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エリザベート嬢はあきらめない
聖女ロリエッタの紹介
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今日は王都学園の入学式。そう、あれから1年が過ぎたのだ。去年の私達と同じように緊張した新入生達が真新しい学生用のドレスやスーツを着て、式典に臨んでいる。
魔法属性と魔力測定、クラスの発表も終わった。
そして今年もアルベール・ロレーヌ生徒会長が壇上の演台の前に立っていた。
新入生を歓迎する言葉で会場を盛り上げたあと、彼は真っ直ぐに私を見た。彼と目が合うのが久しぶりで胸がドキリと跳ねる。
けれど次の瞬間、彼はこう言ったのだ。
「新2年生のロリエッタ・トリエール嬢、こちらにお越し下さい」
ロリエッタはチラっと私の方を見たあと、軽い足取りで前に出て行った。
壇下まで降りて来たアルベールが、彼女の手を取りエスコートして演台の前に導いた。
「新入生そして在校生の諸君。ロリエッタ・トリエール嬢を紹介しよう。
1年前、彼女が光属性だと分かった時、聖職者や聖女様が決まるのは学園を卒業してからだから、特別扱いする事なく接する事が大切だと、僕はこの場所で話した。
覚えている人もいると思う。
けれど、僕は今、それを訂正しようと思う。
彼女が昨年、この場所で、水晶玉に手をかざした時、水晶玉は皓々(こうこう)と輝き、会場はその柔らかな光に包まれた。
そしてこの1年間、僕は彼女を見てきた。
改めて紹介しよう。
我が国が待ち望んだ救世主。我が国を光に導く聖女ロリエッタ・トリエール嬢を!」
アルベールはロリエッタに跪(ひざまず)き、その手に軽く接吻をした。
会場が沸き立った。
大きな響(どよ)めきと歓喜の叫び声が止まらない。宰相(さいしょう)のデイビス・ブルーノは、今年も歓喜に震えている。
そんな中、魔法騎士団の総団長と書いてある来賓席の椅子に座っているアフレイド・ノイズだけは、黙って壇上のアルベールを見ていた。
一瞬、目と目が合った。アルベールは黙礼をしてサッと目を逸らし、ロリエッタに微笑みを向けた。
(アルベール君、すまない!)
アフレイドは壇上にいる青年に心の中で詫びた。
エリザはまるで夢を見ているような気持ちで、目の前で繰り広げられる様子を見ていた。
この風景には覚えがあった。前世のゲームの中と同じ。まさか入学して1年経った今、心を通わせる友人になれたと思っていたアル、いや、アルベール様が、ロリエッタに心酔してしまうとは!
ゲームの強制力なのだろうか?
幼い頃からあんなに頑張ってきたのに、また、始まるのだろうか?
「エリザ、大丈夫?」
アメリアが手を握ってくれた。
「エリザ。大丈夫だよ」
「エリザ、しっかりするんだ」
ウィリ様とエドもいる。アメリアもいる。
私は今は独りじゃない。あの時とは違う。
そう思っていても、身体から血の気が引くのを止められなかった。
他の生徒たちが、立ち上がって、歓喜の叫びを上げている中、エリザは席から立ち上がる事も出来きなかった。
魔法属性と魔力測定、クラスの発表も終わった。
そして今年もアルベール・ロレーヌ生徒会長が壇上の演台の前に立っていた。
新入生を歓迎する言葉で会場を盛り上げたあと、彼は真っ直ぐに私を見た。彼と目が合うのが久しぶりで胸がドキリと跳ねる。
けれど次の瞬間、彼はこう言ったのだ。
「新2年生のロリエッタ・トリエール嬢、こちらにお越し下さい」
ロリエッタはチラっと私の方を見たあと、軽い足取りで前に出て行った。
壇下まで降りて来たアルベールが、彼女の手を取りエスコートして演台の前に導いた。
「新入生そして在校生の諸君。ロリエッタ・トリエール嬢を紹介しよう。
1年前、彼女が光属性だと分かった時、聖職者や聖女様が決まるのは学園を卒業してからだから、特別扱いする事なく接する事が大切だと、僕はこの場所で話した。
覚えている人もいると思う。
けれど、僕は今、それを訂正しようと思う。
彼女が昨年、この場所で、水晶玉に手をかざした時、水晶玉は皓々(こうこう)と輝き、会場はその柔らかな光に包まれた。
そしてこの1年間、僕は彼女を見てきた。
改めて紹介しよう。
我が国が待ち望んだ救世主。我が国を光に導く聖女ロリエッタ・トリエール嬢を!」
アルベールはロリエッタに跪(ひざまず)き、その手に軽く接吻をした。
会場が沸き立った。
大きな響(どよ)めきと歓喜の叫び声が止まらない。宰相(さいしょう)のデイビス・ブルーノは、今年も歓喜に震えている。
そんな中、魔法騎士団の総団長と書いてある来賓席の椅子に座っているアフレイド・ノイズだけは、黙って壇上のアルベールを見ていた。
一瞬、目と目が合った。アルベールは黙礼をしてサッと目を逸らし、ロリエッタに微笑みを向けた。
(アルベール君、すまない!)
アフレイドは壇上にいる青年に心の中で詫びた。
エリザはまるで夢を見ているような気持ちで、目の前で繰り広げられる様子を見ていた。
この風景には覚えがあった。前世のゲームの中と同じ。まさか入学して1年経った今、心を通わせる友人になれたと思っていたアル、いや、アルベール様が、ロリエッタに心酔してしまうとは!
ゲームの強制力なのだろうか?
幼い頃からあんなに頑張ってきたのに、また、始まるのだろうか?
「エリザ、大丈夫?」
アメリアが手を握ってくれた。
「エリザ。大丈夫だよ」
「エリザ、しっかりするんだ」
ウィリ様とエドもいる。アメリアもいる。
私は今は独りじゃない。あの時とは違う。
そう思っていても、身体から血の気が引くのを止められなかった。
他の生徒たちが、立ち上がって、歓喜の叫びを上げている中、エリザは席から立ち上がる事も出来きなかった。
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