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「俺がここに来たのは終わりを見届けるためだ」
「終わり…何の…?」
「千歳の…初恋?」
私の長年の想いを嘲るような疑問形の口調にカッとなる。
「私の初恋の終わりって…晴臣も知ってるでしょう?私はただ遼平くんの側にいられればそれでいいの。気持ちを伝えたり、どうにかなりたいわけじゃない。だからこの恋はずっと終わらない。終わったりしない」
「…なあ、そんなの、本当に恋って言えると思うか?」
いつもの、冷ややか視線が私の怒りを焚きつける。
「何よ。ちょっとモテるからって、恋愛マスターにでもなったつもり?」
「まさか。俺だって、今まで好きになったのは一人だけだ。それも、もう随分長いこと全く相手にされてない」
よく言う!あんな何人もの女の子達と付き合っておいて。
という言葉が続かないのは、冷めかけた晴臣の目にまた見慣れない熱が宿るから。
「でも、どんなに我慢していても、本当に好きならいつか必ず、どうしようもなく気持ちを伝えたくなる日が来る」
まるで私と同じくらい、いや、それよりも長い間想いを募らせて来たかの様だ。
「そ、そんなこと、何で晴臣に分かるのよ?」
「俺が、そうだからだ」
晴臣がー?
まさか。
まさかね。
ありえないと思っていても、続きを聞くのが怖い。
「は、晴臣、新しい彼女できたの?」
不自然な質問をした意図を見透かしたように、晴臣はハッキリと言った。
「はぐらかすなよ。いくら鈍くても分かるだろ?千歳のことが好きだって言ってるんだ」
晴臣が
私のことを
好き
「う、嘘―」
ここまで言われても、まだ信じられないでいると、そっと晴臣が私の手を取り、自分の胸の上に重ねさせた。
「これでも信じない?」
スーツの上からでも分かるほど、心臓がドクドクと跳ね上がっている。
いつも澄ました晴臣がー
ピアノのコンクールでも、テニスの試合でも、英語の弁論コンテストでも、大学入試でも顔色一つ変えることのなかった晴臣の心臓が、こんなになるなんて。
「でも…だって、晴臣、色んなコと付き合ってたじゃない」
「それは…千歳が言ったんだろ。『どうせ親が決めた婚約だし、晴臣が適当に遊んでくれた方が、私も心置きなく遼平くんに片思いできる』って」
言った。
確かに言った。
晴臣に、遼平くんへの気持ちを見破られ、問い詰められた時。
永美ちゃんへの罪悪感を誤魔化すために、自分を正当化するために、ほとんど八つ当たりに近い言い方で。
晴臣が彼女をとっかえひっかえし始めたのは、思い返せばその頃からだ。
彼女たちと別れるときに使っていた常套句、『俺には千歳がいるから』は嘘偽りのない、晴臣なりの誠意だった?
と、いうことは、本当の本当に、晴臣は私を好きー?
でも、私はー
「晴臣。私―」
「言うな」
謝ろうとした私の顎を晴臣はクイッと持ち上げると、またもキスで唇を塞いだ。
「終わり…何の…?」
「千歳の…初恋?」
私の長年の想いを嘲るような疑問形の口調にカッとなる。
「私の初恋の終わりって…晴臣も知ってるでしょう?私はただ遼平くんの側にいられればそれでいいの。気持ちを伝えたり、どうにかなりたいわけじゃない。だからこの恋はずっと終わらない。終わったりしない」
「…なあ、そんなの、本当に恋って言えると思うか?」
いつもの、冷ややか視線が私の怒りを焚きつける。
「何よ。ちょっとモテるからって、恋愛マスターにでもなったつもり?」
「まさか。俺だって、今まで好きになったのは一人だけだ。それも、もう随分長いこと全く相手にされてない」
よく言う!あんな何人もの女の子達と付き合っておいて。
という言葉が続かないのは、冷めかけた晴臣の目にまた見慣れない熱が宿るから。
「でも、どんなに我慢していても、本当に好きならいつか必ず、どうしようもなく気持ちを伝えたくなる日が来る」
まるで私と同じくらい、いや、それよりも長い間想いを募らせて来たかの様だ。
「そ、そんなこと、何で晴臣に分かるのよ?」
「俺が、そうだからだ」
晴臣がー?
まさか。
まさかね。
ありえないと思っていても、続きを聞くのが怖い。
「は、晴臣、新しい彼女できたの?」
不自然な質問をした意図を見透かしたように、晴臣はハッキリと言った。
「はぐらかすなよ。いくら鈍くても分かるだろ?千歳のことが好きだって言ってるんだ」
晴臣が
私のことを
好き
「う、嘘―」
ここまで言われても、まだ信じられないでいると、そっと晴臣が私の手を取り、自分の胸の上に重ねさせた。
「これでも信じない?」
スーツの上からでも分かるほど、心臓がドクドクと跳ね上がっている。
いつも澄ました晴臣がー
ピアノのコンクールでも、テニスの試合でも、英語の弁論コンテストでも、大学入試でも顔色一つ変えることのなかった晴臣の心臓が、こんなになるなんて。
「でも…だって、晴臣、色んなコと付き合ってたじゃない」
「それは…千歳が言ったんだろ。『どうせ親が決めた婚約だし、晴臣が適当に遊んでくれた方が、私も心置きなく遼平くんに片思いできる』って」
言った。
確かに言った。
晴臣に、遼平くんへの気持ちを見破られ、問い詰められた時。
永美ちゃんへの罪悪感を誤魔化すために、自分を正当化するために、ほとんど八つ当たりに近い言い方で。
晴臣が彼女をとっかえひっかえし始めたのは、思い返せばその頃からだ。
彼女たちと別れるときに使っていた常套句、『俺には千歳がいるから』は嘘偽りのない、晴臣なりの誠意だった?
と、いうことは、本当の本当に、晴臣は私を好きー?
でも、私はー
「晴臣。私―」
「言うな」
謝ろうとした私の顎を晴臣はクイッと持ち上げると、またもキスで唇を塞いだ。
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