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エピローグ それから……
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「学園長、間もなく開校式です」
「ああ、わかっている。今行くよルウ。それにしても慣れないな、学園長とかいう肩書きには」
サルヴァンはやれやれと苦笑いすると肩をすくめる。僕も慣れないよ、教頭なんて肩書きにはね。
今日は記念すべきエストガレス王立セフィロト学園の開校式だ。リーネの学校を作りたい、という願いは僕らのセフィロトの家の目標だった。そんな願いを叶えるべく僕らは尽力してきた。そして遂に開校の時を迎えたのである。
この学校は貴族のみならず一般市民からも広く生徒を募り、一般市民は無料で学問を習得することができる。王立という名の通り国の支援あってのものだ。
さらに親のない子供達のための受け入れ施設も併設され、貴族科と市民科の2つの学科を併せ持つ。そこからさらに各分野への勉強を選び、学ぶのだ。僕らとしては市民科だけでいいのでは、と思ったんだけどね。仮にも魔王を倒した英雄から教わることができるということで貴族からの入校の要望や問い合わせが殺到してしまったのだ。
で、貴族に教えるのなら爵位がないと駄目だろうとメンバー全員伯爵位を叙爵されている。官職に就いたわけじゃないから厳密には違うけど法服貴族というやつだ。
おかげで貴族のしきたりとかまぁ、色々叩き込まれる羽目になったんだけどね。
「あの戦いから3年か。時間が経つのは早いものだな」
「そうだね。その間にも色々あったけど、過ぎてしまえばあっという間だったね」
サルヴァンと2人廊下を歩きながら大講堂を目指す。うん、確かにあれから色々あったなぁ。アレサはここで剣術を教えることになっているけど、アニキータさんと結婚している。僕としてはかなり意外だったかな。リーネもここで魔法や語学を教える教師の一人だ。
大講堂には数多くの生徒が列を為して並んでいた。記念すべき第一期生達だ。必ず立派に導いて見せるとも。
壇上にサルヴァンが上がり、入校式が始まった。式は厳かに行われサルヴァンの祝辞も好評だったようだ。
入校式が終わり、僕は一人の生徒に声をかけた。この生徒はわざわざこの学園に入学するためにニーグリンドからやって来た留学生だからね。少し話をしてみたくなったのだ。
「君は確かニーグリンドから来たんだよね」
「はい、俺夢があるんです。俺、勉強頑張ってアマラ陛下のお役に立てるような立派な人間になりたいんです。そしたらアマラ様の側近の方がこの学園を勧めてくれたんです」
「そうか、君はとても運が良かったね。ニーグリンドからの留学枠は競争率も高かったから抽選だったんだよ。つまり運命は君を選んだんだ。その先をその手に掴めるかは君次第だからね」
「はい、俺精一杯頑張ります!」
うん、とても感じの良い元気な少年だ。アマラ、君はニーグリンドの人々から尊敬される立派な王になれたんだね。僕はそれがとても嬉しいよ。
ニーグリンドからやって来た少年はとてもやる気に満ちていた。こうしてまた1つ種子が育っていくのだろう。綺麗な花を咲かせてあげられるように導くのが僕たちの使命だ。それは僕たちにとってそのへんの魔物を倒すよりも遥かに難しい。でもだからこそやりがいがあるのだ。
「ルウ、ひいきはダメなんだよ?」
「リーネ、別にひいきしているわけじゃないよ。ただ少し気になっただけさ。アマラがちゃんとやれているか、だけどね」
「大丈夫なんじゃない? ニーグリンドは聖霊に護られてる国だから」
そうなのだ。ニーグリの奴、クリフォトの木から生まれた悪魔が自分に従順なのをいいことに全員聖霊に作り変えてしまったのだ。それが全てアマラの配下だもんな。それをしっかり政治的な取引材料にしてエスペラント教国にも住まわせ利を得ている。
「そういや招待状が届いていたっけ」
「うん、私にも届いていたね。あーあ、ナーラにも先越されちゃったなー」
あ、しまったやぶ蛇だったか。リーネの奴棒読みで皮肉ってるし。色々忙しくてリーネとは婚姻に至っていない。それがリーネには不満だったんだろう。
そう、届いた招待状というのはアマラとナーラの結婚式だ。アマラも国王なのだから大々的にやるのだろう。出席しないわけにはいかないよね。
「ナーラか。あれはちょっと予想外だったというか、関係性良く知らなかったから」
「そうだねぇ、まさか人間になってアマラと結婚するのは予想外だったかも」
ナーラは本来なら神霊として復活し、ニーグリの眷属となるはずだった。しかし本人の強い希望もあってニーグリが人としての肉体を与え、人間にしてしまったのだ。願いの熾天使だけあって凄い力を持っているみたい。
そしてニーグリも今はいいけどいつかはアマラもナーラもいなくなる。ニーグリにとって一番大事な人がいなくなっても地上界の熾天使として存在しなければならない。それがニーグリに与えられた罰でもある。まぁアマラの子孫たちを守ることで寂しさを紛らわすことはできるだろうけど。
「うんうん、そうだね。で、私達はいつなのかなルウ?」
「あーうん、近いうちに、ね?」
うーん、少なくともアマラ達の結婚式の後になるだろうね。それが終われば一段落するし、節目としてちょうどいいかも。ただ何も準備していないから一体いつになることやら。
「よし、楽しみにしてるからね?」
「それは任せて。できるだけ期待に沿うようにするから」
僕とリーネは話しながら大講堂を出る。眩しい空の下には庭園が広がっており、花壇に咲く花が色づいていた。その中で一本だけとても大きな木が植えられていた。
その木の横には石碑がありこう綴られている。
『この学び舎がセフィロトの木のように生命を育み、人を育む場所になることを願って
寄贈 願いの熾天使ニーグリより』
FIN
御清覧ありがとうございました!
あとがきは近況報告にて行います。
「ああ、わかっている。今行くよルウ。それにしても慣れないな、学園長とかいう肩書きには」
サルヴァンはやれやれと苦笑いすると肩をすくめる。僕も慣れないよ、教頭なんて肩書きにはね。
今日は記念すべきエストガレス王立セフィロト学園の開校式だ。リーネの学校を作りたい、という願いは僕らのセフィロトの家の目標だった。そんな願いを叶えるべく僕らは尽力してきた。そして遂に開校の時を迎えたのである。
この学校は貴族のみならず一般市民からも広く生徒を募り、一般市民は無料で学問を習得することができる。王立という名の通り国の支援あってのものだ。
さらに親のない子供達のための受け入れ施設も併設され、貴族科と市民科の2つの学科を併せ持つ。そこからさらに各分野への勉強を選び、学ぶのだ。僕らとしては市民科だけでいいのでは、と思ったんだけどね。仮にも魔王を倒した英雄から教わることができるということで貴族からの入校の要望や問い合わせが殺到してしまったのだ。
で、貴族に教えるのなら爵位がないと駄目だろうとメンバー全員伯爵位を叙爵されている。官職に就いたわけじゃないから厳密には違うけど法服貴族というやつだ。
おかげで貴族のしきたりとかまぁ、色々叩き込まれる羽目になったんだけどね。
「あの戦いから3年か。時間が経つのは早いものだな」
「そうだね。その間にも色々あったけど、過ぎてしまえばあっという間だったね」
サルヴァンと2人廊下を歩きながら大講堂を目指す。うん、確かにあれから色々あったなぁ。アレサはここで剣術を教えることになっているけど、アニキータさんと結婚している。僕としてはかなり意外だったかな。リーネもここで魔法や語学を教える教師の一人だ。
大講堂には数多くの生徒が列を為して並んでいた。記念すべき第一期生達だ。必ず立派に導いて見せるとも。
壇上にサルヴァンが上がり、入校式が始まった。式は厳かに行われサルヴァンの祝辞も好評だったようだ。
入校式が終わり、僕は一人の生徒に声をかけた。この生徒はわざわざこの学園に入学するためにニーグリンドからやって来た留学生だからね。少し話をしてみたくなったのだ。
「君は確かニーグリンドから来たんだよね」
「はい、俺夢があるんです。俺、勉強頑張ってアマラ陛下のお役に立てるような立派な人間になりたいんです。そしたらアマラ様の側近の方がこの学園を勧めてくれたんです」
「そうか、君はとても運が良かったね。ニーグリンドからの留学枠は競争率も高かったから抽選だったんだよ。つまり運命は君を選んだんだ。その先をその手に掴めるかは君次第だからね」
「はい、俺精一杯頑張ります!」
うん、とても感じの良い元気な少年だ。アマラ、君はニーグリンドの人々から尊敬される立派な王になれたんだね。僕はそれがとても嬉しいよ。
ニーグリンドからやって来た少年はとてもやる気に満ちていた。こうしてまた1つ種子が育っていくのだろう。綺麗な花を咲かせてあげられるように導くのが僕たちの使命だ。それは僕たちにとってそのへんの魔物を倒すよりも遥かに難しい。でもだからこそやりがいがあるのだ。
「ルウ、ひいきはダメなんだよ?」
「リーネ、別にひいきしているわけじゃないよ。ただ少し気になっただけさ。アマラがちゃんとやれているか、だけどね」
「大丈夫なんじゃない? ニーグリンドは聖霊に護られてる国だから」
そうなのだ。ニーグリの奴、クリフォトの木から生まれた悪魔が自分に従順なのをいいことに全員聖霊に作り変えてしまったのだ。それが全てアマラの配下だもんな。それをしっかり政治的な取引材料にしてエスペラント教国にも住まわせ利を得ている。
「そういや招待状が届いていたっけ」
「うん、私にも届いていたね。あーあ、ナーラにも先越されちゃったなー」
あ、しまったやぶ蛇だったか。リーネの奴棒読みで皮肉ってるし。色々忙しくてリーネとは婚姻に至っていない。それがリーネには不満だったんだろう。
そう、届いた招待状というのはアマラとナーラの結婚式だ。アマラも国王なのだから大々的にやるのだろう。出席しないわけにはいかないよね。
「ナーラか。あれはちょっと予想外だったというか、関係性良く知らなかったから」
「そうだねぇ、まさか人間になってアマラと結婚するのは予想外だったかも」
ナーラは本来なら神霊として復活し、ニーグリの眷属となるはずだった。しかし本人の強い希望もあってニーグリが人としての肉体を与え、人間にしてしまったのだ。願いの熾天使だけあって凄い力を持っているみたい。
そしてニーグリも今はいいけどいつかはアマラもナーラもいなくなる。ニーグリにとって一番大事な人がいなくなっても地上界の熾天使として存在しなければならない。それがニーグリに与えられた罰でもある。まぁアマラの子孫たちを守ることで寂しさを紛らわすことはできるだろうけど。
「うんうん、そうだね。で、私達はいつなのかなルウ?」
「あーうん、近いうちに、ね?」
うーん、少なくともアマラ達の結婚式の後になるだろうね。それが終われば一段落するし、節目としてちょうどいいかも。ただ何も準備していないから一体いつになることやら。
「よし、楽しみにしてるからね?」
「それは任せて。できるだけ期待に沿うようにするから」
僕とリーネは話しながら大講堂を出る。眩しい空の下には庭園が広がっており、花壇に咲く花が色づいていた。その中で一本だけとても大きな木が植えられていた。
その木の横には石碑がありこう綴られている。
『この学び舎がセフィロトの木のように生命を育み、人を育む場所になることを願って
寄贈 願いの熾天使ニーグリより』
FIN
御清覧ありがとうございました!
あとがきは近況報告にて行います。
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