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週末は、丸二日間、部屋に閉じこもり、ひたすら泣いて過ごした。
募りに募った七年分の遼平くんへの恋心を涙に変えて、体の外に放出している様だった。
どれだけ泣いたって、私の罪がなかったことにはならないと、分かっていたつもりだったけれどー
****
「千歳、行くぞ…って何だその顔!?」
朝迎えに来るなりの晴臣の暴言も甘んじて受け入れよう。
起きたら瞼がパンパンに腫れていて、冷やしても、メイクで隠そうとしても、どうしようもできなかったのだ。
色んなことに自己嫌悪してしまって、勝手に深い溜め息が漏れる。
「金曜日、飲みで何かあったのか?」
心配そうに問われ、晴臣にまで罪悪感が湧く。
『あの日』のこともあって、遼平くんの家には一人で行かないように言われていたのに。
寝ぼけた遼平くんにキスされたなんて、口が裂けてもいえない。
「…ちょっと泣ける映画を見ただけ。何もない」
「ならいいけど。ストーカーのこともあるし、ちょっとでも気になることがあれば、早めに言えよ」
ありきたりの嘘で誤魔化した私なんかに優しい晴臣に、罪悪感が大きくなる。
自分が嫌いになりそうだ。
いっそ本当のことを言ってしまおうか?
でも、言えば私は楽になるけれど、今度は晴臣を傷つけてしまう。
ごめん。嘘はこれで最後にするから。
「うん。約束する」
二重の約束をして、家を出た。
晴臣と別れた後、一人で販促部に向かう道すがら。
何となく、いつもより視線を感じる。
入社直後と、ポスターが発表された後もしばらく同じような状態だったけど、どこか違う。
その理由は、すぐに分かった。
「蓮見ちゃん、あの後社長の家に行ったの?」
私が販促部に着くなり、真由先輩が飛んできて尋ねた。
「えっ?あの…?」
なぜ真由先輩がそのことを知っているのか分からず、言葉を濁していると「来て!」と腕を引っ張られた。
PC画面に映る、マンションに並んで入っていく遼平くんと私の画像に、頭が真っ白になった。
「誰が、こんなー」
#eterno
#密会
憶測を煽るような悪意のあるハッシュタグに身震いする。
「会社用のメールアドレスに送られて来たの。蓮見ちゃんのSNSに返信形式で投稿された画像のスクショみたい。もしかしたら、全社員に送られてるかも」
全社員…ということは晴臣にも見られてしまう。
それに、こんなものが世間に広まったら、遼平くんにも迷惑が掛かる。
大急ぎでスマホを取り出し、ひとまずSNSに貼り付けられた画像を削除した。
幸い画像が貼られたのはついさっきのことで、拡散はされていない。
閲覧者が少ないことを願うしかない。
「SNSで嫌がらせされてたみたいだけど、どうして言ってくれなかったの?他に変わったことはなかった?」
矢継ぎ早に質問されても、まだ頭の中が混乱していてうまく答えることができないでいると、持っていたスマホが震えた。
ディスプレイに表示された『お父さん』という文字に、体が凍りついた。
募りに募った七年分の遼平くんへの恋心を涙に変えて、体の外に放出している様だった。
どれだけ泣いたって、私の罪がなかったことにはならないと、分かっていたつもりだったけれどー
****
「千歳、行くぞ…って何だその顔!?」
朝迎えに来るなりの晴臣の暴言も甘んじて受け入れよう。
起きたら瞼がパンパンに腫れていて、冷やしても、メイクで隠そうとしても、どうしようもできなかったのだ。
色んなことに自己嫌悪してしまって、勝手に深い溜め息が漏れる。
「金曜日、飲みで何かあったのか?」
心配そうに問われ、晴臣にまで罪悪感が湧く。
『あの日』のこともあって、遼平くんの家には一人で行かないように言われていたのに。
寝ぼけた遼平くんにキスされたなんて、口が裂けてもいえない。
「…ちょっと泣ける映画を見ただけ。何もない」
「ならいいけど。ストーカーのこともあるし、ちょっとでも気になることがあれば、早めに言えよ」
ありきたりの嘘で誤魔化した私なんかに優しい晴臣に、罪悪感が大きくなる。
自分が嫌いになりそうだ。
いっそ本当のことを言ってしまおうか?
でも、言えば私は楽になるけれど、今度は晴臣を傷つけてしまう。
ごめん。嘘はこれで最後にするから。
「うん。約束する」
二重の約束をして、家を出た。
晴臣と別れた後、一人で販促部に向かう道すがら。
何となく、いつもより視線を感じる。
入社直後と、ポスターが発表された後もしばらく同じような状態だったけど、どこか違う。
その理由は、すぐに分かった。
「蓮見ちゃん、あの後社長の家に行ったの?」
私が販促部に着くなり、真由先輩が飛んできて尋ねた。
「えっ?あの…?」
なぜ真由先輩がそのことを知っているのか分からず、言葉を濁していると「来て!」と腕を引っ張られた。
PC画面に映る、マンションに並んで入っていく遼平くんと私の画像に、頭が真っ白になった。
「誰が、こんなー」
#eterno
#密会
憶測を煽るような悪意のあるハッシュタグに身震いする。
「会社用のメールアドレスに送られて来たの。蓮見ちゃんのSNSに返信形式で投稿された画像のスクショみたい。もしかしたら、全社員に送られてるかも」
全社員…ということは晴臣にも見られてしまう。
それに、こんなものが世間に広まったら、遼平くんにも迷惑が掛かる。
大急ぎでスマホを取り出し、ひとまずSNSに貼り付けられた画像を削除した。
幸い画像が貼られたのはついさっきのことで、拡散はされていない。
閲覧者が少ないことを願うしかない。
「SNSで嫌がらせされてたみたいだけど、どうして言ってくれなかったの?他に変わったことはなかった?」
矢継ぎ早に質問されても、まだ頭の中が混乱していてうまく答えることができないでいると、持っていたスマホが震えた。
ディスプレイに表示された『お父さん』という文字に、体が凍りついた。
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