【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

１５－６

晴臣の叔父にしては若すぎる。
いや、でも。
父と永美ちゃんも一回り違ったんだからあり得ないこともない。

じゃあ、本当にこの人が、私と遼平くんをー？

キッと睨みつけても笑顔を返されてしまう。

「怒った顔も可愛いね。もっと千歳ちゃんのこと知りたいな。近くに行きつけのバーがあるからちょっと話そうよ」

流れるような手つきで腰に手を回され、引き寄せられた。

「知っていただかなくて結構です。コートコレもお返しします」

身を捩ってコートを脱ごうとすると、即座に両襟を掴んで阻まれた。

「もしかして、君に拒否権があるとでも思ってる？」

そう問いかける顔からは、さっきまでの笑顔がすっかり消え失せている。

「これ…お誘いじゃなくて、命令ですよね？」

「察しが良いコは大好きだよ」

初対面の男の車に乗るなんて、普段なら絶対にあり得ない。
でも、ここで私が従わなければeterno遼平くんだけじゃなく、Lotus父にも何かされるかもしれない。

「車に乗る前に、家に連絡だけさせてください」

「どうぞ。お好きなように」

電話で伝えただけだと、後々証拠にならないかもしれない。
そう考えて、父にSNSでメッセージを送った後、光城の車に乗り込んだ。

私はもちろん、さっきまであれだけペラペラと喋っていた光城も、車内では静かだった。

これからどこへ連れて行かれるの？
何をされるの？

恐怖と不安でガチガチに固まっていたところに、突然鞄の中のスマホが震えたので、シートベルトをしたまま飛び上がり上がりそうになった。

父からかもしれない。

まだかじかんでいる手で鞄を探った私は、ディスプレイに表示された名前を見て激しく動揺した。

「出ても構わないよ？」

相手が父なら迷わずそうしていた。
でもー

「もしかして、晴臣から？」

正直に答えるべきかどうか考えあぐねていると、その間に着信が一度途絶え、すぐに再び電話が震え始めた。

「今すぐ出なさい」

車に乗せられたときと同じ強い口調に、仕方なく通話ボタンを押した途端―

「何で大人しく俺が呼んだタクシーに乗らなかったんだ！このバカ千歳！！」

鼓膜が破れそうな程の怒声に、思わず耳からスマホを離した。

「うるさいわね。顔も見たくないほど私のことが嫌いなんでしょう？放っときなさいよ！！」

怒鳴り返すと、隣から「ブハッ」と吹き出す音がしたような気がして隣を見たけれど、すぐに受話器から晴臣の怒声がしてー
そして、その内容が衝撃的で、吹っ飛んでしまった。

「バカ！お前が今一緒にいる男はついこの間４回目の離婚が成立したばっかの男だぞ！それも４回ともソイツの不貞が原因で！！」