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これは、幻?
この部屋に入ってから、ずっと考えないようにしていたのに。
どうして晴臣がこんな時間に、こんな所にいるの?
「何やってんだ、って聞いてるんだけど」
一段低さを増した声で再び尋ねられ、目の前にいる晴臣が夢でも幻でもないことを強制的に理解させられる。
そして、同時に昨夜遼平くんから聞いた話を思い出した。
縮こまった喉を広げて声を絞り出す。
「晴臣、こそ。こんな所で何やってるの?川瀬さん、放ったらかしでいいの?」
「いいに決まってるだろ。アイツが千歳のなりすましやってるところ、現行犯で押さえて全部白状させて、退職届まで出させて来たんだから」
現行犯?
全部白状?
退職届?
それらの単語に、自分が盛大な勘違いをしていたことにやっと気付き、愕然とした。
いや、正確には晴臣の意図に気付きかけていたはずなのに、相手が川瀬さんと聞いた衝撃で消し飛ばしてしまっていたのだ。
「より…戻したんじゃなかったの?」
「…言ったよな?俺は後にも先にも千歳のこと以外好きになったことなんてないって。みっともなく交換条件まで出して、ようやく仮の彼氏まで漕ぎ着けたのに、それで何で川瀬とより戻すんだよ?」
真っ直ぐに向けられる晴臣の想いが、鋭い刃になって胸を突き刺す。
「…で?千歳は、こんな時間にそんな格好で…社長の部屋で何やってんだよ!?」
晴臣の怒声が轟き終えるより早く、後ろに腕を引っ張られ、気付けば遼平くんの広い背中に守られてた。
「こんな時間にこんな所まで駆けつけて来たってことは、この写真を見たってことだろう?」
遼平くんがスマホを見せると、晴臣は眉間のシワを更に深くした。
何のことか思い当たらず、身を乗り出して画面を見れば、私のSNSに映し出されていたのはー
今正に私たちがいる貴賓室の玄関。
そこから時間だけ遡り、嵐の中遼平くんに抱き竦められている私の姿だった。
どういうこと?
嫌がらせやなりすましをしていた犯人は川瀬さんじゃなかったの!?
晴臣と一緒にいた彼女にはこんな写真撮れっこない。
これってつまりー
「身近に犯人がいる可能性を考慮して、ちーちゃんに何も知らせずにいたのは、ある意味正解だったね。コレを撮って載せた犯人にはさっき辞表を出すよう伝えたよ」
やっぱり川瀬さんとは別にもう一人犯人がいたんだ。
それも、きっと、今回のポスターの撮影メンバーの中に。
違うって言ってたのに、やっぱり真由先輩だったの?ー
晴臣の登場で、ただでさえパニック状態なのに、追い討ちをかけるような新情報に、私の頭はオーバーヒートを起こしかけている。
「でも、ちーちゃんはそのせいで酷く傷ついてた。そしてそれは、僕にとっては願ってもないチャンスだった。…僕はちーちゃんに惹かれていたから。あとは、君がこの写真を見て想像したとおり…」
遼平くんが全部言い終える前に、真っ青な顔の晴臣が、遼平くんの胸ぐらに掴みかかった。
この部屋に入ってから、ずっと考えないようにしていたのに。
どうして晴臣がこんな時間に、こんな所にいるの?
「何やってんだ、って聞いてるんだけど」
一段低さを増した声で再び尋ねられ、目の前にいる晴臣が夢でも幻でもないことを強制的に理解させられる。
そして、同時に昨夜遼平くんから聞いた話を思い出した。
縮こまった喉を広げて声を絞り出す。
「晴臣、こそ。こんな所で何やってるの?川瀬さん、放ったらかしでいいの?」
「いいに決まってるだろ。アイツが千歳のなりすましやってるところ、現行犯で押さえて全部白状させて、退職届まで出させて来たんだから」
現行犯?
全部白状?
退職届?
それらの単語に、自分が盛大な勘違いをしていたことにやっと気付き、愕然とした。
いや、正確には晴臣の意図に気付きかけていたはずなのに、相手が川瀬さんと聞いた衝撃で消し飛ばしてしまっていたのだ。
「より…戻したんじゃなかったの?」
「…言ったよな?俺は後にも先にも千歳のこと以外好きになったことなんてないって。みっともなく交換条件まで出して、ようやく仮の彼氏まで漕ぎ着けたのに、それで何で川瀬とより戻すんだよ?」
真っ直ぐに向けられる晴臣の想いが、鋭い刃になって胸を突き刺す。
「…で?千歳は、こんな時間にそんな格好で…社長の部屋で何やってんだよ!?」
晴臣の怒声が轟き終えるより早く、後ろに腕を引っ張られ、気付けば遼平くんの広い背中に守られてた。
「こんな時間にこんな所まで駆けつけて来たってことは、この写真を見たってことだろう?」
遼平くんがスマホを見せると、晴臣は眉間のシワを更に深くした。
何のことか思い当たらず、身を乗り出して画面を見れば、私のSNSに映し出されていたのはー
今正に私たちがいる貴賓室の玄関。
そこから時間だけ遡り、嵐の中遼平くんに抱き竦められている私の姿だった。
どういうこと?
嫌がらせやなりすましをしていた犯人は川瀬さんじゃなかったの!?
晴臣と一緒にいた彼女にはこんな写真撮れっこない。
これってつまりー
「身近に犯人がいる可能性を考慮して、ちーちゃんに何も知らせずにいたのは、ある意味正解だったね。コレを撮って載せた犯人にはさっき辞表を出すよう伝えたよ」
やっぱり川瀬さんとは別にもう一人犯人がいたんだ。
それも、きっと、今回のポスターの撮影メンバーの中に。
違うって言ってたのに、やっぱり真由先輩だったの?ー
晴臣の登場で、ただでさえパニック状態なのに、追い討ちをかけるような新情報に、私の頭はオーバーヒートを起こしかけている。
「でも、ちーちゃんはそのせいで酷く傷ついてた。そしてそれは、僕にとっては願ってもないチャンスだった。…僕はちーちゃんに惹かれていたから。あとは、君がこの写真を見て想像したとおり…」
遼平くんが全部言い終える前に、真っ青な顔の晴臣が、遼平くんの胸ぐらに掴みかかった。
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