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エリザベート嬢はあきらめない
楽しいイベントの計画
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学園から帰って自分の部屋で寛いでいると、料理長のジョセフが、新作のケーキと紅茶を部屋まで届けてくれた。
「エリザお嬢様、最近は学園の方にお昼をお届けしていませんが、大丈夫でございますか?」
ドリミア学園に入学して一週間後から、つい最近までの1年と数ヶ月。
毎日、学園のテラスまで料理を届けてくれた料理長のジョセフは知っていた。
「学園の食堂のお料理が美味しくないの。私の口には合わないの」
私が毎日そう言っていた事を。
「学園の食堂の料理が口に合わないのなら、毎日、ジョセフに届けてもらえばいいじゃないの」
私の愚痴を聞いたお母様の一言で、我が家の料理長のジョセフが、毎日、ドリミア学園に通ってくれる事になったのだ。
「ちょっと訳ありなんだけれど、今は美味しいお料理を頂いているわ。だから、心配しないで、ジョセフ」
「訳ありなんでございますね。それでも、お口に合う料理を召し上がっておられるのなら、私に言う事はございません。
奥様も、お嬢様が口に合わない料理を無理して食されているのではないかと、心配しておられましたよ」
「入学したての頃は、お母様とジョセフに、お料理の文句ばかり聞いてもらっていたものね。本当に申し訳なかったわ」
「宜しいのですよ。お嬢様。おかげで、このジョセフ、久方ぶりにドリミア学園に入る事が出来て、楽しい思いをさせて頂きました。またいつでも、言って下されば持って参りますよ」
ジョセフとこんな会話をした日のディナーの時に、お父様から珍しく、学園の食堂の事を尋ねられた。
「エリザは入学してからずっと、学園の食堂の料理が口に合わなくて、ジョセフに料理を届けてもらっていたのだろ?
最近になって、食堂を利用し始めた理由を、教えてもらえないだろうか」
「まあ、お父様!お父様が学園の食堂の事に関心がおありだなんて、ビックリですわ!」
「ハハハ。我が家の天使の口に合わないような料理が、学園の食堂で出されているのは、気になる事だからね。
すぐにでも改善をするように、学園側に提案しようかと考えていたんだが。遅くなってすまなかったね」
「学園の食堂の味を改善する提案を?」
「そう思っていたのだが、最近は料理の味が良くなったのかな?」
「最近、私達が食べているお料理は大変、美味しいのですが、私は食堂は改善されるべきだと思います」
「そう思うか?」
「はい。私達が最近になって食堂を利用し始めた理由は・・。私やウィリ様には、必ず美味しいお料理が出されると、分かったからですわ」
「なるほど」
「約束をしたので詳しくは話せませんが、調べて下さった方がいらっしゃるのです」
「エリザには必ず美味しい料理が出されるのなら、入学した頃には何故、口に合わない料理が出たのだろうね」
「まあ、お父様。さすがですわ、そこに気が付かれるなんて!あれこそ、食堂の手違いだったようですわ」
「そうか。なかなか調べ甲斐のある食堂のようだね。それでは、食堂の実態調査も兼ねて、近いうちに私達も行ってみようか。マーガレット」
「まあ!素敵!嬉しいわアフレイド」
「陛下と妃殿下もお誘いしようと思うのだが」
「メアリー様は喜ばれると思いますわ。実は私達、2人で変装をして、学園の食堂に行こうと思っていましたの。
あれほど、不味い、不味い。口に合わないと言っていたエリザが、食堂のお料理を褒めるようになったので気になってしまって。
メアリー様もウィリアム殿下がどんなお料理を食べているのか、興味深々のご様子でしたわ。
アフレイドが行くなら、陛下もきっといらっしゃいますわ。楽しくなりそうね。
私とメアリー様は髪の色も変えて、ドレスも何時もとは違う感じのものを、もう新調していますのよ」
「ご婦人方の行動力には敵わないな。王妃様はすでに乗り気なんだね。では、陛下には私から提案しよう。
どこかの伯爵家の身内という事にして、支払い時に分かる身分は、伯爵家にしようと思っているのだが。いいかな?」
「陛下も同じですの?」
「陛下にもそうお伝えするつもりだ」
「わかりましたわ。楽しい昼食会になりそうね」
エリザは、やけに楽しそうに盛り上がっている両親を見ながら、しみじみと我が家の平和を感じていた。
ゲームの中には、勿論、こんなイベントはない。こんなに楽しいイベントが発生するなんて!転生して頑張ってきた甲斐があると言うものだわ。
私はこの時、このイベントをお父様に持ちかけたのが、お兄様だとは思いもしなかった。
お父様からこの計画を聞いた陛下は、それは面白い!と、王妃様以上に乗り気になっておられるらしい。
お父様とお兄様がどうやって連絡を取り合っているのか、私は知らない。
けれど、この4人が3日後のお昼に、学園の食堂に来る事がお兄様に伝わり、お兄様からアルベール会長に伝わっていた。
アルベールはゆっくりと食堂に向かった。
「これはこれは、アルベール会長。食堂に来られるとは珍しいですね。ご用を承りますが」
食堂の責任者のオーバン・フランチェスがアルベールの元にやって来た。
「お昼のお勧め定食を、生徒会室まで届けて欲しいんだ。女性スタッフのエレナ嬢にお願いしたいのだけれど。彼女は忙しいだろうか?」
「エレナでございますね。承知いたしました」
「良かった。では、よろしくお願いします」
アルベールは支払いの処理を済ませて、帰って行った。
わざわざエレナを指定してくるとは。
魅了魔法にかかったというのは本当のようだな。
願い通りに、後でエレナに定食を届けさせますよ。そして、もっともっと、エレナに魅了されて下さいね。アルベール会長。
オーバンは、アルベールの後ろ姿を見ながら、ニンマリと微笑んだ。
「エリザお嬢様、最近は学園の方にお昼をお届けしていませんが、大丈夫でございますか?」
ドリミア学園に入学して一週間後から、つい最近までの1年と数ヶ月。
毎日、学園のテラスまで料理を届けてくれた料理長のジョセフは知っていた。
「学園の食堂のお料理が美味しくないの。私の口には合わないの」
私が毎日そう言っていた事を。
「学園の食堂の料理が口に合わないのなら、毎日、ジョセフに届けてもらえばいいじゃないの」
私の愚痴を聞いたお母様の一言で、我が家の料理長のジョセフが、毎日、ドリミア学園に通ってくれる事になったのだ。
「ちょっと訳ありなんだけれど、今は美味しいお料理を頂いているわ。だから、心配しないで、ジョセフ」
「訳ありなんでございますね。それでも、お口に合う料理を召し上がっておられるのなら、私に言う事はございません。
奥様も、お嬢様が口に合わない料理を無理して食されているのではないかと、心配しておられましたよ」
「入学したての頃は、お母様とジョセフに、お料理の文句ばかり聞いてもらっていたものね。本当に申し訳なかったわ」
「宜しいのですよ。お嬢様。おかげで、このジョセフ、久方ぶりにドリミア学園に入る事が出来て、楽しい思いをさせて頂きました。またいつでも、言って下されば持って参りますよ」
ジョセフとこんな会話をした日のディナーの時に、お父様から珍しく、学園の食堂の事を尋ねられた。
「エリザは入学してからずっと、学園の食堂の料理が口に合わなくて、ジョセフに料理を届けてもらっていたのだろ?
最近になって、食堂を利用し始めた理由を、教えてもらえないだろうか」
「まあ、お父様!お父様が学園の食堂の事に関心がおありだなんて、ビックリですわ!」
「ハハハ。我が家の天使の口に合わないような料理が、学園の食堂で出されているのは、気になる事だからね。
すぐにでも改善をするように、学園側に提案しようかと考えていたんだが。遅くなってすまなかったね」
「学園の食堂の味を改善する提案を?」
「そう思っていたのだが、最近は料理の味が良くなったのかな?」
「最近、私達が食べているお料理は大変、美味しいのですが、私は食堂は改善されるべきだと思います」
「そう思うか?」
「はい。私達が最近になって食堂を利用し始めた理由は・・。私やウィリ様には、必ず美味しいお料理が出されると、分かったからですわ」
「なるほど」
「約束をしたので詳しくは話せませんが、調べて下さった方がいらっしゃるのです」
「エリザには必ず美味しい料理が出されるのなら、入学した頃には何故、口に合わない料理が出たのだろうね」
「まあ、お父様。さすがですわ、そこに気が付かれるなんて!あれこそ、食堂の手違いだったようですわ」
「そうか。なかなか調べ甲斐のある食堂のようだね。それでは、食堂の実態調査も兼ねて、近いうちに私達も行ってみようか。マーガレット」
「まあ!素敵!嬉しいわアフレイド」
「陛下と妃殿下もお誘いしようと思うのだが」
「メアリー様は喜ばれると思いますわ。実は私達、2人で変装をして、学園の食堂に行こうと思っていましたの。
あれほど、不味い、不味い。口に合わないと言っていたエリザが、食堂のお料理を褒めるようになったので気になってしまって。
メアリー様もウィリアム殿下がどんなお料理を食べているのか、興味深々のご様子でしたわ。
アフレイドが行くなら、陛下もきっといらっしゃいますわ。楽しくなりそうね。
私とメアリー様は髪の色も変えて、ドレスも何時もとは違う感じのものを、もう新調していますのよ」
「ご婦人方の行動力には敵わないな。王妃様はすでに乗り気なんだね。では、陛下には私から提案しよう。
どこかの伯爵家の身内という事にして、支払い時に分かる身分は、伯爵家にしようと思っているのだが。いいかな?」
「陛下も同じですの?」
「陛下にもそうお伝えするつもりだ」
「わかりましたわ。楽しい昼食会になりそうね」
エリザは、やけに楽しそうに盛り上がっている両親を見ながら、しみじみと我が家の平和を感じていた。
ゲームの中には、勿論、こんなイベントはない。こんなに楽しいイベントが発生するなんて!転生して頑張ってきた甲斐があると言うものだわ。
私はこの時、このイベントをお父様に持ちかけたのが、お兄様だとは思いもしなかった。
お父様からこの計画を聞いた陛下は、それは面白い!と、王妃様以上に乗り気になっておられるらしい。
お父様とお兄様がどうやって連絡を取り合っているのか、私は知らない。
けれど、この4人が3日後のお昼に、学園の食堂に来る事がお兄様に伝わり、お兄様からアルベール会長に伝わっていた。
アルベールはゆっくりと食堂に向かった。
「これはこれは、アルベール会長。食堂に来られるとは珍しいですね。ご用を承りますが」
食堂の責任者のオーバン・フランチェスがアルベールの元にやって来た。
「お昼のお勧め定食を、生徒会室まで届けて欲しいんだ。女性スタッフのエレナ嬢にお願いしたいのだけれど。彼女は忙しいだろうか?」
「エレナでございますね。承知いたしました」
「良かった。では、よろしくお願いします」
アルベールは支払いの処理を済ませて、帰って行った。
わざわざエレナを指定してくるとは。
魅了魔法にかかったというのは本当のようだな。
願い通りに、後でエレナに定食を届けさせますよ。そして、もっともっと、エレナに魅了されて下さいね。アルベール会長。
オーバンは、アルベールの後ろ姿を見ながら、ニンマリと微笑んだ。
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