【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

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第175話 《アマラの視点》アマラの覚悟

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「やぁ、随分と勝手なことしてくれたよね。僕は怒っているんだ」

 ニーグリが俺を背にして怒りのオーラを放っていた。元々ニーグリは公爵級魔神だ。格で言えば今のドレカヴァクが上かもしれないが、元々ニーグリの方が強い。もしかしたら、という期待が生まれた。

「ククッ、ニーグリ。魔王としての力を失った気分はどうだ? クリフォトの木を失ったお前に魔王の資格はない。だからクリフォトの木を取り込んだこの俺がこの地上界の魔王として君臨するのだ」
「別に僕は魔王の地位に興味なんてないから好きに名乗るといいよ。でも、せっかくアマラが作り上げたものを壊そうと言うなら容赦しないから」

 そしてニーグリが駆ける。もう俺には消えたようにしか見えんかったけど、次の瞬間にはドレカヴァクが殴り飛ばされ、地面をえぐりながら後ろに滑っていった。

「燃えちゃいなよ紅炎プロミネンス

 倒れたドレカヴァクを炎の柱が包みこんだ。あれは確か炎系最上位クラスの魔法じゃなかったか?

 うーん、2人がかりとか思ってたけどここはニーグリに任せた方が良さそうだ。

「ちっ」

 ニーグリは舌打ちすると大きく後ろに跳んで俺の横まで来た。そしてすぐにニーグリのいた地面から死龍の顎が姿を見せ、虚空に噛みついた。

「アマラ、逃げた方がいいかもしれない。さすがに公爵級の力では魔王には及ばないみたいだ」

 おいおい、あのニーグリが弱音かよ。正直聞きたくなかったな。だが逃げてどうなる。放っておいたらこいつは欲望のままに全てを殺し尽くすぞ!

「逃げてどうすんだよ……! だったら俺も戦う」
「悪いけど今の君じゃ足手まといかな」

 うっ、確かに今の動きは俺にはろくに見えちゃいなかった。一緒に戦うには力の差がありすぎるのかもしれん。

「逃げて……、逃げてどうすればいい。俺がドレカヴァクを越えるのにどれだけかかる。その間に俺の民が殺されちまうだろ!」
「こんなときに民の心配なんてアマラ変わったね。奴に勝てる存在に託すんだよ。全てを投げうってでもね」

 奴に勝てる存在……?
 あいつらに、あいつらにこの頭を下げて頼めというのか!?
 せっかく越えられたと思ったのにかよ。

「ひゅーっ、やるじゃねーかニーグリ。だがダメージはさほどねぇな。俺には光属性以外大したダメージにはならねぇんだよ」
「……みたいだね。どうやら僕では君には勝てないようだ。腹立たしいけどね」

 ニーグリはやれやれと両の手の平上に向けて自嘲気味に笑った。それを見てドレカヴァクは気を良くしたのか、ギャハハハと下品に嗤う。

「わかってるじゃね~か。そう、お前は俺には勝てねーんだよ。だが安心しろ。お前ら二人とも食ってやるよ。そして俺があんでにしてこき使ってやんよ!」

 うわっ、マジでこいつムカつくわ。
 もう怒りで腸煮え繰り返りそうだぜちくしょう。
 そんなとき、俺の頬に唇の感触があった。
 ニーグリ……?

「アマラ、君の願いを叶えてあげられなくてゴメンね。これはドレカヴァクを復活させた僕の失態だ。僕が負けるところは見せたくない。だからお願い、逃げて。そしてどうか幸せになって。僕はそのために生まれたのだから」
「ニーグリ……!」

 ニーグリが涙……?
 悪魔なのに涙かよ。あいつは自分のしたことに責任を取ろうってのか。だったら、だったら俺は、俺は……!

「すまん、ニーグリ……!」

 俺はニーグリに頭を下げた。
 進んで人に頭を下げたのは生まれて初めてかもしれない。それほどにニーグリの言葉が俺の心に突き刺さったのだ。

「逃げようってのか? させねぇよ」
「悪いけど君の相手は僕だよ。我が名はニーグリ、欲望の魔神なり。そして願いもまた欲望なり。たとえこの身が朽ちようともアマラをやらせはしない!」

 ニーグリが高らかに告げると金色の光がニーグリを包んだ。これはもしや……?

「ば、バカな!? なぜだ、なぜ悪魔であるお前が聖なるオーラを纏えるんだ。そんなことをすればお前自身が滅びるだけだ!」

 ニーグリのまさかの行動にドレカヴァクか驚きの声をあげた。俺も驚いているが、そんなことして大丈夫なのか?

「言ったはずだよ、願いもまた欲望だと。そして僕は欲望の魔神。願いの力は希望の力。希望の力は光の力だ。これなら君を倒す可能性があり、負けても君の養分にならずに済むからね。さぁ、アマラ行って!」
「ちくしょう、ちくしょーーーーっ!!」

 ニーグリが俺に向かって微笑む。その笑顔はあまりに儚く、そして悲しかった。そして何より、何もできない無力な自分に大きな憤りを覚え、俺は涙を流しメレーズの街を目指し飛び立った。

「俺は覚悟を決めたよニーグリ。お前が自分のしたことに責任を取る、っつーなら俺も取らないとな。お前は怒るかもしれんが、最後に王としての責務を果たすわ」

 そう、たとえこの身が地獄に落ちようとも王としての責任は果たす。ニーグリが聞いたら怒られそうだがナーラもリティスも恐らくメリッサもいないし、何よりニーグリ。お前のいない世界に未練はない。

 だがせめて。
 せめて俺を信じてくれたニーグリンドの国民だけは守らせてくれ。
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