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「あ…これは…」
説明しようとしたところで、クリアファイルが取り上げられた。
遼平くんは封筒を破り捨て、中を確認すると既に苦しげだった顔をより一層歪めた。
「どうしてちーちゃんが椎名くんの退職届を?椎名くんに会ったの!?何か言ってた?」
肩を強く掴まれ、ガクガクと体を揺さぶられる。
遼平くんが今かなり切羽詰まっている理由は、場所も弁えずに私を抱こうとした理由に繋がっているような気がする。
「あれから晴臣には会ってない。ここに来る途中、人事部の渡さんから言付かったの。午前中の郵便で届いたから遼平くんに渡すようにって」
私の予想が的中したと言わんばかりに、遼平くんは肩を落として見せた。
どういうこと?
晴臣がeternoを退職することに、そんなに不都合があるとは思えない。
だって、私と晴臣の婚約は、別に政略結婚の類じゃない。
椎名家は地元じゃ有名な腕のいい大工さんの一族ではあるけれど、eternoとの利害関係は全くと言って良い程ないはず。
でもー
じゃあどうしてあんなにお父さんも遼平くんも晴臣のことで大騒ぎを?
何か私の知らない事情があるの?
急に自分がとんでもないことをしでかしたような気持ちになり、身震いした。
「ーごめん。また取り乱して」
遼平くんがポツリと呟き、私の思推は一旦ストップした。
「…義兄さんには僕たちのこと、ちゃんと許してもらえたから心配しないで」
顔を上げた遼平くんは、いつも以上に穏やかに微笑んでいた。
何かを吹っ切ったようにも見える。
ただの私の考え過ぎだった?
晴臣は関係なかった??
そんな都合の良い期待は、すぐに打ち消されてしまった。
「ただ…しばらくかなり忙しくなりそうなんだ。だから、一緒に暮らすのは落ち着いてからにさせてもらえるかな」
かなり忙しくなるって…。
肝心なところを濁され、結局何があったのか教えてもらえない事実に打ちひしがれる。
どうして?
私が一回り以上も年下だから?
私、そんなに頼りない??
これが永美ちゃんだったら…と考えてしまう自分を止められないでいると、遼平くんは自分のデスクへ向かい、引き出しを開けた。
「そうすれば、物件もゆっくり選べるし」
そう言いながらこちらに戻ってくると、手には晴臣の退職届のそれよりも大きい、沢山の封筒が。
ドサッと手渡されると、知った名前の不動産会社の名前が印字されている。
困惑しつつ、一つ中身を取り出してみれば、分譲マンションのパンフレットだった。
「こ…これ…」
一緒に暮らそうと言われたときに感じた不安。
綺麗に隠したつもりだったのに、遼平くんには全部お見通しだったんだ。
「昨日、何軒か目ぼしい不動産屋回って集めて来たんだ」
なんて事ないような口ぶりだけど、かなり大変だったはず。
それだけでもかなり胸がいっぱいなのに。
「ちーちゃんは何も心配せずに、僕を信じて待っていてくれればいいから」
やっぱり遼平くんは大人で、私は子どもなのかもしれない。
そんな風に言われてしまったら、もう何も聞けなくなってしまった。
説明しようとしたところで、クリアファイルが取り上げられた。
遼平くんは封筒を破り捨て、中を確認すると既に苦しげだった顔をより一層歪めた。
「どうしてちーちゃんが椎名くんの退職届を?椎名くんに会ったの!?何か言ってた?」
肩を強く掴まれ、ガクガクと体を揺さぶられる。
遼平くんが今かなり切羽詰まっている理由は、場所も弁えずに私を抱こうとした理由に繋がっているような気がする。
「あれから晴臣には会ってない。ここに来る途中、人事部の渡さんから言付かったの。午前中の郵便で届いたから遼平くんに渡すようにって」
私の予想が的中したと言わんばかりに、遼平くんは肩を落として見せた。
どういうこと?
晴臣がeternoを退職することに、そんなに不都合があるとは思えない。
だって、私と晴臣の婚約は、別に政略結婚の類じゃない。
椎名家は地元じゃ有名な腕のいい大工さんの一族ではあるけれど、eternoとの利害関係は全くと言って良い程ないはず。
でもー
じゃあどうしてあんなにお父さんも遼平くんも晴臣のことで大騒ぎを?
何か私の知らない事情があるの?
急に自分がとんでもないことをしでかしたような気持ちになり、身震いした。
「ーごめん。また取り乱して」
遼平くんがポツリと呟き、私の思推は一旦ストップした。
「…義兄さんには僕たちのこと、ちゃんと許してもらえたから心配しないで」
顔を上げた遼平くんは、いつも以上に穏やかに微笑んでいた。
何かを吹っ切ったようにも見える。
ただの私の考え過ぎだった?
晴臣は関係なかった??
そんな都合の良い期待は、すぐに打ち消されてしまった。
「ただ…しばらくかなり忙しくなりそうなんだ。だから、一緒に暮らすのは落ち着いてからにさせてもらえるかな」
かなり忙しくなるって…。
肝心なところを濁され、結局何があったのか教えてもらえない事実に打ちひしがれる。
どうして?
私が一回り以上も年下だから?
私、そんなに頼りない??
これが永美ちゃんだったら…と考えてしまう自分を止められないでいると、遼平くんは自分のデスクへ向かい、引き出しを開けた。
「そうすれば、物件もゆっくり選べるし」
そう言いながらこちらに戻ってくると、手には晴臣の退職届のそれよりも大きい、沢山の封筒が。
ドサッと手渡されると、知った名前の不動産会社の名前が印字されている。
困惑しつつ、一つ中身を取り出してみれば、分譲マンションのパンフレットだった。
「こ…これ…」
一緒に暮らそうと言われたときに感じた不安。
綺麗に隠したつもりだったのに、遼平くんには全部お見通しだったんだ。
「昨日、何軒か目ぼしい不動産屋回って集めて来たんだ」
なんて事ないような口ぶりだけど、かなり大変だったはず。
それだけでもかなり胸がいっぱいなのに。
「ちーちゃんは何も心配せずに、僕を信じて待っていてくれればいいから」
やっぱり遼平くんは大人で、私は子どもなのかもしれない。
そんな風に言われてしまったら、もう何も聞けなくなってしまった。
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