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第170話 メレーズの街へ
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ナーラと魔神龍を退けた後、僕らエストガレス軍がメレーズの街の門に向かうと大勢の人々が門に押し寄せていた。
「歓迎、って雰囲気じゃなさそうだな」
街の人々は殺気立っており、僕たちを睨みつけている。普通こういうときって怖がって家の中に引っ込むもんだと思うんだけど。この反応はかなり意外だ。
「侵略者は帰れ!」
子供が石を拾って投げつける。しかもその狙いはエリオット殿下だ。
サルヴァンが殿下の前に立ち、その石を素手で受け止める。
「殿下、お下がりください」
「あ、ああ」
ただならぬ雰囲気に殿下が少し下がる。
「見ろ、下がったぞ! 俺達にびびっているんだ」
誰かが叫ぶ。
「よし、俺も投げつけてやる」
そしてまた他の誰かが石を投げた。それがきっかけになったのか、他の人々も石を投げ始める。さすがにそんなもの受ける気にはならないので防壁で防ぐけどさ。
広く張り巡らした魔法の壁に遮られ石は次々と弾かれ地面へと落ちていく。それでも投石は止まない。
「弱りましたな。武力行使をすれば我々は大義名分を失い、戦後に禍根を残すことになりますぞ」
「一体どうしたものか。ルウよ、何か良い知恵はないか?」
将軍が殿下に指示を仰ぐとその殿下が僕に話を振る。うーん、興奮状態を弱化でなんとかならんかな?
「俺が行きますよ。石くらい当たってもどうってことない。ルウ、ちょっと壁に穴開けるから頼むな」
「わかった」
ここはサルヴァンに任せよう。多分石をぶつけられても平気なところを見せて威圧するつもりだろう。
サルヴァンがおもむろに壁を殴りつけ、ひびを入れる。さらにもう2発殴ると人が通れるくらいの穴が空いた。サルヴァンがそこをくぐり抜けたところを狙い石が飛ぶ。
しかしサルヴァンは全く意に介さず穴をくぐり抜け、街の人達に向かって歩を進めた。僕はすぐさま防壁を重ねて穴を塞ぐ。
そしてサルヴァンはゆっくりと歩く。大量の石がサルヴァンにぶち当たるが、一滴の血を流すことなく街の人達に近づいた。
よし、興奮状態を弱化、威圧効果を強化だ。
その2つの効果も相まってサルヴァンにびびった街の人達の投石が止む。
「ひっ……!」
それどころか怯えた声を出す者も現れた。サルヴァンはただ黙って腕を組み、街の人達の前に立ちはだかる。
「お待ちなさい」
と、そこへ響く透った声。その声が届くと同時に人垣が割れ、一本の道となる。その奥から一人の女性が姿を現した。
「私の名はマディン。このメレーズの街のニーグリ様に仕える巫女です」
巫女様?
漆黒のゴスロリと猫耳ヘアバンドを付けていると話には聞いていたけど、ニーグリの巫女ってことは女装した男だよね?
ぱっと見女性にしか見えないよ……。
「俺は義勇兵代表のサルヴァンだ。巫女ってことはあんたがこの街の代表か?」
「領主ではありませんが、全権は私に委任されています。そう思っていただいてかまいません」
サルヴァンを前にしても全く怯えることなく対峙している。巫女はニーグリやアマラによって力を与えられるらしく、恐らくこの人も人魔というやつなのだろう。
「そうか、ならこちらの代表と話をしてもらいたい。かまわんな?」
「それには及びません。貴方がたにアマラ様からの言葉を伝えます」
「アマラから……?」
「様をつけなさい無礼者よ。いえ、侵略者ですものね、礼儀を守らないのは当然のことでしたか。失礼いたしました」
サルヴァンがアマラを呼び捨てにしたことが気に入らなかったらしい。巫女は微笑んで皮肉たっぷりに言葉を吐く。目が全く笑ってないわ。
「煽るなよ。話を進めてくれ」
「では伝えます。『メレーズの街占領おめでとう。金さえ払うなら補給くらいはさせてやる。ただし、略奪や虐殺は許さん。そのうち俺がこの街を取り返しに来てやるから首を洗って待っていろ』だそうです」
巫女がアマラからの言葉を伝えると、街の人々は顔を見合わせ万歳を始めた。
「おお、アマラ様がこの街を救いに来てくださるぞ!」
「さすがアマラ様!」
「アマラ様バンザーイ!」
なんかもう戦う前から戦勝ムードを出してるんですけど。それにしてもいくら善政を敷いているとはいえ、よくまぁ悪魔達の支配を受け入れてるよなぁ、って思う。話を聞いてみたいもんだけど。
「なるほど、ここで待っていれば大将自ら来てくれるわけか。手間が省けて助かる」
こうして僕らはメレーズの街に入ることができた。そういえばナターシャ様の話だと他にも公爵級悪魔がいるはずなんだけど、そいつらも連れてくるんだろうか。ニーグリまで一緒に来たらちょっと勝ち目薄いかもしんないなぁ……。
「歓迎、って雰囲気じゃなさそうだな」
街の人々は殺気立っており、僕たちを睨みつけている。普通こういうときって怖がって家の中に引っ込むもんだと思うんだけど。この反応はかなり意外だ。
「侵略者は帰れ!」
子供が石を拾って投げつける。しかもその狙いはエリオット殿下だ。
サルヴァンが殿下の前に立ち、その石を素手で受け止める。
「殿下、お下がりください」
「あ、ああ」
ただならぬ雰囲気に殿下が少し下がる。
「見ろ、下がったぞ! 俺達にびびっているんだ」
誰かが叫ぶ。
「よし、俺も投げつけてやる」
そしてまた他の誰かが石を投げた。それがきっかけになったのか、他の人々も石を投げ始める。さすがにそんなもの受ける気にはならないので防壁で防ぐけどさ。
広く張り巡らした魔法の壁に遮られ石は次々と弾かれ地面へと落ちていく。それでも投石は止まない。
「弱りましたな。武力行使をすれば我々は大義名分を失い、戦後に禍根を残すことになりますぞ」
「一体どうしたものか。ルウよ、何か良い知恵はないか?」
将軍が殿下に指示を仰ぐとその殿下が僕に話を振る。うーん、興奮状態を弱化でなんとかならんかな?
「俺が行きますよ。石くらい当たってもどうってことない。ルウ、ちょっと壁に穴開けるから頼むな」
「わかった」
ここはサルヴァンに任せよう。多分石をぶつけられても平気なところを見せて威圧するつもりだろう。
サルヴァンがおもむろに壁を殴りつけ、ひびを入れる。さらにもう2発殴ると人が通れるくらいの穴が空いた。サルヴァンがそこをくぐり抜けたところを狙い石が飛ぶ。
しかしサルヴァンは全く意に介さず穴をくぐり抜け、街の人達に向かって歩を進めた。僕はすぐさま防壁を重ねて穴を塞ぐ。
そしてサルヴァンはゆっくりと歩く。大量の石がサルヴァンにぶち当たるが、一滴の血を流すことなく街の人達に近づいた。
よし、興奮状態を弱化、威圧効果を強化だ。
その2つの効果も相まってサルヴァンにびびった街の人達の投石が止む。
「ひっ……!」
それどころか怯えた声を出す者も現れた。サルヴァンはただ黙って腕を組み、街の人達の前に立ちはだかる。
「お待ちなさい」
と、そこへ響く透った声。その声が届くと同時に人垣が割れ、一本の道となる。その奥から一人の女性が姿を現した。
「私の名はマディン。このメレーズの街のニーグリ様に仕える巫女です」
巫女様?
漆黒のゴスロリと猫耳ヘアバンドを付けていると話には聞いていたけど、ニーグリの巫女ってことは女装した男だよね?
ぱっと見女性にしか見えないよ……。
「俺は義勇兵代表のサルヴァンだ。巫女ってことはあんたがこの街の代表か?」
「領主ではありませんが、全権は私に委任されています。そう思っていただいてかまいません」
サルヴァンを前にしても全く怯えることなく対峙している。巫女はニーグリやアマラによって力を与えられるらしく、恐らくこの人も人魔というやつなのだろう。
「そうか、ならこちらの代表と話をしてもらいたい。かまわんな?」
「それには及びません。貴方がたにアマラ様からの言葉を伝えます」
「アマラから……?」
「様をつけなさい無礼者よ。いえ、侵略者ですものね、礼儀を守らないのは当然のことでしたか。失礼いたしました」
サルヴァンがアマラを呼び捨てにしたことが気に入らなかったらしい。巫女は微笑んで皮肉たっぷりに言葉を吐く。目が全く笑ってないわ。
「煽るなよ。話を進めてくれ」
「では伝えます。『メレーズの街占領おめでとう。金さえ払うなら補給くらいはさせてやる。ただし、略奪や虐殺は許さん。そのうち俺がこの街を取り返しに来てやるから首を洗って待っていろ』だそうです」
巫女がアマラからの言葉を伝えると、街の人々は顔を見合わせ万歳を始めた。
「おお、アマラ様がこの街を救いに来てくださるぞ!」
「さすがアマラ様!」
「アマラ様バンザーイ!」
なんかもう戦う前から戦勝ムードを出してるんですけど。それにしてもいくら善政を敷いているとはいえ、よくまぁ悪魔達の支配を受け入れてるよなぁ、って思う。話を聞いてみたいもんだけど。
「なるほど、ここで待っていれば大将自ら来てくれるわけか。手間が省けて助かる」
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◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
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