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離婚?
4回??
不貞???
突飛すぎて処理しきれない単語を脳内で漂わせる私に、なおも晴臣が畳み掛ける。
「そんなやつにノコノコ付いて行って…お前なんか一ヶ月で妊娠させられるぞ!!」
目が覚めたように隣を見れば、信号待ちで車を停めていた光城とバッチリ目が合ってしまった。
晴臣の声が大きすぎるせいで、絶対筒抜けているはず。
もし事実であったとしても、初対面の、それも仮にも婚約者を自称する私にこんなこといきなりバラされて、絶対良い気はしないはず。
晴臣ぃっ!
どうしてくれるの!?この空気!!
心の中で絶叫していたら、無言のままスッと手が伸びてきた。
光城はつい身構えてしまった私からスマホを取り上げると、スピーカーボタンを押してインパネに置いた。
「ごかいだよ」
「誤解?何がだよ?」
そうだよね。
バツ4だなんて。
ちょっとほっとして続く光城の言葉を待っていたらー
「僕が離婚したのは五回だ」
そっちの“ごかい”!?
紛らわしいうえに回数増えてるし!!
「宗一郎!!今どこだ!?車を停めて千歳を降ろせ!!すぐそっちに行くから!!」
「…で、また喧嘩してこの寒空の下千歳ちゃんをコートも着せずに放置するの?」
ある。
その可能性は十分すぎるほどある。
晴臣も、受話器の向こうで何も言い返せていない。
「心配は要らないよ。僕が千歳ちゃんを妊娠させたりするわけないだろう」
そうだよね。
いくら自分の不貞が原因のバツ5でも、いきなりソレはないよね。
なんて、思った私は学習能力がないー
「だって僕、絶対失敗しないから」
―『そうだよね』は、ついさっき、すぐに覆されたばかりだったのに。
光城は通話終了ボタンを押して、アクセルを強く踏んだ。
車は20分ほど走った後、繁華街の一角のコインパーキングに停まった。
「降りなさい」
鳴りっぱなしのスマホを手渡しながら光城に促され、仕方なくドアを開けた。
光城のコートを着ていても、車の外は凍てつく寒さ。
そんな中でも光城は少しも背中を丸めることなく颯爽と歩き出した。
「付いて来なさい」
そう言われてたどり着いたのは、小さな小料理屋のような外見の店。
中に入ると、少し明るさを抑えた照明の下に配されたコの字型のカウンター席が、ほぼ満席になっている。
「あら、いらっしゃい」
中央で接客する女性がすぐに光城に気づいて声をかけた。
「クリスマスに随分と若くて可愛いコ連れてるじゃない」
そう言う彼女こそ、女の私が見惚れるほど、大人の雰囲気漂う美しい人だった。
白シャツに黒ベスト、革製のエプロンというシンプルな服装が一層それを引き立てている。
見惚れていると、いきなり光城に腰を引き寄せられギョッとした。
「妬けるだろう?」
「まさか」
「上、空いてる?」
「どうぞ。後でオーダー聞きに行くわ」
結局、二人の間に流れる空気に割って入れず、光城に二階の個室に引き込まれてしまった。
4回??
不貞???
突飛すぎて処理しきれない単語を脳内で漂わせる私に、なおも晴臣が畳み掛ける。
「そんなやつにノコノコ付いて行って…お前なんか一ヶ月で妊娠させられるぞ!!」
目が覚めたように隣を見れば、信号待ちで車を停めていた光城とバッチリ目が合ってしまった。
晴臣の声が大きすぎるせいで、絶対筒抜けているはず。
もし事実であったとしても、初対面の、それも仮にも婚約者を自称する私にこんなこといきなりバラされて、絶対良い気はしないはず。
晴臣ぃっ!
どうしてくれるの!?この空気!!
心の中で絶叫していたら、無言のままスッと手が伸びてきた。
光城はつい身構えてしまった私からスマホを取り上げると、スピーカーボタンを押してインパネに置いた。
「ごかいだよ」
「誤解?何がだよ?」
そうだよね。
バツ4だなんて。
ちょっとほっとして続く光城の言葉を待っていたらー
「僕が離婚したのは五回だ」
そっちの“ごかい”!?
紛らわしいうえに回数増えてるし!!
「宗一郎!!今どこだ!?車を停めて千歳を降ろせ!!すぐそっちに行くから!!」
「…で、また喧嘩してこの寒空の下千歳ちゃんをコートも着せずに放置するの?」
ある。
その可能性は十分すぎるほどある。
晴臣も、受話器の向こうで何も言い返せていない。
「心配は要らないよ。僕が千歳ちゃんを妊娠させたりするわけないだろう」
そうだよね。
いくら自分の不貞が原因のバツ5でも、いきなりソレはないよね。
なんて、思った私は学習能力がないー
「だって僕、絶対失敗しないから」
―『そうだよね』は、ついさっき、すぐに覆されたばかりだったのに。
光城は通話終了ボタンを押して、アクセルを強く踏んだ。
車は20分ほど走った後、繁華街の一角のコインパーキングに停まった。
「降りなさい」
鳴りっぱなしのスマホを手渡しながら光城に促され、仕方なくドアを開けた。
光城のコートを着ていても、車の外は凍てつく寒さ。
そんな中でも光城は少しも背中を丸めることなく颯爽と歩き出した。
「付いて来なさい」
そう言われてたどり着いたのは、小さな小料理屋のような外見の店。
中に入ると、少し明るさを抑えた照明の下に配されたコの字型のカウンター席が、ほぼ満席になっている。
「あら、いらっしゃい」
中央で接客する女性がすぐに光城に気づいて声をかけた。
「クリスマスに随分と若くて可愛いコ連れてるじゃない」
そう言う彼女こそ、女の私が見惚れるほど、大人の雰囲気漂う美しい人だった。
白シャツに黒ベスト、革製のエプロンというシンプルな服装が一層それを引き立てている。
見惚れていると、いきなり光城に腰を引き寄せられギョッとした。
「妬けるだろう?」
「まさか」
「上、空いてる?」
「どうぞ。後でオーダー聞きに行くわ」
結局、二人の間に流れる空気に割って入れず、光城に二階の個室に引き込まれてしまった。
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