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「…さん、蓮見さん。そろそろ起きて」
耳元で響く心地よい声に起こされ目を開けると、隣には遼平くんの照れくさそうな笑顔。
そうだ。
昨夜晴臣とあのコが一緒にいるのを見た私は、ショックのあまり泣きながら一人帰宅しているところを遼平くんに拾われて…そのまま遼平くんのマンションで一夜を共に…
嘘です。
冗談です。
してません。
永美ちゃん(も読者の皆さんも)ごめんなさい。
悪ふざけが過ぎました。
作者も性癖上絶対に朝チュンはしないと言ってます。
でも、二度目とは言え慣れない撮影の緊張感は、悪ふざけくらいしないとやっていられないレベル。
真相は、移動中の飛行機の中。
真由先輩の、宣言通りのあからさまな裏工作第一弾。
遼平くんと二人ビジネスクラスのペアシート席を準備されていた私が、前日の寝不足が祟って、搭乗直後からウトウトと舟をこいでいたら、遼平くんが肩を貸してくれただけでした。
以前の私なら、遼平くんとペアシートというだけで舞い上がって、眠るなんて至難の業だったはず。
―でも、今は。
しっかり熟睡できてしまったのは、時間という名の薬の効き目と、最近の遼平くんの叔父バカぶりのお陰だと思う。
「ここ、髪はねてるよ」
ほら、ね。
私の前髪の乱れを繊細な手付きで直してくれるこの過保護っぷりは、父のソレそのものだ。
今回の撮影場所は前回とは違って、チャペルではなく、美術館の広大な敷地の一角に建てられた施設。
それ故に、壁を飾るステンドグラスのモチーフはいわゆるキリスト教の教え的なものではなく、花鳥風月が用いられている。
そして、もう一つ前回と違うのはー
「えっ!?貸し切りじゃない!!?」
メイク中に思わず叫んでしまい、アイラインがありえないくらい伸びてしまった。
今回ももちろんメイクを手掛けてくれるのは松本さんで、「動かないで!」と叱られる。
「ごめんね。撮影の許可は簡単に下りたんだけど、貸し切りにはできなくて。かなり粘ったんだけど、無理だったのよ」
―と、いうことは。
「そう。なんと、今回はまさかの公開撮影でぇす」
いい年してゆるふわっと言えば何でも許されると思っているんだろうか。
怒りに震えていると、何かを察したらしく、真由先輩は慌てて言い繕った。
「って言っても、『撮影中につきご協力お願いします』的に、ある程度人払いするし、社長もあるから大丈夫だから!!」
え?もしかして遼平くん、今回はボディーガード要員として連れてこられた?
社長をボディーガードとして使うなんて…eternoで一番力があるのって、実は真由先輩なのかもしれない。
「…さん、蓮見さん。そろそろ起きて」
耳元で響く心地よい声に起こされ目を開けると、隣には遼平くんの照れくさそうな笑顔。
そうだ。
昨夜晴臣とあのコが一緒にいるのを見た私は、ショックのあまり泣きながら一人帰宅しているところを遼平くんに拾われて…そのまま遼平くんのマンションで一夜を共に…
嘘です。
冗談です。
してません。
永美ちゃん(も読者の皆さんも)ごめんなさい。
悪ふざけが過ぎました。
作者も性癖上絶対に朝チュンはしないと言ってます。
でも、二度目とは言え慣れない撮影の緊張感は、悪ふざけくらいしないとやっていられないレベル。
真相は、移動中の飛行機の中。
真由先輩の、宣言通りのあからさまな裏工作第一弾。
遼平くんと二人ビジネスクラスのペアシート席を準備されていた私が、前日の寝不足が祟って、搭乗直後からウトウトと舟をこいでいたら、遼平くんが肩を貸してくれただけでした。
以前の私なら、遼平くんとペアシートというだけで舞い上がって、眠るなんて至難の業だったはず。
―でも、今は。
しっかり熟睡できてしまったのは、時間という名の薬の効き目と、最近の遼平くんの叔父バカぶりのお陰だと思う。
「ここ、髪はねてるよ」
ほら、ね。
私の前髪の乱れを繊細な手付きで直してくれるこの過保護っぷりは、父のソレそのものだ。
今回の撮影場所は前回とは違って、チャペルではなく、美術館の広大な敷地の一角に建てられた施設。
それ故に、壁を飾るステンドグラスのモチーフはいわゆるキリスト教の教え的なものではなく、花鳥風月が用いられている。
そして、もう一つ前回と違うのはー
「えっ!?貸し切りじゃない!!?」
メイク中に思わず叫んでしまい、アイラインがありえないくらい伸びてしまった。
今回ももちろんメイクを手掛けてくれるのは松本さんで、「動かないで!」と叱られる。
「ごめんね。撮影の許可は簡単に下りたんだけど、貸し切りにはできなくて。かなり粘ったんだけど、無理だったのよ」
―と、いうことは。
「そう。なんと、今回はまさかの公開撮影でぇす」
いい年してゆるふわっと言えば何でも許されると思っているんだろうか。
怒りに震えていると、何かを察したらしく、真由先輩は慌てて言い繕った。
「って言っても、『撮影中につきご協力お願いします』的に、ある程度人払いするし、社長もあるから大丈夫だから!!」
え?もしかして遼平くん、今回はボディーガード要員として連れてこられた?
社長をボディーガードとして使うなんて…eternoで一番力があるのって、実は真由先輩なのかもしれない。
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