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第42話 護衛依頼当日
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約束の日になり、例の防壁飛行で商会の建物の前に到着。多少人目はあったが気にしないことにした。
そしてなぜかメンバーが1人増えており、リオネッセさんが参加していた。なんでも僕らがCランクになるまではクランのメンバーを最低2人保険として入れることになったとか。
ライミスさんて意外と過保護なのかな?
そしてまた店員に案内されて裏側の馬車のある倉庫に案内された。そこではマルタンさんが他の店員と品物をチェックしている。そして僕たちに気づくと、手を振って声をかけてきた。
「おお、皆さんお待ちしておりました。こちらへどうぞ」
「マルタンさんおはようございます」
今回はサルヴァンを先頭にして挨拶をする。今回アレーテさんはあくまで補助と指導のつもりだそうだ。当然リーダーはサルヴァンになる。
「すまない、ちょっと事情があって1人メンバーを追加させてもらいたい。こちらの都合だから報酬の追加なくてもいい」
「リオネッセと言います。よろしくお願いしますマルタン様」
アレーテさんがメンバーが1人増えたことを伝えると、リオネッセさんが前に出て深々と頭を下げた。
「リオネッセ……? もしや聖女リオネッセ様でございますか! いえいえ、報酬の追加分は払わさせていただきますとも!」
リオネッセさんの名前を聞いてすぐに聖女であることに気づくのか。有名な人ではあるから情報が命の商人なら知ってない方がおかしいのかも。
「いえいえ、私はただの保護者ですので。基本私は居ないものと思って行動してもらうことになりますから」
「さ、さようでございますか。では特に何もなければ追加無しということで」
「ええ、それでけっこうです」
それにしても出すのは舌でも惜しいのが商人なのに払おうとするなんて。これもネームバリューの為せる業なのかな?
「品物のチェックがもうじき終わります。もう少しお待ちください」
「はい」
挨拶を済ませると、マルタンさんは忙しそうに部下に命令を出していた。
待つことしばし。チェックが終わり、リーネが収納魔法で品物を収納していく。ざっと見ても商隊用のキャラバン型なら4台分はありそうな量だったけど、問題なく収納する。
「いやはや、凄いものですな。本当に入り切るとは」
マルタンさんは呆気に取られていた。
「これでしたら予定通り中型のワゴン馬車でいけますな。馬も2頭でいい。これは相当な経費削減に繋がりますな。水も出していただける、ということでしたが大丈夫ですかな?」
「はい。リーネの方にも樽50杯ありますし、僕がいくらでも創れますので」
通常馬の水は水場を見つけて飲ませるか備蓄しておくものらしいけど、馬は1日で人間の10倍以上の水を飲むらしいね。備蓄だけで賄おうとすると相当な荷物になるので水を創れる魔導士がいるだけでもかなり助かるそうな。
もちろん水の聖石も用意してあるので水に困ることはないだろう。ただこれはあまり外に出すなも言われているので使うことはないけどね。
「おお、それは凄い。ではもうじき準備も終わります。もう少しお待ちください」
マルタンさんは慌ただしく店員に声をかけ、準備を進める。荷物はほとんどないけど全く無しだと格好がつかないのか少し荷物も積むようだ。
しかしこうしてみるとワゴンタイプの馬車って結構大きいんだね。すぐ近くにもっとでかいのがあるけど、あれがキャラバンというやつかな?
「待つ間に盗賊相手の心得を伝えておくわね」
「はい!」
アレーテさんは僕たちを集めると盗賊相手の心得を話し始める。その表情は真剣なもので、これから起こりうる命のやり取り、対人戦闘の難しさを物語っていた。
「まず、前提として盗賊はこちらの命などゴミ同然に思っている、ということを肝に命じて欲しいわね。村を襲えば平気で人を殺し、悔やむどころか楽しんで行うほどよ」
「つまり相手は殺すつもりで仕掛けてくる、ということですね」
「そう。あなたたち、人の死体、それも無惨に殺された死体は見たことある?」
「……あります」
僕らはストリートチルドレンだ。暴力に敗れて殺された仲間もいれば、病気で無くなったり身体から腐臭を放つ遺体なんて嫌ほど見てきている。死は僕らにとって身近なものだったのだ。
そして僕らの中でもサルヴァンは人を殺しかけたことがある。もちろん好き好んでやったわけじゃない。そうしなければ守りたいものも守れないことがあるという現実を子供ながらにも僕たちは知っているのだ。
「そう。ならわかるわね? いざというときは躊躇してはダメ。でも、殺す必要がないならなるべく殺さないこと」
「はい!」
僕たちはアレーテさんの目を見て返事した。もちろんできるなら殺したくない。それは相手の命を慮ってではない。自分が人を殺したくないだけであって、あくまで自分のためだ。
「それと、盗賊の一般的な動きだけど、最初はいきなり矢が飛んでくるのが普通よ。アレサ、この中で飛んでくる矢を察知できるのはあなただけ。あなたがみんなを守るのよ」
「はい!」
おお、アレサ頼もしい!
一応危険そうな場合はリーネの闇膜か僕の光膜で全員防護状態にするけどね。並の矢では貫通を許さない優れものだから心強い。
「それと、こちらの人数は少ないから大人数の盗賊を捕縛しても連れて歩くのは難しいわね。下手に全員を連れて行くのは危険極まりないから、多少切り捨てる場合もあるの」
「大丈夫です。対策はできています」
それは当然考えていた。仮に20人いたとして、それだけ連れて歩くのは危険すぎるからね。そのための方法はちゃーんと考えてありますとも。
ドン引きされるかもしんないけどね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※キャラバン馬車の積載量は約6tだそうです。
そしてなぜかメンバーが1人増えており、リオネッセさんが参加していた。なんでも僕らがCランクになるまではクランのメンバーを最低2人保険として入れることになったとか。
ライミスさんて意外と過保護なのかな?
そしてまた店員に案内されて裏側の馬車のある倉庫に案内された。そこではマルタンさんが他の店員と品物をチェックしている。そして僕たちに気づくと、手を振って声をかけてきた。
「おお、皆さんお待ちしておりました。こちらへどうぞ」
「マルタンさんおはようございます」
今回はサルヴァンを先頭にして挨拶をする。今回アレーテさんはあくまで補助と指導のつもりだそうだ。当然リーダーはサルヴァンになる。
「すまない、ちょっと事情があって1人メンバーを追加させてもらいたい。こちらの都合だから報酬の追加なくてもいい」
「リオネッセと言います。よろしくお願いしますマルタン様」
アレーテさんがメンバーが1人増えたことを伝えると、リオネッセさんが前に出て深々と頭を下げた。
「リオネッセ……? もしや聖女リオネッセ様でございますか! いえいえ、報酬の追加分は払わさせていただきますとも!」
リオネッセさんの名前を聞いてすぐに聖女であることに気づくのか。有名な人ではあるから情報が命の商人なら知ってない方がおかしいのかも。
「いえいえ、私はただの保護者ですので。基本私は居ないものと思って行動してもらうことになりますから」
「さ、さようでございますか。では特に何もなければ追加無しということで」
「ええ、それでけっこうです」
それにしても出すのは舌でも惜しいのが商人なのに払おうとするなんて。これもネームバリューの為せる業なのかな?
「品物のチェックがもうじき終わります。もう少しお待ちください」
「はい」
挨拶を済ませると、マルタンさんは忙しそうに部下に命令を出していた。
待つことしばし。チェックが終わり、リーネが収納魔法で品物を収納していく。ざっと見ても商隊用のキャラバン型なら4台分はありそうな量だったけど、問題なく収納する。
「いやはや、凄いものですな。本当に入り切るとは」
マルタンさんは呆気に取られていた。
「これでしたら予定通り中型のワゴン馬車でいけますな。馬も2頭でいい。これは相当な経費削減に繋がりますな。水も出していただける、ということでしたが大丈夫ですかな?」
「はい。リーネの方にも樽50杯ありますし、僕がいくらでも創れますので」
通常馬の水は水場を見つけて飲ませるか備蓄しておくものらしいけど、馬は1日で人間の10倍以上の水を飲むらしいね。備蓄だけで賄おうとすると相当な荷物になるので水を創れる魔導士がいるだけでもかなり助かるそうな。
もちろん水の聖石も用意してあるので水に困ることはないだろう。ただこれはあまり外に出すなも言われているので使うことはないけどね。
「おお、それは凄い。ではもうじき準備も終わります。もう少しお待ちください」
マルタンさんは慌ただしく店員に声をかけ、準備を進める。荷物はほとんどないけど全く無しだと格好がつかないのか少し荷物も積むようだ。
しかしこうしてみるとワゴンタイプの馬車って結構大きいんだね。すぐ近くにもっとでかいのがあるけど、あれがキャラバンというやつかな?
「待つ間に盗賊相手の心得を伝えておくわね」
「はい!」
アレーテさんは僕たちを集めると盗賊相手の心得を話し始める。その表情は真剣なもので、これから起こりうる命のやり取り、対人戦闘の難しさを物語っていた。
「まず、前提として盗賊はこちらの命などゴミ同然に思っている、ということを肝に命じて欲しいわね。村を襲えば平気で人を殺し、悔やむどころか楽しんで行うほどよ」
「つまり相手は殺すつもりで仕掛けてくる、ということですね」
「そう。あなたたち、人の死体、それも無惨に殺された死体は見たことある?」
「……あります」
僕らはストリートチルドレンだ。暴力に敗れて殺された仲間もいれば、病気で無くなったり身体から腐臭を放つ遺体なんて嫌ほど見てきている。死は僕らにとって身近なものだったのだ。
そして僕らの中でもサルヴァンは人を殺しかけたことがある。もちろん好き好んでやったわけじゃない。そうしなければ守りたいものも守れないことがあるという現実を子供ながらにも僕たちは知っているのだ。
「そう。ならわかるわね? いざというときは躊躇してはダメ。でも、殺す必要がないならなるべく殺さないこと」
「はい!」
僕たちはアレーテさんの目を見て返事した。もちろんできるなら殺したくない。それは相手の命を慮ってではない。自分が人を殺したくないだけであって、あくまで自分のためだ。
「それと、盗賊の一般的な動きだけど、最初はいきなり矢が飛んでくるのが普通よ。アレサ、この中で飛んでくる矢を察知できるのはあなただけ。あなたがみんなを守るのよ」
「はい!」
おお、アレサ頼もしい!
一応危険そうな場合はリーネの闇膜か僕の光膜で全員防護状態にするけどね。並の矢では貫通を許さない優れものだから心強い。
「それと、こちらの人数は少ないから大人数の盗賊を捕縛しても連れて歩くのは難しいわね。下手に全員を連れて行くのは危険極まりないから、多少切り捨てる場合もあるの」
「大丈夫です。対策はできています」
それは当然考えていた。仮に20人いたとして、それだけ連れて歩くのは危険すぎるからね。そのための方法はちゃーんと考えてありますとも。
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※キャラバン馬車の積載量は約6tだそうです。
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◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
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