加しているのだ。
ノートなんて洒落たものはないので地面に書いて勉強する。地面がノートでペンが木の枝だ。そうだ、勉強の成果を強化できないだろうか?
それから僕とリーネはみんなに読み書きを教えた。効率を強化したおかげかアレサも大分読み書きが出来るようになってきている。もう簡単な本なら読めるだろう。
ヘタイロス達と別れた後、僕たちは今日の大勝利を祝うためにまたあの定食屋にやって来た。お腹が空いてるなー、と思ったらお昼ご飯を食べていなかったんだよね。
中に入り、店員に案内されて四人席に座る。
アレサが早速メニューを持って文字を読み上げた。
「オークステーキ定食、これだな前に食べたやつは。これは銀貨5枚か。前のはランチで安かったんだな」
「お、アレサ読めてるじゃないか。俺にも見せてくれないか」
サルヴァンもアレサからメニューを受け取り書いてある文字を眺める。サルヴァンの顔が綻んでいるね。サルヴァンも読めているみたいだ。
「よし、俺はビフテキというやつにする! 銀貨10枚だけど今日はお祝いだしいいよな?」
「わ、いいな。じゃあ私もそれにする!」
「僕も」
「みんなそれか? なら私もだ」
結局みんなビフテキになった。僕は金貨で支払うと、銀貨60枚のお釣りを受け取る。小さな袋に50枚ずつ入れていて、勘定しやすいようにしてあるみたいだ。
そして僕たちはビフテキというご馳走を感動しながら食べていると誰かが話しかけてきた。しかも僕の肩に手を置き、顔を近づけてくる。距離感!
「なぁ、あんたら龍炎光牙だろ。見てたぜ、あのコカトリスを収納魔法から出すところをよ」
「…それで、何か御用ですか?」
僕は努めて気にしない振りをしながら相手を見ずに返事をする。舐められたらあかんねん。
「俺様のクラン『ガレスの下僕達』に入れ。拒否は認めねぇ」
「……ギルドマスターに相談中です」
「あ? 拒否権はねぇ、つったろ?」
あー、やっぱり面倒ごとかー。ギルドマスターに言われた通りだよ…。しかもこの高圧的な態度はなんなんだろうね。絶対ろくなクランじゃない。しかも名前がガレスの下僕たち?
なんか都合よく使われそうで嫌だな……。
「悪いけどやめてくれないか。僕たちの入るクランはギルドマスターにお願いしてある。ギルドマスターを通してくれ」
「おいおい、お前らみたいな駆け出しがクランに誘われるなんてそうあることじゃないんだぜ? 悪いようにはしねえ、いいから入れ」
サルヴァンが声をあげるが男は聞く耳を持っていない。やだなー、こんなとこで揉め事なんて。
「今食事中なんだ。離して欲しいな」
「あ? 舐めてんのかテメェ!」
うわ! なんて短気なんだろう。いきなり胸ぐら掴んで持ち上げるとか酷くない?
結構苦しいんだけど?
しかもこいつが大声出すもんだから周りの視線もこっちに集まるし…。
「お客さん、揉め事は困りますね。ここは食事をするところです。喧嘩をしたいなら出ていっていただけますか?」
軽く騒ぎになり、やたらとガタイのいい強面の店員が出てきた。迷惑男より頭1つくらい背が高い。あんなのに絡まれたらチビりそうだ。
「ちっ、はいはい悪かったよ」
迷惑男は引き下がると店を出て行った。助かった…。僕はホッ、と胸を撫で下ろすと店員にお礼を言った。
「お客様、お気になさらずに。ではお食事を続けてください」
強面の店員はニカッ、と白い歯を見せて笑うと立ち去って行った。うん、カッチョエエ。
そして僕たちは食事を楽しむことができた。銀貨10枚もするビフテキに満足して店を出ると、さっきの迷惑男が仲間を連れて待ち構えていた。
もしかしてヤバくない?
そこには朽ちた廃屋があり、雨風くらいならしのげるためよく利用していた場所だ。中にいる子たちも知っている子達。たまに来てはできる範囲で援助をしていた。
これはストリートチルドレンの互助システムみたいなもので、後輩達に僅かながらでも援助するのが習わしなのだ。
「あんちゃん達お帰り。なんか恵んでおくれよ」
わらわらと子供たちが集まってくる。この中にいるのは年長でも14くらいだ。10歳になると大抵は冒険者になる。僕とリーネも10歳のときに冒険者になった。自分たちも何かしたいという気持ちがあったからだ。
もっとも、外に出られるのが12歳からで、魔法を覚えたのも13歳になってからなんだけどね。
「なぁ、今日の銀貨だけでもこいつらにやっていいよな?」
「うん、そうだね。これだけあれば当分は大丈夫だと思う」
僕は銀貨を63枚取り出す。少し多いけどそれは気持ちだ。それをこの中のリーダーのヘタイロスに渡す。彼は14と同じ歳で僕よりも背が高い。素手の喧嘩なら僕は余裕で負けるだろう。ここにいる7人を守る大役を買ってくれた優しい少年だ。
「悪いないつも。薬草集めだけじゃなかなかお金にならなくてな」
「仕方ないさ。ルード達は元気にしてるのか?」
ルードとはここ出身の冒険者パーティのリーダーだ。サルヴァンとルードの2つに別れてパーティを作ったのだ。
「ああ、あいつらも頑張ってるよ。3日前に来てくれた。それよりルウ、また文字を教えてくれよ」
「うん、わかった」
僕とリーネは週に最低2度はここに来て文字や計算を教えている。読み書きができればどこかで雇ってもらえるし、魔法だって覚えられる。これにはアレサやサルヴァン達も参加しているのだ。
ノートなんて洒落たものはないので地面に書いて勉強する。地面がノートでペンが木の枝だ。そうだ、勉強の成果を強化できないだろうか?
それから僕とリーネはみんなに読み書きを教えた。効率を強化したおかげかアレサも大分読み書きが出来るようになってきている。もう簡単な本なら読めるだろう。
ヘタイロス達と別れた後、僕たちは今日の大勝利を祝うためにまたあの定食屋にやって来た。お腹が空いてるなー、と思ったらお昼ご飯を食べていなかったんだよね。
中に入り、店員に案内されて四人席に座る。
アレサが早速メニューを持って文字を読み上げた。
「オークステーキ定食、これだな前に食べたやつは。これは銀貨5枚か。前のはランチで安かったんだな」
「お、アレサ読めてるじゃないか。俺にも見せてくれないか」
サルヴァンもアレサからメニューを受け取り書いてある文字を眺める。サルヴァンの顔が綻んでいるね。サルヴァンも読めているみたいだ。
「よし、俺はビフテキというやつにする! 銀貨10枚だけど今日はお祝いだしいいよな?」
「わ、いいな。じゃあ私もそれにする!」
「僕も」
「みんなそれか? なら私もだ」
結局みんなビフテキになった。僕は金貨で支払うと、銀貨60枚のお釣りを受け取る。小さな袋に50枚ずつ入れていて、勘定しやすいようにしてあるみたいだ。
そして僕たちはビフテキというご馳走を感動しながら食べていると誰かが話しかけてきた。しかも僕の肩に手を置き、顔を近づけてくる。距離感!
「なぁ、あんたら龍炎光牙だろ。見てたぜ、あのコカトリスを収納魔法から出すところをよ」
「…それで、何か御用ですか?」
僕は努めて気にしない振りをしながら相手を見ずに返事をする。舐められたらあかんねん。
「俺様のクラン『ガレスの下僕達』に入れ。拒否は認めねぇ」
「……ギルドマスターに相談中です」
「あ? 拒否権はねぇ、つったろ?」
あー、やっぱり面倒ごとかー。ギルドマスターに言われた通りだよ…。しかもこの高圧的な態度はなんなんだろうね。絶対ろくなクランじゃない。しかも名前がガレスの下僕たち?
なんか都合よく使われそうで嫌だな……。
「悪いけどやめてくれないか。僕たちの入るクランはギルドマスターにお願いしてある。ギルドマスターを通してくれ」
「おいおい、お前らみたいな駆け出しがクランに誘われるなんてそうあることじゃないんだぜ? 悪いようにはしねえ、いいから入れ」
サルヴァンが声をあげるが男は聞く耳を持っていない。やだなー、こんなとこで揉め事なんて。
「今食事中なんだ。離して欲しいな」
「あ? 舐めてんのかテメェ!」
うわ! なんて短気なんだろう。いきなり胸ぐら掴んで持ち上げるとか酷くない?
結構苦しいんだけど?
しかもこいつが大声出すもんだから周りの視線もこっちに集まるし…。
「お客さん、揉め事は困りますね。ここは食事をするところです。喧嘩をしたいなら出ていっていただけますか?」
軽く騒ぎになり、やたらとガタイのいい強面の店員が出てきた。迷惑男より頭1つくらい背が高い。あんなのに絡まれたらチビりそうだ。
「ちっ、はいはい悪かったよ」
迷惑男は引き下がると店を出て行った。助かった…。僕はホッ、と胸を撫で下ろすと店員にお礼を言った。
「お客様、お気になさらずに。ではお食事を続けてください」
強面の店員はニカッ、と白い歯を見せて笑うと立ち去って行った。うん、カッチョエエ。
そして僕たちは食事を楽しむことができた。銀貨10枚もするビフテキに満足して店を出ると、さっきの迷惑男が仲間を連れて待ち構えていた。
もしかしてヤバくない?
52
あなたにおすすめの小説
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界で世界樹の精霊と呼ばれてます
空色蜻蛉
ファンタジー
普通の高校生の樹(いつき)は、勇者召喚された友人達に巻き込まれ、異世界へ。
勇者ではない一般人の樹は元の世界に返してくれと訴えるが。
事態は段々怪しい雲行きとなっていく。
実は、樹には自分自身も知らない秘密があった。
異世界の中心である世界樹、その世界樹を守護する、最高位の八枚の翅を持つ精霊だという秘密が。
【重要なお知らせ】
※書籍2018/6/25発売。書籍化記念に第三部<過去編>を掲載しました。
※本編第一部・第二部、2017年10月8日に完結済み。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる