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「はあぁっ!!?」
驚きのあまり危うく水の入ったグラスをひっくり返しそうになってしまった。
「バレたって、何でよ!!?」
百歩譲ってお母さんならまだしも、お父さんにバレるとか。
恥ずかしいを通り越して、怒りに似た感情が込み上げてくる。
「手塚だよ、手塚!ご丁寧に俺が帰国することになった経緯までおじさんに報告しやがって!」
経緯って、まさか『ちーちゃんの処女は』云々ってやつ…?
遼平くん、何てことを───!!?
「で、でも、晴臣なら上手く誤魔化せたんじゃ…」
「誤魔化せるわけがないだろう?あの、第六感だけでLotusをあそこまでの会社にのし上げた人を!千歳んちに行った瞬間『あれ?晴臣、随分締まりのない顔してるね』、だぞ?そこから二日間、ずっとおじさんの自棄酒に付き合わされてたんだよ!」
げんなりした晴臣の表情から、ソレがどれほどの地獄絵図だったのかが見て取れる。
「でも、お父さん、自棄酒って…私と晴臣のことは公認なんじゃなかったの?ずっと一緒に住んでたし」
「千歳は知らないだろうけど、俺、一緒に住む前はもちろん、ガキのころからずっと『ヴァージンの千歳ちゃんとヴァージンロード歩くのが僕の夢だから』って刷り込まれて来てるからな」
言いそう。
うちのお父さんなら絶対言いそう。
「……なんか色々ごめん。うちのお父さんが」
「他でもない、千歳の父親だからな。親ばか過ぎるところ以外は尊敬してるし」
晴臣がニッと笑ってみせたところで、ランチが運ばれてきた。
前菜からキャビアの乗っかったオードブルに、テンションが上がる。
「お昼からこんな豪華なものを食べさせてくれるってことは、晴臣もちょっとは反省してくれてるってこと?」
「…まあ、そんなとこ」
珍しく素直な晴臣と、テンポよくサーブされる美味しい料理で、会話も弾む。
お父さんのせいで聞きそびれていたシンガポールでの生活について尋ねれば、「アパートの壁から洗濯竿が突き出ている」とか、「ドリアン持ち込み禁止の標識がある」とか、面白い土産話を色々と聞かせてくれた。
デザートまで完食して、そろそろ事務所に戻らなければというタイミングで、お店の人が更にもう一品料理を運んできた。
中身の見えない、銀色の丸い蓋が被せられているお皿が、私の前にだけ並べられる。
…罪滅ぼしの、私だけのもう一品?
「…晴臣?私、さすがにもうお腹いっぱいだよ?」
「大丈夫、食べ物じゃないから」
晴臣の言葉を合図に、店員さんがにこやかに蓋をとると、中からエメラルドグリーンの箱に、白いリボン。
驚きで、声も出ない。
「開けてみろよ」
震える指でリボンを引き、紙製の箱を開けると、更に中から同じ色の箱が出てきた。
固まる私を見かねた晴臣が、手を伸ばし、パカッと蓋を開ける。
「千歳、これから一生、死ぬまで俺の側にいて。過去も、現在も、未来も、お前のいない人生なんて考えられない」
プロポーズのセリフを保証するように、大粒のダイヤモンドが永遠の輝きを放った。
驚きのあまり危うく水の入ったグラスをひっくり返しそうになってしまった。
「バレたって、何でよ!!?」
百歩譲ってお母さんならまだしも、お父さんにバレるとか。
恥ずかしいを通り越して、怒りに似た感情が込み上げてくる。
「手塚だよ、手塚!ご丁寧に俺が帰国することになった経緯までおじさんに報告しやがって!」
経緯って、まさか『ちーちゃんの処女は』云々ってやつ…?
遼平くん、何てことを───!!?
「で、でも、晴臣なら上手く誤魔化せたんじゃ…」
「誤魔化せるわけがないだろう?あの、第六感だけでLotusをあそこまでの会社にのし上げた人を!千歳んちに行った瞬間『あれ?晴臣、随分締まりのない顔してるね』、だぞ?そこから二日間、ずっとおじさんの自棄酒に付き合わされてたんだよ!」
げんなりした晴臣の表情から、ソレがどれほどの地獄絵図だったのかが見て取れる。
「でも、お父さん、自棄酒って…私と晴臣のことは公認なんじゃなかったの?ずっと一緒に住んでたし」
「千歳は知らないだろうけど、俺、一緒に住む前はもちろん、ガキのころからずっと『ヴァージンの千歳ちゃんとヴァージンロード歩くのが僕の夢だから』って刷り込まれて来てるからな」
言いそう。
うちのお父さんなら絶対言いそう。
「……なんか色々ごめん。うちのお父さんが」
「他でもない、千歳の父親だからな。親ばか過ぎるところ以外は尊敬してるし」
晴臣がニッと笑ってみせたところで、ランチが運ばれてきた。
前菜からキャビアの乗っかったオードブルに、テンションが上がる。
「お昼からこんな豪華なものを食べさせてくれるってことは、晴臣もちょっとは反省してくれてるってこと?」
「…まあ、そんなとこ」
珍しく素直な晴臣と、テンポよくサーブされる美味しい料理で、会話も弾む。
お父さんのせいで聞きそびれていたシンガポールでの生活について尋ねれば、「アパートの壁から洗濯竿が突き出ている」とか、「ドリアン持ち込み禁止の標識がある」とか、面白い土産話を色々と聞かせてくれた。
デザートまで完食して、そろそろ事務所に戻らなければというタイミングで、お店の人が更にもう一品料理を運んできた。
中身の見えない、銀色の丸い蓋が被せられているお皿が、私の前にだけ並べられる。
…罪滅ぼしの、私だけのもう一品?
「…晴臣?私、さすがにもうお腹いっぱいだよ?」
「大丈夫、食べ物じゃないから」
晴臣の言葉を合図に、店員さんがにこやかに蓋をとると、中からエメラルドグリーンの箱に、白いリボン。
驚きで、声も出ない。
「開けてみろよ」
震える指でリボンを引き、紙製の箱を開けると、更に中から同じ色の箱が出てきた。
固まる私を見かねた晴臣が、手を伸ばし、パカッと蓋を開ける。
「千歳、これから一生、死ぬまで俺の側にいて。過去も、現在も、未来も、お前のいない人生なんて考えられない」
プロポーズのセリフを保証するように、大粒のダイヤモンドが永遠の輝きを放った。
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