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第173話 《アマラの視点》アマラVSドレカヴァク 前編
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一方その頃、ドレカヴァクは既に元聖都に到着していた。その元聖都に雄々しくそびえるクリフォトの木はあまりに大きく、そしてその周りには産み落とされた悪魔達が群れをなしている。
「テメーら全部食い尽くしてやんよ。死にやがれ雑魚どもが! 殺戮の宴!」
ドレカヴァクの影から無数の黒い触手が伸び、大きな口を開けて涎を垂らす。この魔法は屍喰咬牙の上位魔法であり、その効果範囲も桁違いであった。
触手は次々に悪魔達にかぶりつき、その身を砕いていく。中には伯爵級という力のある悪魔もいたがドレカヴァクの敵ではなかった。
「ククッ、力を得たいなら人間喰うより同族喰った方がはえーんだよな。まぁ、こいつら全員食ってもニーグリに届くとは思うねーがな」
戦闘開始から僅か1時間。
たったそれだけの時間でクリフォトの木にいた悪魔達は全滅した。その全てはドレカヴァクの養分となっただけである。
「よぉレイモン。もう喋れねーか? 今からお前を喰ってやるからな!」
クリフォトの木が怯えるように風に揺れ、まだ未熟な実を落として応戦する。そして黒い触手がクリフォトの木にかぶりついた。
* * *
「どうやら何者かがクリフォトの木に侵攻しているようだな」
執務室で書類に目を通し、承認の判を押しているとクリフォトの木からの救難信号をキャッチした。
俺にはクリフォトの守護者というスキルがある。これがある俺にはクリフォトの木に何かあれば察知することができるのだ。
まぁ、恐らくエストガレスの手の者か。ビルド達をアプールに送ったがその前に侵攻をしていたのだろう。クリフォトの木が悪魔の巣窟だということくらい知っているだろうから、恐らく勇者ライミスあたりか。こりゃアプールの街は壊滅だな。
とはいえ、こちらもクリフォトの木は悪魔の巣窟だからと侯爵級以上の悪魔は置いていないからな。クリフォトの木に何かあれば困ったことになる。面倒だが出向くか。
「あー、ニーグリはサイフォンの街か。巫女様選定大会に行くとか言っていたな」
うーん、まぁ大丈夫だろ。なんといっても俺は人魔大公だからな。つまりこの世で二番目に強いということだ。負けるわけがない。
「おい、ナーラ。今どこにいる」
それでも一応連絡はしておこうとナーラに念話を送る。しかし全く反応がない。こんなことは初めてだ。
「ちっ、どうなっている!」
俺は苛立ちながらメリッサやリティスにも念話を送ったがやはり繋がらない。一体どうなっているんだ?
まさか彼奴等に殺られたわけじゃないよな?
彼奴等には手を出すなと言っておいたんだがな。俺の名声を高めるためにおもちゃを送ったんだからナーラ達が戦う必要など微塵もないのだ。
まぁ、まだそうと決まったわけじゃない。今はクリフォトの木に迫る危機を回避することが先決だ。ニーグリには道中念話を送っていおくか。
俺は窓を開け、元聖都に向かって飛び立つ。そしてニーグリに念話で聖都に行くことを伝えておいた。
聖都に辿り着くまで実に3時間。この大陸結構広いよな。そしてクリフォトの木があった場所にはそこにあったはずのものが綺麗サッパリ無くなっている。
「ちっ、遅かったか!」
更にその場所に接近すると、見えてきたのは一体の影。見覚えのあるシルエットだ。あれはどう見てもドレカヴァクじゃねーか。まさかあいつがやったのか?
「ドレカヴァク! これはどいうことだ。説明しろ」
俺はクリフォトのあった場所に降り立つと、何かを喰っているドレカヴァクに声をかける。
「よぉ、思ったより早かったな。いやまぁ手遅れっちゃ手遅れなんだが。今食事中なんだからちょっと待ってろ」
「おい貴様、誰に向かってそんな口を利いているんだ」
ふと、ドレカヴァクが食べているものに目が行った。黒い筋肉質の肌だが胴体はもう殆ど喰われてしまっている。だが穿いているパンツにはなんとなく見覚えがあった。
「うるせーな。とりあえずこいつだけは口に入れさせてくれ」
ドレカヴァクが手にしていたのは魔石だ。しかも虹色に輝くその魔石は高位の悪魔の魔石のはず。奴はそれを一呑みにすると、立ち上がって俺の方を向いた。
「よぉアマラ。俺が何を食っていたか知りたいか? 教えてやろう、俺が食っていたのはビルドの死体さ」
「なに? どういうことだ。貴様がやったのか?」
「半分そうだな。ビルドはアプールの街で喧嘩をして負けた。だから連れ帰ってこの俺の養分になってもらったわけだ」
そうか、ビルドは負けたか。恐らくライミス達だろうが、奴らはそこまで強くなっていたのか。龍炎光牙の奴らもかなり強くなっているかもしれんな。
「で、お前はアプールの街を攻めなかったということか」
「まぁな。行ったのは俺の作った分体のようなもんだ。模造品と呼んでるがな。模造品じゃとても勝てそうになかったからな。攻めずに連れ帰って来たわけだ」
どうでもいいが、こいつエラくひょうひょうとしてやがるな。まるで礼儀知らずのドレクのようだ。あいつの写し身だけあってこれが本来の性格か。
「で、どうしてクリフォトの木が無くなっている。貴様がやったのか?」
というよりこいつしかいないだろ。一体何がどうなってやがる。
「あん? まだ気づいてね~のか? それとも現実から目を逸らしてんのか?」
「そうか、お前がやったんだな。覚悟はできてんだろうな?」
なんでこいつが俺に絶対服従していないのかわからんが、こいつは俺に造反した。その事実だけで十分だろ。こいつは粛清する。
「ヒャハハハハハハ! いいことを教えてやるよ。ビルドだけじゃねぇ、ナーラとリティスもこの俺が喰ってやった! なんならこの場で念話で話してみろよ。絶対繋がらねーからな?」
なん……だと?
俺は呆然と一歩踏み出す。なんだろう、頭から血の気が引いていく。まるでその瞬間だけ無の世界にいるような感覚。それは認めたくない現実への逃避なのだろう。
そうか、それで繋がらなかったのか。ナーラとリティスをこいつが……!
ずっと彼奴等と楽しくやって来たというのに俺から奪ったと云うんだな?
無から生まれたのは怒りだった。俺の怒りは魔力へと姿を変え力となる。
「許さん、許さんぞドレカヴァク、貴様はこの俺がぶっ殺してやる!」
仲間を失うとはこんなにも苦しいものなのか。怒りと悲しみがごっちゃになっていて正直頭が理由のわからないことになっている。それでも唯ひとつの目的に向かい、俺の脳は覚醒した。
ドレカヴァク、貴様は許さん!
「テメーら全部食い尽くしてやんよ。死にやがれ雑魚どもが! 殺戮の宴!」
ドレカヴァクの影から無数の黒い触手が伸び、大きな口を開けて涎を垂らす。この魔法は屍喰咬牙の上位魔法であり、その効果範囲も桁違いであった。
触手は次々に悪魔達にかぶりつき、その身を砕いていく。中には伯爵級という力のある悪魔もいたがドレカヴァクの敵ではなかった。
「ククッ、力を得たいなら人間喰うより同族喰った方がはえーんだよな。まぁ、こいつら全員食ってもニーグリに届くとは思うねーがな」
戦闘開始から僅か1時間。
たったそれだけの時間でクリフォトの木にいた悪魔達は全滅した。その全てはドレカヴァクの養分となっただけである。
「よぉレイモン。もう喋れねーか? 今からお前を喰ってやるからな!」
クリフォトの木が怯えるように風に揺れ、まだ未熟な実を落として応戦する。そして黒い触手がクリフォトの木にかぶりついた。
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「どうやら何者かがクリフォトの木に侵攻しているようだな」
執務室で書類に目を通し、承認の判を押しているとクリフォトの木からの救難信号をキャッチした。
俺にはクリフォトの守護者というスキルがある。これがある俺にはクリフォトの木に何かあれば察知することができるのだ。
まぁ、恐らくエストガレスの手の者か。ビルド達をアプールに送ったがその前に侵攻をしていたのだろう。クリフォトの木が悪魔の巣窟だということくらい知っているだろうから、恐らく勇者ライミスあたりか。こりゃアプールの街は壊滅だな。
とはいえ、こちらもクリフォトの木は悪魔の巣窟だからと侯爵級以上の悪魔は置いていないからな。クリフォトの木に何かあれば困ったことになる。面倒だが出向くか。
「あー、ニーグリはサイフォンの街か。巫女様選定大会に行くとか言っていたな」
うーん、まぁ大丈夫だろ。なんといっても俺は人魔大公だからな。つまりこの世で二番目に強いということだ。負けるわけがない。
「おい、ナーラ。今どこにいる」
それでも一応連絡はしておこうとナーラに念話を送る。しかし全く反応がない。こんなことは初めてだ。
「ちっ、どうなっている!」
俺は苛立ちながらメリッサやリティスにも念話を送ったがやはり繋がらない。一体どうなっているんだ?
まさか彼奴等に殺られたわけじゃないよな?
彼奴等には手を出すなと言っておいたんだがな。俺の名声を高めるためにおもちゃを送ったんだからナーラ達が戦う必要など微塵もないのだ。
まぁ、まだそうと決まったわけじゃない。今はクリフォトの木に迫る危機を回避することが先決だ。ニーグリには道中念話を送っていおくか。
俺は窓を開け、元聖都に向かって飛び立つ。そしてニーグリに念話で聖都に行くことを伝えておいた。
聖都に辿り着くまで実に3時間。この大陸結構広いよな。そしてクリフォトの木があった場所にはそこにあったはずのものが綺麗サッパリ無くなっている。
「ちっ、遅かったか!」
更にその場所に接近すると、見えてきたのは一体の影。見覚えのあるシルエットだ。あれはどう見てもドレカヴァクじゃねーか。まさかあいつがやったのか?
「ドレカヴァク! これはどいうことだ。説明しろ」
俺はクリフォトのあった場所に降り立つと、何かを喰っているドレカヴァクに声をかける。
「よぉ、思ったより早かったな。いやまぁ手遅れっちゃ手遅れなんだが。今食事中なんだからちょっと待ってろ」
「おい貴様、誰に向かってそんな口を利いているんだ」
ふと、ドレカヴァクが食べているものに目が行った。黒い筋肉質の肌だが胴体はもう殆ど喰われてしまっている。だが穿いているパンツにはなんとなく見覚えがあった。
「うるせーな。とりあえずこいつだけは口に入れさせてくれ」
ドレカヴァクが手にしていたのは魔石だ。しかも虹色に輝くその魔石は高位の悪魔の魔石のはず。奴はそれを一呑みにすると、立ち上がって俺の方を向いた。
「よぉアマラ。俺が何を食っていたか知りたいか? 教えてやろう、俺が食っていたのはビルドの死体さ」
「なに? どういうことだ。貴様がやったのか?」
「半分そうだな。ビルドはアプールの街で喧嘩をして負けた。だから連れ帰ってこの俺の養分になってもらったわけだ」
そうか、ビルドは負けたか。恐らくライミス達だろうが、奴らはそこまで強くなっていたのか。龍炎光牙の奴らもかなり強くなっているかもしれんな。
「で、お前はアプールの街を攻めなかったということか」
「まぁな。行ったのは俺の作った分体のようなもんだ。模造品と呼んでるがな。模造品じゃとても勝てそうになかったからな。攻めずに連れ帰って来たわけだ」
どうでもいいが、こいつエラくひょうひょうとしてやがるな。まるで礼儀知らずのドレクのようだ。あいつの写し身だけあってこれが本来の性格か。
「で、どうしてクリフォトの木が無くなっている。貴様がやったのか?」
というよりこいつしかいないだろ。一体何がどうなってやがる。
「あん? まだ気づいてね~のか? それとも現実から目を逸らしてんのか?」
「そうか、お前がやったんだな。覚悟はできてんだろうな?」
なんでこいつが俺に絶対服従していないのかわからんが、こいつは俺に造反した。その事実だけで十分だろ。こいつは粛清する。
「ヒャハハハハハハ! いいことを教えてやるよ。ビルドだけじゃねぇ、ナーラとリティスもこの俺が喰ってやった! なんならこの場で念話で話してみろよ。絶対繋がらねーからな?」
なん……だと?
俺は呆然と一歩踏み出す。なんだろう、頭から血の気が引いていく。まるでその瞬間だけ無の世界にいるような感覚。それは認めたくない現実への逃避なのだろう。
そうか、それで繋がらなかったのか。ナーラとリティスをこいつが……!
ずっと彼奴等と楽しくやって来たというのに俺から奪ったと云うんだな?
無から生まれたのは怒りだった。俺の怒りは魔力へと姿を変え力となる。
「許さん、許さんぞドレカヴァク、貴様はこの俺がぶっ殺してやる!」
仲間を失うとはこんなにも苦しいものなのか。怒りと悲しみがごっちゃになっていて正直頭が理由のわからないことになっている。それでも唯ひとつの目的に向かい、俺の脳は覚醒した。
ドレカヴァク、貴様は許さん!
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◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
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