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怖い。
怖い。
怖い。
川瀬さんのような明確な目的があるのならまだしも。
『気に入らなかった』
ただそれだけの理由で、あんな嫌がらせを…。
しかも、『上手くいけば、全部失う』なんて、一体どういう意味?
「蓮見ちゃん、大丈夫?」
震える肩に、不意に置かれた真由先輩の手を、反射的に振り解いてしまった。
「あ…ごめんなさい。私、混乱してて…」
「ううん、謝らないといけないのは私の方。飛鳥のこと、気付いてたのに…黙っててごめん。ずっと怖かったよね」
何て答えたら良いのか分からず、口をパクパクさせていると、真由先輩が続けた。
「言い訳するつもりはないけど、少なくとも私は、蓮見ちゃんのこと、飛鳥みたいな目で見てなかった。結構無茶な期限の仕事振ってもちゃんとついて来てくれるし、モデルの件だって、普通のコだったら絶対断る所なのに、引き受けてくれたのはやっぱりLotusの娘としての責任感からでしょう?…そういう性格につけ込むみたいな真似して本当にごめん」
もしかして、突然モデルが来れなくなったことも、真由先輩に仕組まれたものだったのかと思えて来て、耳を塞ぎたくなる。
「でも…そんな蓮見ちゃんだからこそ…私、申し訳ないけど、やっぱり少し飛鳥に感謝しちゃってる」
「…感謝?」
いくら腹心だったとは言え、あんな事をした飛鳥先輩に感謝だなんて。
思わず視線を険しくすると、真由先輩は怯むどころか真正面から私を見据えて尋ねた。
「だって…蓮見ちゃんは椎名くんじゃなくて、彼を…社長を選んでくれたんだよね?」
ああー
なんて押し付けがましくて独善的。
怒りを通り越して憐みすら覚える。
それ程真由先輩は遼平くんのことが好きなんだと伝わってくる。
私に、永美ちゃんよりも、真由先輩よりも、遼平くんを大切にすることができるだろうか。
などと一抹の不安を感じるより早く、
「勘違いしないでもらえますか?」
と言った声は、自分でも驚くほど冷静だったけれど。
「飛鳥先輩のしたことは関係ありません。私は、ずっと昔からー」
そこまで言いかけたところで販売促進部のドアが開いた。
そして、突然乱入してきた人物は、血相を変えて叫んだ。
「千歳!!晴臣はどこだ?晴臣は一体どこにいる!?」
「お、お父さんー!?どうしてeternoに!?」
私を呼び捨てにするなんて珍しい。
むしろここまで取り乱した父を見るのは初めてな気がする。
「そんなことはどうでもいいから晴臣を出せ!!」
「は…晴臣ならそらそろ人事部の方に出社してる頃だとと思うけど」
「人事部にはいなかった!…千歳の所にいないとなると…本当なのか…」
父は気色ばんでいた顔をみるみる青冷めさせ、ついさっきまで飛鳥先輩のものだったデスクに手をつき、よろけた体を支えた。
「お前達、本当に婚約を解消したのか…!?」
怖い。
怖い。
川瀬さんのような明確な目的があるのならまだしも。
『気に入らなかった』
ただそれだけの理由で、あんな嫌がらせを…。
しかも、『上手くいけば、全部失う』なんて、一体どういう意味?
「蓮見ちゃん、大丈夫?」
震える肩に、不意に置かれた真由先輩の手を、反射的に振り解いてしまった。
「あ…ごめんなさい。私、混乱してて…」
「ううん、謝らないといけないのは私の方。飛鳥のこと、気付いてたのに…黙っててごめん。ずっと怖かったよね」
何て答えたら良いのか分からず、口をパクパクさせていると、真由先輩が続けた。
「言い訳するつもりはないけど、少なくとも私は、蓮見ちゃんのこと、飛鳥みたいな目で見てなかった。結構無茶な期限の仕事振ってもちゃんとついて来てくれるし、モデルの件だって、普通のコだったら絶対断る所なのに、引き受けてくれたのはやっぱりLotusの娘としての責任感からでしょう?…そういう性格につけ込むみたいな真似して本当にごめん」
もしかして、突然モデルが来れなくなったことも、真由先輩に仕組まれたものだったのかと思えて来て、耳を塞ぎたくなる。
「でも…そんな蓮見ちゃんだからこそ…私、申し訳ないけど、やっぱり少し飛鳥に感謝しちゃってる」
「…感謝?」
いくら腹心だったとは言え、あんな事をした飛鳥先輩に感謝だなんて。
思わず視線を険しくすると、真由先輩は怯むどころか真正面から私を見据えて尋ねた。
「だって…蓮見ちゃんは椎名くんじゃなくて、彼を…社長を選んでくれたんだよね?」
ああー
なんて押し付けがましくて独善的。
怒りを通り越して憐みすら覚える。
それ程真由先輩は遼平くんのことが好きなんだと伝わってくる。
私に、永美ちゃんよりも、真由先輩よりも、遼平くんを大切にすることができるだろうか。
などと一抹の不安を感じるより早く、
「勘違いしないでもらえますか?」
と言った声は、自分でも驚くほど冷静だったけれど。
「飛鳥先輩のしたことは関係ありません。私は、ずっと昔からー」
そこまで言いかけたところで販売促進部のドアが開いた。
そして、突然乱入してきた人物は、血相を変えて叫んだ。
「千歳!!晴臣はどこだ?晴臣は一体どこにいる!?」
「お、お父さんー!?どうしてeternoに!?」
私を呼び捨てにするなんて珍しい。
むしろここまで取り乱した父を見るのは初めてな気がする。
「そんなことはどうでもいいから晴臣を出せ!!」
「は…晴臣ならそらそろ人事部の方に出社してる頃だとと思うけど」
「人事部にはいなかった!…千歳の所にいないとなると…本当なのか…」
父は気色ばんでいた顔をみるみる青冷めさせ、ついさっきまで飛鳥先輩のものだったデスクに手をつき、よろけた体を支えた。
「お前達、本当に婚約を解消したのか…!?」
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