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エリザベート嬢はあきらめない
封印の解除
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精霊の森に来て数日が経った。その間にエリザは様々(さまざま)な経験をした。
この森は精霊達が集う世界。今までエリザが知っているどの場所とも違っていた。
朝は庭に湧き出る泉で顔を洗った。タオルが手元に現れてエリザが使うとサッと消えた。
「エリザ、今日の朝は何が食べたい?」
いつもミールが聞いてくれた。そして沢山の料理がテーブルに並んだ。
精霊達のように小さくなって光を纏(まと)って飛ぶ事も出来るようになった。
ミールや他の小さな精霊達と一緒に、森を散策したり、ルミーニと一緒に光に乗って世界中を飛びまわったりもした。
『精霊の時間』は人間の時間とは違う。精霊の森の中での1日が、外の世界での10年、50年、100年であることや、その逆もある。
エリザは光の精霊ルミーニに誘われて沢山の場所を訪れた。ワクワクした。ドキドキした。ルミーニの光を浴びながらエリザは本来の笑顔を取り戻していった。
「ねえ、エリザ。このまま『力』を解放しちゃいましょうよ。私がレティシアの封印を解いてあげるわ」
驚くエリザをよそに、アッと言う間にルミーニの光がエリザを包み込む。
その白い光に包まれている間に、エリザは1度めの人生も2度めの人生も、そして、別の世界での人生をも思い出していた。
数々の出来事がエリザの上を通り過ぎていった。果てしなく長い時間だったようにも、一瞬の出来事だったようにも思う。
回想の時が過ぎて、周りを包んでいた光が薄れいく中、エリザの右の胸の下にある、赤い薔薇のアザも薄れて、そして消えていった。
それは衝撃の瞬間だった。
莫大な魔力がエリザの中に流れてきた。それは『知識』でもあり『情報』でもあった。
・・・・・
ドリミア王国が瘴気に覆われていた。
「ヴァイオレットの聖女エリザベート。其方(そなた)はどうしたい?」
いつの間に現れたのか、精霊王カイがエリザに問いかけた。
エリザの答えは決まっていた。
「私が今、するべき事をしに行ってきます」
「俺が一緒に行こう」
そう言ったのは、エリザの封印が解ける様子をじっと見ていた闇の精霊テネーブだった。
「ありがとう、テネーブ。今だけじゃなくて、ずっとずっと・・ありがとう。私、思い出したわ」
「そうか」
テネーブは短い返事をした。
「あの日、全てをなくして、もうダメだと思った時に、私が思い浮かべたのはテネーブ貴方(あなた)だった。
泣いている私のところに、いつも、いつも、そっと現れて、黙って一緒にいてくれた。
あの独りぼっちの日々の中で、私を見ていてくれたのは貴方だけだっわ。テネーブ。
今、思い出したわ。貴方の気配は変わらないわね。いつも私を安心させてくれるわ」
「そうか。それなら良かった」
その会話から数時間後に、闇の精霊テネーブとエリザベートは、精霊の森からドリミア王国に移動していった。
この森は精霊達が集う世界。今までエリザが知っているどの場所とも違っていた。
朝は庭に湧き出る泉で顔を洗った。タオルが手元に現れてエリザが使うとサッと消えた。
「エリザ、今日の朝は何が食べたい?」
いつもミールが聞いてくれた。そして沢山の料理がテーブルに並んだ。
精霊達のように小さくなって光を纏(まと)って飛ぶ事も出来るようになった。
ミールや他の小さな精霊達と一緒に、森を散策したり、ルミーニと一緒に光に乗って世界中を飛びまわったりもした。
『精霊の時間』は人間の時間とは違う。精霊の森の中での1日が、外の世界での10年、50年、100年であることや、その逆もある。
エリザは光の精霊ルミーニに誘われて沢山の場所を訪れた。ワクワクした。ドキドキした。ルミーニの光を浴びながらエリザは本来の笑顔を取り戻していった。
「ねえ、エリザ。このまま『力』を解放しちゃいましょうよ。私がレティシアの封印を解いてあげるわ」
驚くエリザをよそに、アッと言う間にルミーニの光がエリザを包み込む。
その白い光に包まれている間に、エリザは1度めの人生も2度めの人生も、そして、別の世界での人生をも思い出していた。
数々の出来事がエリザの上を通り過ぎていった。果てしなく長い時間だったようにも、一瞬の出来事だったようにも思う。
回想の時が過ぎて、周りを包んでいた光が薄れいく中、エリザの右の胸の下にある、赤い薔薇のアザも薄れて、そして消えていった。
それは衝撃の瞬間だった。
莫大な魔力がエリザの中に流れてきた。それは『知識』でもあり『情報』でもあった。
・・・・・
ドリミア王国が瘴気に覆われていた。
「ヴァイオレットの聖女エリザベート。其方(そなた)はどうしたい?」
いつの間に現れたのか、精霊王カイがエリザに問いかけた。
エリザの答えは決まっていた。
「私が今、するべき事をしに行ってきます」
「俺が一緒に行こう」
そう言ったのは、エリザの封印が解ける様子をじっと見ていた闇の精霊テネーブだった。
「ありがとう、テネーブ。今だけじゃなくて、ずっとずっと・・ありがとう。私、思い出したわ」
「そうか」
テネーブは短い返事をした。
「あの日、全てをなくして、もうダメだと思った時に、私が思い浮かべたのはテネーブ貴方(あなた)だった。
泣いている私のところに、いつも、いつも、そっと現れて、黙って一緒にいてくれた。
あの独りぼっちの日々の中で、私を見ていてくれたのは貴方だけだっわ。テネーブ。
今、思い出したわ。貴方の気配は変わらないわね。いつも私を安心させてくれるわ」
「そうか。それなら良かった」
その会話から数時間後に、闇の精霊テネーブとエリザベートは、精霊の森からドリミア王国に移動していった。
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