【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星

文字の大きさ
171 / 173

俺の婚約者で幼馴染が可愛すぎて辛い8

しおりを挟む
大学を出たら当然おじさんの秘書にでもなるのだろうと思っていた千歳が、俺に内緒で手塚が代表を務めるeternoの入社試験を受けていた。

告うつもりはないと、俺に約束したくせに───

知ってしまったからには放っておけるはずもなく。
完全に縁故採用で得ていたLotusの内定を蹴って、俺も密かにeternoの追加募集試験を受け、自力で採用を勝ち取った。

その後、地べたを這いつくばるような努力と、気の遠くなるような時間の果に、やっと千歳を手に入れた顛末についてはご覧のとおり。

ちなみに。
シンガポールでの空白の三年間では、現地スタッフから出向社員までそれなりにアプローチを受けたものの、川瀬の件で懲りていたので、誰にも靡くことはなかった。

結婚式を数日後に控えた俺は、全てを手に入れたはずだった。

仕事は激務だけれど、家に帰れば千歳がいる。
夜ごと千歳の体を抱き、俺の熱い想いを存分に注ぎ込み、朝目覚めれば、隣には俺にしか見ることのできない千歳の寝顔───

それで十分なはずなのに、どこか満たされない気持ちの自分がいる。

特に、身支度を整え、出勤しようとするタイミングでそれを強く感じる。
千歳が、自分の準備の手を止め、「行ってらっしゃい」と笑顔で送り出してくれているのに。

どうして笑えるんだ?
俺と離れて平気なのか?

このまま俺以外誰も見せず。
誰の目にも触れさせたくない。
24時間365日、俺だけを求めていればいいのに。

日に日にその欲求が強くなる。

そして、とうとう夢を見た。

他で発散させるようになってから、見なくなった、あの夢を。

押し込めてきた潜在的な欲求を明確に理解しわかってしまったら、もう、止められなかった。

金曜日。
いつもより早めに出勤して、猛スピードで仕事を片付け、さっさと会社を出ようとすると。
今日も元気に志織とかいう女に玉砕した宗一郎が、嫌味を飛ばしてきた。
俺も一歩間違えていればこいつみたいになっていたのかと思うと気の毒ではあるが、いちいち付き合ってはいられない。
特に、今日は。

念の為私服に着替えて、必要なものを買い込み、家へと急ぐ。
何とか千歳が帰宅するより早く帰れた。

シューズクローゼットに靴を片付け、玄関から死角になる場所で息を殺してその時を待つ。

15分もしないうちにドアノブが回り、俺に気づかないまま千歳が靴を脱いでリビングへと向かった。
そこで後ろからそっと忍び寄り、買ってきたふわふわ素材のアイマスクで目隠しをした。

しかし、そんなことをすれば、千歳が抵抗しないはずもなく。

「な、何!誰なの!?止めてよ!!」

パニック状態の千歳は、恐怖に身を固くし、声を震わせている。
流石にこのまま正体を明かさずに事に及ぶのは酷かと諦め、声を掛ける。

「黙って付き合って」

「晴臣なの!?何の真似!!?」

安心した千歳の震えは止まり、今度は怒り出した。

顔を見なくても俺だと分かって貰えたことも嬉しかったけれど。
無理やり感を失わないまま念願の拘束プレイを楽しめそうな千歳の様子に、俺の興奮は高まるばかりだった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される

山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」  出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。  冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?  

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

処理中です...