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固く閉じた花の蕾の花弁を、一枚一枚丁寧に押し開くようにして、少しずつ体内に舌が入って来る。
「んうぅっ…!」
痛みはないものの、激しい異物感に大きく上半身を捩ると、すぐに遼平くんが脚の付け根から顔を離した。
「…怖い?」
怖くないと言えば、嘘になる。
でも。
目の前で優しく問いかける遼平くんが、今にも消えてしまいそうで。
身体を繋いででも引き止めなければという一心で、恐怖を振り払う。
「平気…だから」
「…うん」
唇に遼平くんの小指があてがわれ、私は何も言われなくとも口に含む。
十分濡れると、引き抜かれ、今度は蜜口にあてがわれた。
「中指と人差し指が入るまで解してから、ね」
舌よりも固い指が、入って来る。
「んっ」
声が漏れても、侵攻は止まらない。
軽く指を動かして、状態を確かめられる。
「結構柔らかい…指、変えるね」
コクコクと頷くと、遼平くんは一番太くて長い中指を自分で舐めた。
すっかりはだけてしまった浴衣からは薄らと筋肉のついた胸板が顕になっていて、つい今しがた消えてしまいそうだと思わせた面影はどこにもないほど妖艶だ。
見惚れている間に、中指の準備は整い、舌や小指とは比べ物にならない圧迫感が下腹部を襲った。
「痛い!」と感じる前に、より強烈な感覚に見舞われる。
上半身を跳ね起こすと、遼平くんが脚の付け根に顔を埋めていた。
じわじわと指を埋めながら、舌で陰核をー
理解したのと同時に、未知の快感に脳が支配された。
*
「ぃっ…ぁああっ…!!」
もう何度目の絶頂かさえ分からない。
あれ程激しく吹き荒れていた外の風雨は、いつしかすっかり鎮まっていた。
二人きりの室内に響くのは、擦れ始めた私の喘ぎ声だけ。
舌と指を駆使し、幾度となく限界を超えて高められた私の体は、最初は異物感しかなかった内側にまでハッキリとした甘い疼きを感じるほどになっていた。
途中、寄せては返す快楽の波に、何度も意識を手放しそうになったのは、夕食時に飲んだアルコールの影響もありそうだ。
爆速で全身を駆け巡る血液に乗って脳を麻痺させ、思考を蝕み、『いっそ一思いに挿れてくれればいいのに』という考え一色に染めた。
正気にかじりついてでもそう口走らせなかったのは、処女としての私。
どうしても、どうしても、言えなかった。
遼平くんは、蜜にまみれた指をようやく私から引き抜くと、反対側の手で額を優しく撫でて微笑んだ。
「…気づいてた?今、指二本入ってたの」
と、言うことは。
やっと、やっと。
遼平くんと繋がれる。
あと少しで、遼平くんの孤独を、温もりに変えられる。
いつの間にかサイドテーブルに置かれていた避妊具に、遼平くんが手を伸ばした。
後ろを向いて準備する広い背中を、私はただ満ち足りた気持ちで眺めていた。
遼平くん。
もう大丈夫。
私が、温めるからー
それまで何度もそうしていたように、今回も失いそうになる意識をすんでのところで保ったはずだった。
それなのに。
どうして障子の向こうが明るいの?
どうして遼平くんが隣で寝てるの?
まさか、全部夢だった?
いや。そんなはずない。
私、何も着てないし。
下腹部に何となく違和感もある。
やったの?
やってないの?
一体どっちなのーーー!!?
と、頭の中で絶叫していたら、遼平くんの口から漏れた小さな寝言がそれを一瞬でかき消した。
「ーーー永美…」
遼平くんが永美ちゃんを忘れていないことも、私自身に惹かれていると言いながら、私に永美ちゃんの面影を探していたことも、全部承知の上のことだった。
でもやっぱり居た堪れなくなって、息を潜めベッドから静かに抜け出すと、足を下ろした先にあった籐の屑籠をひっくり返してしまった。
散らばったゴミを拾い集めていたら、ティッシュに包まれたグニュッとした「何か」の感触。
恐る恐る開くと、中身は予想通り避妊具だった。
ただし、口を縛った使用済みのものであることまでは予想していなかった。
全てを捧げても足りなかったー
永美ちゃんの存在の大きさと自分の無力さに声を殺して泣いた。
「んうぅっ…!」
痛みはないものの、激しい異物感に大きく上半身を捩ると、すぐに遼平くんが脚の付け根から顔を離した。
「…怖い?」
怖くないと言えば、嘘になる。
でも。
目の前で優しく問いかける遼平くんが、今にも消えてしまいそうで。
身体を繋いででも引き止めなければという一心で、恐怖を振り払う。
「平気…だから」
「…うん」
唇に遼平くんの小指があてがわれ、私は何も言われなくとも口に含む。
十分濡れると、引き抜かれ、今度は蜜口にあてがわれた。
「中指と人差し指が入るまで解してから、ね」
舌よりも固い指が、入って来る。
「んっ」
声が漏れても、侵攻は止まらない。
軽く指を動かして、状態を確かめられる。
「結構柔らかい…指、変えるね」
コクコクと頷くと、遼平くんは一番太くて長い中指を自分で舐めた。
すっかりはだけてしまった浴衣からは薄らと筋肉のついた胸板が顕になっていて、つい今しがた消えてしまいそうだと思わせた面影はどこにもないほど妖艶だ。
見惚れている間に、中指の準備は整い、舌や小指とは比べ物にならない圧迫感が下腹部を襲った。
「痛い!」と感じる前に、より強烈な感覚に見舞われる。
上半身を跳ね起こすと、遼平くんが脚の付け根に顔を埋めていた。
じわじわと指を埋めながら、舌で陰核をー
理解したのと同時に、未知の快感に脳が支配された。
*
「ぃっ…ぁああっ…!!」
もう何度目の絶頂かさえ分からない。
あれ程激しく吹き荒れていた外の風雨は、いつしかすっかり鎮まっていた。
二人きりの室内に響くのは、擦れ始めた私の喘ぎ声だけ。
舌と指を駆使し、幾度となく限界を超えて高められた私の体は、最初は異物感しかなかった内側にまでハッキリとした甘い疼きを感じるほどになっていた。
途中、寄せては返す快楽の波に、何度も意識を手放しそうになったのは、夕食時に飲んだアルコールの影響もありそうだ。
爆速で全身を駆け巡る血液に乗って脳を麻痺させ、思考を蝕み、『いっそ一思いに挿れてくれればいいのに』という考え一色に染めた。
正気にかじりついてでもそう口走らせなかったのは、処女としての私。
どうしても、どうしても、言えなかった。
遼平くんは、蜜にまみれた指をようやく私から引き抜くと、反対側の手で額を優しく撫でて微笑んだ。
「…気づいてた?今、指二本入ってたの」
と、言うことは。
やっと、やっと。
遼平くんと繋がれる。
あと少しで、遼平くんの孤独を、温もりに変えられる。
いつの間にかサイドテーブルに置かれていた避妊具に、遼平くんが手を伸ばした。
後ろを向いて準備する広い背中を、私はただ満ち足りた気持ちで眺めていた。
遼平くん。
もう大丈夫。
私が、温めるからー
それまで何度もそうしていたように、今回も失いそうになる意識をすんでのところで保ったはずだった。
それなのに。
どうして障子の向こうが明るいの?
どうして遼平くんが隣で寝てるの?
まさか、全部夢だった?
いや。そんなはずない。
私、何も着てないし。
下腹部に何となく違和感もある。
やったの?
やってないの?
一体どっちなのーーー!!?
と、頭の中で絶叫していたら、遼平くんの口から漏れた小さな寝言がそれを一瞬でかき消した。
「ーーー永美…」
遼平くんが永美ちゃんを忘れていないことも、私自身に惹かれていると言いながら、私に永美ちゃんの面影を探していたことも、全部承知の上のことだった。
でもやっぱり居た堪れなくなって、息を潜めベッドから静かに抜け出すと、足を下ろした先にあった籐の屑籠をひっくり返してしまった。
散らばったゴミを拾い集めていたら、ティッシュに包まれたグニュッとした「何か」の感触。
恐る恐る開くと、中身は予想通り避妊具だった。
ただし、口を縛った使用済みのものであることまでは予想していなかった。
全てを捧げても足りなかったー
永美ちゃんの存在の大きさと自分の無力さに声を殺して泣いた。
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