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eternoに入社して、早一ヶ月。
遼平くんの鶴の一声で、私は秘書課に抜擢され、念願叶って秘書として多忙な彼のサポートをしています。
というのは嘘です。
ごめんなさい。
現実はそんなに甘くありません。
本当の配属先は、販売促進部。
平たく言うと商品ヒットの仕掛けを作る部署だ(ちなみに晴臣は人事部)。
新人で経済学部出身の私は目下ターゲット層の指向調査と分析。
配属先が決まった時、がっかりしなかったと言えば嘘になるけれど、父に特別扱いはさせないでと頼んでいたので、それが実行されていることに安堵した。
仕事自体はそれなりに順調…なんだけど。
***
「蓮見さん、近所においしいフレンチあるんだ。一緒にランチに行かない?」
「ありがとうございます。でも、今日はお弁当持を参してますので」
「蓮見さん、俺のお薦めの隠れ家レストランがあるんだけど、今夜空いてない?」
「今日は父と外食の予定があるので、申し訳ありません」
***
入社してからほぼ毎昼休み、毎就業後、こんな調子なのだ。
「蓮見、この一ヶ月で男性社員達あしらうの、本当に上手くなったよねー」
ブラックコーヒーを片手にカラカラと笑う黒髪ショートボブのクールビューティーは飛鳥先輩。
「うん。最初はどうなることかと思ったけど」
対象的に、砂糖たっぷりのカフェオレを飲みながら頷き、明るめのミディアムウェーブの髪を揺らす可愛い系女子、真由先輩。
密かに心の中で白黒コンビと呼んでいる私の指導係的なこの二人。
最初の頃は私を誘いにくる男性社員達を、尾にたかるハエを払うが如く追い払ってくれていた。
「お二人のお陰です。私、こんな風に男の人から誘われたことなんてなかったから、どうしたらいいか分からなくて」
「うっそ。何言ってんの?そんなわけないでしょ!」
「いや、本当ですってば」
「今まで一度も??」
「ありませんよ。自慢じゃありませんけど、デートもしたことありませんし」
「…は?え?…ってことは、こんな整いまくった容姿にオプションで処…」
「こーら、飛鳥。それ同性でもセクハラ」
飛鳥先輩が慌てて謝って来たけれど、処女なのは本当なので全く気にしていない。
そういう行為は本当に好きな人とするべきで、叶わない恋をしている私は一生処女の可能性が高いけれどー
そう考えると、ちょっとだけ気分が落ち込んでしまった。
遼平くんの鶴の一声で、私は秘書課に抜擢され、念願叶って秘書として多忙な彼のサポートをしています。
というのは嘘です。
ごめんなさい。
現実はそんなに甘くありません。
本当の配属先は、販売促進部。
平たく言うと商品ヒットの仕掛けを作る部署だ(ちなみに晴臣は人事部)。
新人で経済学部出身の私は目下ターゲット層の指向調査と分析。
配属先が決まった時、がっかりしなかったと言えば嘘になるけれど、父に特別扱いはさせないでと頼んでいたので、それが実行されていることに安堵した。
仕事自体はそれなりに順調…なんだけど。
***
「蓮見さん、近所においしいフレンチあるんだ。一緒にランチに行かない?」
「ありがとうございます。でも、今日はお弁当持を参してますので」
「蓮見さん、俺のお薦めの隠れ家レストランがあるんだけど、今夜空いてない?」
「今日は父と外食の予定があるので、申し訳ありません」
***
入社してからほぼ毎昼休み、毎就業後、こんな調子なのだ。
「蓮見、この一ヶ月で男性社員達あしらうの、本当に上手くなったよねー」
ブラックコーヒーを片手にカラカラと笑う黒髪ショートボブのクールビューティーは飛鳥先輩。
「うん。最初はどうなることかと思ったけど」
対象的に、砂糖たっぷりのカフェオレを飲みながら頷き、明るめのミディアムウェーブの髪を揺らす可愛い系女子、真由先輩。
密かに心の中で白黒コンビと呼んでいる私の指導係的なこの二人。
最初の頃は私を誘いにくる男性社員達を、尾にたかるハエを払うが如く追い払ってくれていた。
「お二人のお陰です。私、こんな風に男の人から誘われたことなんてなかったから、どうしたらいいか分からなくて」
「うっそ。何言ってんの?そんなわけないでしょ!」
「いや、本当ですってば」
「今まで一度も??」
「ありませんよ。自慢じゃありませんけど、デートもしたことありませんし」
「…は?え?…ってことは、こんな整いまくった容姿にオプションで処…」
「こーら、飛鳥。それ同性でもセクハラ」
飛鳥先輩が慌てて謝って来たけれど、処女なのは本当なので全く気にしていない。
そういう行為は本当に好きな人とするべきで、叶わない恋をしている私は一生処女の可能性が高いけれどー
そう考えると、ちょっとだけ気分が落ち込んでしまった。
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